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2013年06月12日

【iPS細胞・再生医療関連銘柄特集】アベノミクス成長戦略でも重点分野

■11日上場の創薬ペプチドリーム買い気配、26日にはリプロセル登場でiPS人気盛り上がる

特集 6月11日に創薬ベンチャーのペプチドリーム<4587>が新規上場し、初日は買い気配のまま値が付かずに終了した。さらに6月26日にはiPS細胞関連のリプロセル<4978>の新規上場が予定されている。

 5月下旬以降に市場全体が波乱の展開となったことや、与党が薬事法改正案と再生医療安全性確保法案の今国会での成立を断念する方針を固めたとの報道も失望感に繋がり、新興市場を中心にバイオ・再生医療関連銘柄の株価が急落していたが、ペプチドリーム<4587>とリプロセル<4978>の新規上場を機に話題性が再燃して人気化しそうだ。

再生医療で注目されるiPS細胞

 再生医療というのは、病気や怪我などで傷ついたり機能を失ったりした体の細胞・組織・器官(臓器・筋肉・骨など)の再生や機能回復を目的とする医療技術の総称である。生きた組織や器官を移植する皮膚移植・骨髄移植・臓器移植だけでなく、人工材料で作られる義手・義足・関節、そして身体機能回復訓練のリハビリテーションなども広い意味での再生医療とされている。

 ただし、こうした方法では難病の根本治療には至らず、臓器移植にはドナー(臓器提供者)の不足、臓器移植後の免疫拒絶反応リスク、他人の臓器を移植することに対する倫理上の問題なども指摘されている。

 このため再生医療で注目されているのが、患者自身や他人から採取した幹細胞を移植して組織や器官を再生する技術だ。幹細胞というのは組織や器官に成長(=分化)する細胞のことで、分化能力を保ったまま自己増殖する能力を持っている。体の組織や器官が傷ついた場合に、残存する細胞の中で幹細胞が増殖し、傷ついた部分を修復して元の状態へ回復する現象を再生と言う。骨髄造血幹細胞、神経幹細胞、筋肉幹細胞などが知られているが、これらの幹細胞は分化できる範囲が限定される。

 そして近年特に注目されている幹細胞が、体のあらゆる細胞や組織に分化する能力を持つ万能細胞である。万能細胞には受精卵から作製するES細胞(胚性幹細胞)と、皮膚細胞などから作製するiPS細胞(人工多能性幹細胞)がある。

 万能細胞としての研究は受精卵から作製するES細胞が先行した。受精卵は心臓、骨、神経、肝臓、血液など体が持つすべての細胞を作り出す幹細胞で、細胞分裂を繰り返してさまざまな機能の体細胞へ分化する。受精卵が育って胚細胞と呼ばれる状態になったところで、その内部の細胞を取り出して培養すると万能性を維持したまま体外で長期間培養できる。これがES細胞で1981年に英国チームがマウスのES細胞を作製し、1998年には米国チームがヒトのES細胞を作製した。

 これに対してiPS細胞は皮膚細胞から作製する万能細胞である。昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大学教授らが、2006年に初めてマウスの皮膚細胞から作製することに成功し、2007年にはヒトのiPS細胞の作製に成功した。

 iPS細胞は受精卵のように体を構成するすべての細胞に分化できる能力を持っている。そして患者の皮膚細胞から作製したiPS細胞を、治療に使う神経や筋肉などの細胞に分化させ、患者に移植することで病気や怪我で失われた機能を回復させることが可能になる。皮膚という完全に分化した状態の細胞に4つの遺伝子を組み込むことによって受精卵のような状態に戻し、受精卵と同様の万能性を作りだしたことが画期的とされ、生物学の常識を覆したと言われている。

 ES細胞の場合は患者と別人の細胞のため免疫拒絶反応リスクが大きくなるのに対して、iPS細胞の場合は緊急時などを除いて患者本人の細胞のため免疫拒絶反応リスクが小さく、倫理面の課題も少ないと考えられている。iPS細胞の基本特許は2009年に日本で成立し、2011年7月に欧州、そして8月には米国で製法に関する特許が成立している。

 iPS細胞による再生医療実用化に向けた課題としては、発がんリスクを低下させる技術、緊急時など他人のiPS細胞を利用する場合に備えたiPSバンクの整備、安全性や品質に関する基準・規制の策定などがあるが、動物が本来持っている自己再生能力を最大限に活用するため、iPS細胞が未来の再生医療の本命という見方が有力である。

再生医療の世界市場規模は2050年に53兆円

 経済産業省は2月22日に、再生医療の実用化・産業化に関する研究会の最終報告書を取りまとめ、その中で再生医療の将来市場予測を示している。

 国内の再生医療市場規模は2012年の260億円が2020年に1900億円、2030年に1兆6000億円、2050年に3兆8000億円(内訳は製品・加工品が2兆5000億円、試薬など周辺産業が1兆3000億円)、世界市場規模は2012年の3400億円が2020年に2兆円、2030年に17兆円、2050年に53兆円(内訳は製品・加工品が38兆円、周辺産業が15兆円)としている。

 報告書では今後の課題として、再生医療の審査手続きの合理化・透明化、再生医療実用化のための技術開発などを挙げ、自動培養装置などの活用によって受託数が増えて安定的な事業が実施されれば、細胞加工品を一段と合理的な価格で提供できる可能性が増すなどとしている。

 iPS細胞の自動培養関連などでは、大企業からベンチャー企業まで多くの企業が研究開発・製品化を急いでおり、文部科学省や厚生労働省もiPS細胞の早期実用化に向けた支援策を打ち出している。政府による新法制定などの支援策も背景としてiPS細胞の活用が普及すれば、市場拡大ペースが予測以上に加速する可能性があり、日本の医療産業全体が活気づくことも期待されるだろう。

再生医療はアベノミクス成長戦略でも重点分野に位置付け

 安倍晋三首相は4月19日に発表した成長戦略第1弾の中で医療分野に関して、iPS細胞研究に対する10年間で1100億円の研究支援、医療機器の承認審査期間を短縮する薬事法改正案の今国会提出、医療機器輸出拡大を推進する官民共同の新組織設立、さらに米国の国立衛生研究所(NIH)をモデルとして、難病治療新薬開発などで各省庁バラバラだった関連予算を集約して一括配分する司令塔「日本版NIH」の創設などを表明した。

 そして政府は5月24日、4月に成立した再生医療推進法に続き、iPS細胞を使う再生医療の実用化に向けた薬事法改正案と再生医療安全性確保法案を閣議決定して衆院に提出した。細胞医薬品の場合、従来の医薬品と同様の臨床試験や承認制度では有効性の確認に時間がかかるため、移植用に作った細胞など再生医療技術を活用した製品を「再生医療製品」と定め、一定の安全性が確認された段階で期限・条件付き承認を行い、販売開始後に安全性や有効性を検証して正式承認する制度を導入し、製造承認の審査を早めるようにした。

 再生医療安全性確保法案では、医療機関が患者から採取した細胞の培養や加工を企業に委託できるようにした。現在は医療機関しかできないため施設関連の費用が負担だったが、この法案によって医療機関は治療研究に専念できるようになる。一方で、再生医療の実施時には厚生労働相に届け出ることを義務付け、安全面に問題があれば改善命令を出す。これらの法案提出を受けて経済産業省や厚生労働省は、iPS細胞の培養に必要な機器や施設の具体的な安全基準の策定に着手している。

 なお与党は、薬事法改正案と再生医療安全性確保法案の今国会での成立を断念して先送りする方針を固めたようだが、方向性に大きな変化はないだろう。

バイオ・再生医療関連銘柄

 想定される関連市場としては、iPS細胞などを応用した新薬開発と臨床試験、iPS細胞の作製・選別・培養・安全性確認・評価・輸送などに関わる装置・容器・試薬・消耗品・サービスなどが期待される。大手医薬品メーカー、創薬・バイオベンチャー、臨床試験受託企業などは新薬開発への応用を加速させ、医療機器・試験装置メーカーを中心に良質なiPS細胞を確実に効率良く培養する装置の開発も進むだろう。

 なお先端医療センターと理化学研究所は13年2月、目の難病「加齢黄斑変性」の患者を対象として、iPS細胞を使った世界初の臨床試験計画を国に申請している。こうした動きが今後も加速するだろう。

周辺産業を含めた関連銘柄

製薬・創薬・バイオベンチャー・試薬・臨床試験関連

ジーエヌアイグループ<2160>、イナリサーチ<2176>、メディサイエンスプランニング<2182>、リニカル<2183>、JCLバイオアッセイ<2190>、テラ<2191>、シミックホールディングス<2309>、トランスジェニック<2342>、メディビックグループ<2369>、メディネット<2370>、アイロムホールディングス<2372>、総医研ホールディングス<2385>、新日本科学<2395>、DNAチップ研究所<2397>、綜合臨床ホールディングス<2399>、ファーマフーズ<2929>、ユーグレナ<2931>、旭化成<3407>、カネカ<4118>、イーピーエス<4282>、アステラス製薬<4503>、大日本住友製薬<4506>、ロート製薬<4527>、みらかホールディングス<4544>、栄研化学<4549>、日本ケミカルリサーチ<4552>、富士製薬工業<4554>、カイノス<4556>、医学生物研究所<4557>、アンジェスMG<4563>、オンコセラピー・サイエンス<4564>、そーせいグループ<4565>、免疫生物研究所<4570>、ナノキャリア<4571>、カルナバイオサイエンス<4572>、アールテック・ウエノ<4573>、キャンバス<4575>、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所<4576>、ラクオリア創薬<4579>、シンバイオ製薬<4582>、カイオム・バイオサイエンス<4583>、ジーンテクノサイエンス<4584>、UMNファーマ<4585>、メドレックス<4586>、ペプチドリーム<4587>、ファルコSDホールディングス<4671>、ビー・エム・エル<4694>、資生堂<4911>、タカラバイオ<4974>、リプロセル<4978>、イーピーミント<6052>、東北化学薬品<7446>、メディパルホールディングス<7459>、セルシード<7776>、札幌臨床検査センター<9776>など

医療機器・装置メーカー関連

エアウォーター<4088>、大陽日酸<4092>、住友ベークライト<4203>、テルモ<4543>、富士フイルムホールディングス<4901>、旭硝子<5201>、東洋製罐<5901>、日本エアーテック<6291>、住友重機械工業<6302>、渋谷工業<6340>、日立製作所<6501>、エイアンドティー<6722>、パナソニック<6752>、ソニー<6758>、横河電機<6841>、日本光電<6849>、シスメックス<6869>、日立メディコ<6910>、日本電子<6951>、フクダ電子<6960>、浜松ホトニクス<6965>、川崎重工業<7012>、島津製作所<7701>、JMS<7702>、川澄化学工業<7703>、プレシジョン・システム・サイエンス<7707>、ナカニシ<7716>、マニー<7730>、ニコン<7731>、オリンパス<7733>、朝日インテック<7747>、メディキット<7749>、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング<7774>、大研医器<7775>、日立ハイテクノロジーズ<8036>、ニプロ<8086>など

その他(医療専門情報・人材サービス、医療機器・医薬品・試薬・材料販売など)関連

エス・エム・エス<2175>、エムスリー<2413>、WDBホールディングス<2475>、カワニシホールディングス<2689>、アルフレッサホールディングス<2784>、山下医科器械<3022>、ほくやく・竹山ホールディングス<3055>、ディーブイエックス<3079>、バイタルケーエスケー・ホールディングス<3151>、メディアスホールディングス<3154>、ウイン・パートナーズ<3183>、シップヘルスケアホールディングス<3360>、コスモバイオ<3386>、アズワン<7476>、アイ・エム・アイ<7503>、日本ライフライン<7575>、日本エム・ディ・エム<7600>、星医療酸器<7634>、イワキ<8095>、東邦ホールディングス<8129>など。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 07:49 | 特集