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2015年05月29日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】カーリットホールディングスの16年3月期営業増益予想、0.6倍近辺の低PBRも評価して出直り

 カーリットホールディングス<4275>(東1)は自動車用緊急保安炎筒を主力として化学品、ボトリング、産業用部材などに事業展開している。株価は1月高値722円から反落して水準を切り下げたが、620円〜640円近辺で調整一巡感を強めている。0.6倍近辺の低PBRも評価材料であり、16年3月期営業増益予想を評価して出直り展開だろう。

 日本カーリットが株式移転で設立した純粋持株会社である。化学品事業(産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、信号炎管、危険性評価試験受託、2次電池試験受託、化成品関連、電子材料・機能性材料など)、ボトリング事業、産業用部材事業(半導体用シリコンウェーハ、研削材、耐火・耐熱金物など)を展開している。

 自動車用緊急保安炎筒は新車装着用・車検交換用を展開し、国内市場シェアは約8〜9割と想定されている。ボトリング事業は伊藤園<2593>向けが主力である。半導体用シリコンウェーハは小口径4〜6インチのニッチ市場を主力としている。海外は中国・上海、シンガポールに展開している。

 前中期経営計画「飛躍500」では「事業領域の拡大、市場の拡大、シェアの拡大という3つの拡大戦略により売上高500億円の化学会社への成長」を基本方針として、グループ収益基盤と総合力強化に向けたM&A戦略で事業の多角化を推進した。12年1月に工業用塗料販売・塗装工事の富士商事、12年8月に耐火・耐熱金物製造販売の並田機工、13年10月に一級建築士事務所の総合設計、14年2月に各種スプリング製造・販売の東洋発條工業を子会社化した。

 15年2月発表の新中期経営計画「礎100」では、18年の創業100周年を迎え、次の100年企業の礎となる事業基盤確立を推進する。目標数値として18年度の売上高650億円、営業利益35億円、15年度〜18年度4年間合計の設備投資額200億円を掲げた。中長期目標は24年度までに売上高1000億円到達としている。

 基本戦略としては、成長基盤強化(新商品・新規事業の創出と育成、M&Aや資本・技術提携など)、収益基盤強化(経営資源の有効配分、既存事業での領域拡大など)、グループ経営基盤強化(グループシナジーの最大化、子会社・事業の再編・統廃合、R&Dの新体制構築、海外展開の強化、CSR経営の推進など)を掲げている。

 新商品・新規事業の創出と育成に関しては、ロケット用など高エネルギー化学物質の宇宙産業への展開、環境・エネルギー関連の次世代蓄電デバイスへの展開、ライフサイエンス関連の医薬・農薬関連への展開、無機機能材料の車載向けへの展開など重点分野を一段と強化する方針だ。

 5月15日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比15.8%増の461億09百万円、営業利益が同24.8%減の11億99百万円、経常利益が同21.5%減の13億17百万円、純利益が同14.9%減の10億64百万円だった。

 配当予想については前期と同額の年間10円(期末一括)とした。配当性向は19.3%となる。なおROEは同1.5ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同2.1ポイント上昇して45.8%となった。

 東洋発條工業の新規連結も寄与して大幅増収だったが、利益面では新規連結子会社ののれん償却を含む販管費の増加、2次電池充放電受託試験設備の償却負担、ボトリング事業での自社生産品の減少などが影響して減益だった。

 セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)に見ると、化学品事業では、緊急脱出用ガラス破壊器具付き自動車用緊急保安炎筒「ハイフレヤープラスピック」や塩素酸ナトリウムの増販が寄与して売上高が同9.1%増の164億11百万円だったが、営業利益は売上構成変化や償却負担などで同56.2%減の3億72百万円だった。

 ボトリング事業は、夏場の天候不順や自社生産品の減少などが影響して、売上高が同0.1%減の191億13百万円、営業利益が同57.7%減の1億54百万円だった。

 産業用部材事業では耐火・耐熱金物等が大幅増販となり、東洋発條工業の新規連結も寄与して売上高が同80.4%増の91億51百万円、営業利益が同2.0倍の4億51百万円だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)106億67百万円、第2四半期(7月〜9月)115億52百万円、第3四半期(10月〜12月)110億29百万円、第4四半期(1月〜3月)128億61百万円、営業利益は第1四半期54百万円の赤字、第2四半期2億67百万円、第3四半期3億82百万円、第4四半期6億04百万円だった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期比1.9%増の470億円、営業利益が同8.4%増の13億円、経常利益が同6.3%増の14億円、純利益が同24.8%減の8億円、配当予想が前期と同額の年間10円(期末一括)としている。

 純利益は固定資産売却益が一巡して減益見込みだが、緊急脱出用ガラス破壊具付き自動車用緊急保安炎筒「ハイフレヤープラスピック」の拡販、2次電池充放電受託試験の本格稼働に伴う収益化、工業薬品のシェア拡大、光機能性材料の車載用・建材用熱線遮蔽フィルムの拡販、ボトリング事業での天候不順の影響一巡と新商品受注などで増収、営業増益、経常増益の見込みだ。

 中期的にも積極的なM&A戦略の効果、新商品・新規事業の育成、経営資源の有効配分、グループシナジーの最大化などで収益拡大基調が期待される。

 なお5月15日に、当社の取締役に対する新たな株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」を導入すると発表した。6月26日開催予定の第2回定時株主総会に付議する。

 株価の動きを見ると、1月高値722円から反落して水準を切り下げたが、620円〜640円近辺で調整一巡感を強めている。5月21日には655円まで上伸する場面があった。

 5月28日の終値641円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS38円97銭で算出)は16〜17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1020円60銭で算出)は0.6倍近辺である。

 日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線を突破した。また週足チャートで見ると26週移動平均線を一旦割り込んだが、52週移動平均線が接近して下げ渋る動きだ。サポートラインを確認した形だ。0.6倍近辺の低PBRも評価材料であり、16年3月期営業増益予想を評価して出直り展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:39 | アナリスト水田雅展の銘柄分析