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2015年08月27日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】カーリットホールディングスは水準切り下げたが売られ過ぎ感、0.6倍近辺の低PBRを見直し

 カーリットホールディングス<4275>(東1)は自動車用緊急保安炎筒を主力として化学品、ボトリング、産業用部材などに事業展開している。株価は7月発表の公募増資を懸念し、さらに地合い悪化も影響して水準を切り下げたが売られ過ぎ感を強めている。16年3月期営業増益予想や0.6倍近辺の低PBRを見直して反発展開だろう。

■化学品、ボトリング、産業用部材を展開、M&Aで事業多様化

 日本カーリットが株式移転で設立した純粋持株会社である。化学品事業(産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、信号炎管、化成品関連、電子材料・機能性材料、危険性評価試験受託、2次電池充放電試験受託など)、ボトリング事業、産業用部材事業(半導体用シリコンウェーハ、研削材、耐火・耐熱金物、スプリングワッシャーなど)を展開している。

 自動車用緊急保安炎筒は新車装着用・車検交換用を展開し、国内市場シェアは約8〜9割と想定されている。ボトリング事業は伊藤園<2593>向けが主力である。半導体用シリコンウェーハは小口径4〜6インチの市場を主力としている。海外は中国・上海、シンガポールに展開している。

 前中期経営計画「飛躍500」では「事業領域の拡大、市場の拡大、シェアの拡大という3つの拡大戦略により売上高500億円の化学会社への成長」を基本方針として、グループ収益基盤と総合力強化に向けたM&A戦略で事業の多角化を推進した。12年1月に工業用塗料販売・塗装工事の富士商事、12年8月に耐火・耐熱金物等製造販売の並田機工、13年10月に一級建築士事務所の総合設計、14年2月に各種スプリング製造・販売の東洋発條工業を子会社化した。

■新中期経営計画「礎100」で事業基盤確立を推進

 15年2月発表の新中期経営計画「礎100」では、18年の創業100周年を迎え、次の100年企業の礎となる事業基盤確立を推進する。目標数値として18年度の売上高650億円、営業利益35億円、15年度〜18年度4年間合計の設備投資額200億円を掲げた。中長期目標は24年度までに売上高1000億円企業としている。なお、配当性向は20〜30%を目標としている。

 基本戦略としては、成長基盤強化(新商品・新規事業の創出と育成、M&Aや資本・技術提携など)、収益基盤強化(経営資源の有効配分など)、グループ経営基盤強化(グループシナジーの最大化、子会社・事業の再編・統廃合、R&Dの新体制構築、海外展開の強化、CSR経営の推進など)を掲げている。

 新商品・新規事業の創出と育成に関しては、H−Uロケット用など高エネルギー化学物質の宇宙産業への展開、環境・エネルギー関連の次世代蓄電デバイスへの展開、ライフサイエンスのヘルスケア材料・農薬関連への展開、無機機能材料の車載向けへの展開など、重点分野を一段と強化する方針だ。

 15年7月には、R&Dセンターとグループ会社のシリコンテクノロジーが新たにサーモグラフィー用材料分野への参入を目指すと発表した。車載やセキュリティ用途、エネルギーマネジメント等で使用されるサーモグラフィー用材料分野の非冷却赤外線カメラ市場は、世界規模で2200億円(12年時点)に成長し、今後も拡大が予想されている。

 一方で、遠赤外線カメラやセンサーのレンズや窓材に使用される材料は、原料資源の絶対量が少なく、コスト高といった点で普及への障害となっている。このため当社は、低コストで大量供給が可能なシリコンをベースに高性能結晶材料を開発し、タムロン<7740>など国内外の複数の企業とサンプルテストを実施して良好な結果が得られている。16年度上期の上市を目指すとしている。

 また8月7日には日本カーリットが、同社所有の水力発電所である広桃(こうとう)発電所(群馬県前橋市)の大規模更新工事の実施を決定した。工事完了は17年度上期、投資額は約23億円の予定である。当社グループは「環境保全」をCSR活動の主要な方針の一つに掲げている。そして自前の水力発電所の活用により、CO2の発生量を年間7500トン以上削減している。

■16年3月期第1四半期は営業赤字縮小、通期営業増益予想

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)106億67百万円、第2四半期(7月〜9月)115億52百万円、第3四半期(10月〜12月)110億29百万円、第4四半期(1月〜3月)128億61百万円で、営業利益は第1四半期54百万円の赤字、第2四半期2億67百万円、第3四半期3億82百万円、第4四半期6億04百万円だった。

 また15年3月期の配当性向は19.3%だった。ROEは14年3月期比1.5ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同2.1ポイント上昇して45.8%となった。

 7月30日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.5%増の107億20百万円、営業利益が29百万円の赤字(前年同期は54百万円の赤字)、経常利益が17百万円の黒字(同12百万円の赤字)、純利益が26百万円の赤字(同71百万円の赤字)だった。化学品事業の増収効果などで営業赤字が縮小した。

 セグメント別(連結消去前)に見ると、化学品事業は売上高が同14.1%増の42億75百万円、営業利益が同160.8%増の1億36百万円だった。自動車用緊急保安炎筒は新車装着用の減少を車検交換用の増加がカバーした。受託評価分野では危険性評価試験や電池試験、化成品分野ではH−Uロケットの固体推進薬の原料である過塩素酸アンモニウムが大幅増収だった。

 ボトリング事業は売上高が同10.7%減の40億48百万円、営業利益が1億47百万円の赤字(同2億10百万円の赤字)だった。緑茶は増収だったが、缶製品および委託製品が減収となった。例年実施している定期修理も影響した。

 産業用部材事業は、売上高がシリコンウェーハの減収などで同2.3%減の20億89百万円、営業利益が売上構成の変化などで同94.7%減の7百万円だった。

 通期の連結業績予想は前回予想(5月15日公表)を据え置いて売上高が前期比1.9%増の470億円、営業利益が同8.4%増の13億円、経常利益が同6.3%増の14億円、純利益が同24.8%減の8億円としている。純利益は固定資産売却益一巡で減益見込みだが、需要が堅調に推移して増収、営業増益、経常増益見込みだ。配当予想は前期と同額の年間10円(期末一括)で予想配当性向は25.7%となる。

 セグメント別(連結調整前)の計画は、化学品事業の売上高が同3.6%増の170億円、営業利益が同34.1%増の5億円、ボトリング事業の売上高が同11.1%減の170億円、営業利益が同93.7%増の3億円、産業用部材事業の売上高が同9.3%増の100億円、営業利益が同11.5%減の4億円としている。

 取引先の会計処理変更によりボトリング事業が見かけ上の減収となるが、化学品事業の緊急脱出用ガラス破壊具付き自動車用緊急保安炎筒「ハイフレヤープラスピック」の拡販、2次電池充放電受託試験の本格稼働に伴う収益化、ボトリング事業での天候不順の影響一巡とコスト削減による収益改善、産業用部材事業の金属加工分野での拡販などが牽引する。

 中期的にも積極的なM&A戦略の効果、新商品・新規事業の育成、経営資源の有効配分、グループシナジーの最大化などで収益拡大基調が期待される。

■株価は水準を切り下げたが売られ過ぎ感

 株価の動きを見ると、7月6日発表の公募増資を懸念して600円台でのモミ合いから下放れ、さらに足元の地合い悪化も影響して550円近辺でのモミ合いから下放れた。8月25日には年初来安値450円まで下押す場面があった。調整局面の形だ。ただし売られ過ぎ感も強めている。

 8月26日の終値496円を指標面(予想EPSと実績BPSは7月の公募増資・第三者割当増資後の発行済株式総数2405万株で算出)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円26銭で算出)は14〜15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS857円54銭で算出)は0.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると14年5月以来の安値水準まで調整した。ただし日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。16年3月期営業増益予想や0.6倍近辺の低PBRを見直して反発展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:06 | アナリスト水田雅展の銘柄分析