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2015年11月10日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】カーリットHDは調整一巡して戻り歩調、第2四半期累計は大幅営業増益

 カーリットホールディングス<4275>(東1)は自動車用緊急保安炎筒を主力に化学品、ボトリング、産業用部材などに事業展開している。16年3月期第2四半期累計(4月〜9月)は大幅営業増益だった。そして通期ベースでも好業績が予想される。株価は調整が一巡して戻り歩調の展開だ。M&Aも活用した積極的な事業拡大戦略や0.6倍近辺の低PBRを評価する動きを強めそうだ。

■化学品、ボトリング、産業用部材を展開、M&Aで事業多様化

 日本カーリットが株式移転で設立した純粋持株会社である。化学品事業(産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、信号炎管、危険性評価試験受託、2次電池試験受託、化成品関連、電子材料・機能性材料など)、ボトリング事業、産業用部材事業(半導体用シリコンウェーハ、研削材、耐火・耐熱金物、スプリングワッシャーなど)を展開している。

 自動車用緊急保安炎筒は新車装着用・車検交換用を展開し、国内市場シェアは約8〜9割と想定されている。ボトリング事業は伊藤園<2593>向けが主力だ。半導体用シリコンウェーハは小口径4〜6インチの市場を主力としている。海外は中国・上海、シンガポールに展開している。

 前中期経営計画「飛躍500」では「事業領域の拡大、市場の拡大、シェアの拡大という3つの拡大戦略により売上高500億円の化学会社への成長」を基本方針として、グループ収益基盤と総合力強化に向けたM&A戦略で事業の多様化を推進した。12年1月に工業用塗料販売・塗装工事の富士商事、12年8月に耐火・耐熱金物製造販売の並田機工、13年10月に一級建築士事務所の総合設計、14年2月に各種スプリング製造・販売の東洋発條工業を子会社化した。

■新中期経営計画「礎100」で事業基盤確立を推進

 15年2月発表の新中期経営計画「礎100」では、18年の創業100周年を迎え、次の100年企業の礎となる事業基盤確立を推進する。目標数値として18年度の売上高650億円、営業利益35億円、15年度〜18年度4年間合計の設備投資額200億円を掲げた。中長期目標は24年度までに売上高1000億円企業としている。なお、配当性向は20〜30%を目標としている。

 基本戦略としては、成長基盤強化(新商品・新規事業の創出と育成、M&Aや資本・技術提携など)、収益基盤強化(経営資源の有効配分など)、グループ経営基盤強化(グループシナジーの最大化、子会社・事業の再編・統廃合、R&Dの新体制構築、海外展開の強化、CSR経営の推進など)を掲げている。

 新商品・新規事業の創出と育成に関しては、H−Uロケット用など高エネルギー化学物質の宇宙産業への展開、環境・エネルギー関連の次世代蓄電デバイスへの展開、ライフサイエンスのヘルスケア材料・農薬関連への展開、無機機能材料の車載向けへの展開など、重点分野を一段と強化する方針だ。

 15年7月には、R&Dセンターとグループ会社のシリコンテクノロジーが新たにサーモグラフィー用材料分野への参入を目指すと発表した。車載やセキュリティ用途、エネルギーマネジメント等で使用されるサーモグラフィー用材料分野の非冷却赤外線カメラ市場は、世界規模で2200億円(12年時点)に成長し、今後も拡大が予想されている。

 一方で、遠赤外線カメラやセンサーのレンズや窓材に使用される材料は、原料資源の絶対量が少なく、コスト高といった点で普及への障害となっている。このため当社は、低コストで大量供給が可能なシリコンをベースに高性能結晶材料を開発し、タムロン<7740>など国内外の複数の企業とサンプルテストを実施して良好な結果が得られている。16年度上期の上市を目指すとしている。

 15年8月には日本カーリットが、同社所有の水力発電所である広桃(こうとう)発電所(群馬県前橋市)の大規模更新工事の実施を決定した。工事完了は17年度上期、投資額は約23億円の予定である。当社グループはCSR活動の主要方針の一つに「環境保全」を掲げ、自前の水力発電所の活用によってCO2発生量を年間7500トン以上削減している。

 15年9月には、連結子会社の並田機工がアジア技研(北九州市)から溶接関連のスタッド事業(スタッドおよび溶接機械製造販売等)を譲り受けると発表した。スタッド関連を事業領域に加えて産業用部材事業の基盤強化および拡大を目指す。なお事業譲受は15年10月1日付で、並田機工の100%子会社としてアジア技研(大阪市)を新設(15年9月16日付)して承継する。

■第1四半期はボトリング事業の定期修理が影響する収益構造

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)106億67百万円、第2四半期(7月〜9月)115億52百万円、第3四半期(10月〜12月)110億29百万円、第4四半期(1月〜3月)128億61百万円で、営業利益は第1四半期54百万円の赤字、第2四半期2億67百万円、第3四半期3億82百万円、第4四半期6億04百万円だった。

 第1四半期はボトリング事業における定期修理が影響する収益構造だ。また15年3月期のROEは14年3月期比1.5ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同2.1ポイント上昇して45.8%、配当性向は19.3%だった。

■16年3月期第2四半期累計は大幅営業増益、通期も営業増益予想

 10月30日発表の今期(16年3月期)第2四半期累計(4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.0%増の226億58百万円で、営業利益が同104.6%増の4億37百万円、経常利益が同88.1%増の4億79百万円、純利益が同6.1%減の2億66百万円だった。

 産業用部材は事業環境の悪化などが影響して減収減益だったが、化学品の好調やボトリングの営業損益改善が牽引した。売上総利益率は同0.8ポイント上昇して14.5%、販管費比率は同0.1ポイント低下して12.5%だった。純利益については前期に計上した固定資産売却益が一巡して減益だった。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、化学品は売上高が同10.6%増の88億76百万円、営業利益が同287.5%増の2億48百万円だった。自動車用緊急保安炎筒は新車装着用の減少を車検交換用の増加がカバーした。受託評価分野では危険性評価試験や電池試験が増収、化成品分野ではH−Uロケット固体推進薬の原料である過塩素酸アンモニウムが大幅増収、電子材料分野では電気二重層キャパシタ用電解液などが増収だった。

 ボトリングは、売上高が同4.3%減の89億36百万円、営業利益が1億08百万円(前年同期は83百万円の赤字)だった。取引先の会計処理変更の影響で減収だったが、天候不順の影響一巡、緑茶の好調、缶製品の新商品などで委託数量が増加し、コスト削減効果も寄与して営業損益が大幅に改善した。

 産業用部材は、売上高が同3.8%減の43億10百万円で、営業利益が同83.2%減の39百万円だった。事業環境の悪化や円安による原価上昇が影響した。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)107億20百万円、第2四半期(7月〜9月)119億38百万円、営業利益は第1四半期29百万円の赤字、第2四半期4億66百万円だった。

 通期の連結業績予想は前回予想(5月15日公表)を据え置いて売上高が前期比1.9%増の470億円、営業利益が同8.4%増の13億円、経常利益が同6.3%増の14億円、純利益が同24.8%減の8億円としている。純利益は固定資産売却益一巡で減益見込みだが、化学品やボトリングの好調で増収、営業増益、経常増益見込みだ。配当予想は前期と同額の年間10円(期末一括)で予想配当性向は30.1%となる。

 セグメント別(連結調整前)の計画は、化学品事業の売上高が同3.6%増の170億円、営業利益が同34.1%増の5億円、ボトリング事業の売上高が同11.1%減の170億円、営業利益が同93.7%増の3億円、産業用部材事業の売上高が同9.3%増の100億円、営業利益が同11.5%減の4億円としている。

 取引先の会計処理変更によりボトリング事業が見かけ上の減収となるが、化学品事業の緊急脱出用ガラス破壊器具付き自動車用緊急保安炎筒「ハイフレヤープラスピック」の拡販、2次電池充放電受託試験の本格稼働に伴う収益化、ボトリング事業での天候不順の影響一巡とコスト削減による営業損益改善、産業用部材事業の金属加工分野での拡販などが牽引する。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.2%、営業利益が33.6%、経常利益が34.2%、純利益が33.3%である。やや低水準の形だが、第1四半期がボトリング事業における定期修理が影響して赤字となりやすい収益構造であり、現時点での低進捗率はネガティブ要因とはならない。

 営業損益改善基調であり、16年3月期通期ベースでも増収営業増益が予想される。そして中期的にも、積極的なM&A戦略の効果、新商品・新規事業の育成、経営資源の有効配分、グループシナジーの最大化などで収益拡大が期待される。

■株価は調整一巡して戻り歩調、0.6倍近辺の低PBRも評価材料

 なお10月30日に、取締役に対する新たな報酬制度として導入する株式給付信託(BBT)の詳細決定と、本制度導入に伴う自己株式処分を発表した。15年9月30日現在保有する自己株式39万1846株のうち30万株を第三者割当によって処分する。割当先は資産管理サービス信託銀行株式会社(信託E口)で、これによる調達資金(約1億54百万円)は全額をBBT運用資金に充当する。

 株価の動きを見ると、8月下旬〜9月上旬の年初来安値圏450円近辺から切り返し、10月末以降は540円台まで上伸している。調整が一巡して戻り歩調の展開だ。

 11月9日の終値546円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円81銭で算出)は16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.8%近辺、実績連結PBR(第2四半期累計実績の連結BPS952円46銭で算出)は0.6倍近辺である。なお時価総額は約130億円である。

 日足チャートで見ると上向きに転じた25日移動平均線がサポートラインとなった。また週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。調整が一巡して強基調に転換したようだ。16年3月期増収営業増益予想であり、M&Aも活用した積極的な事業拡大戦略や0.6倍近辺の低PBRを評価する動きを強めそうだ。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 07:58 | アナリスト水田雅展の銘柄分析