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2016年04月15日

【アナリスト水田雅展の銘柄分析】カーリットホールディングスはレンジ下限から切り返し、17年3月期増収増益期待

 カーリットホールディングス<4275>(東1)は自動車用緊急保安炎筒などを主力に、M&Aも積極活用して化学品、ボトリング、産業用部材などに事業展開している。16年3月期増収営業増益予想である。そして17年3月期も化学品事業の好調などで増収増益基調が期待される。株価は水準を切り下げて安値圏だが、0.5倍近辺の低PBRも注目され、レンジ下限から切り返す展開だろう。

■化学品、ボトリング、産業用部材を展開、M&Aで事業多様化

 日本カーリットが株式移転で設立した純粋持株会社である。化学品事業(産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、信号炎管、危険性評価試験受託、二次電池試験受託、化成品関連、電子材料・機能性材料など)、ボトリング事業、産業用部材事業(半導体用シリコンウェーハ、研削材、耐火・耐熱金物、スプリングワッシャーなど)を展開している。

 化学品事業の自動車用緊急保安炎筒は新車装着用・車検交換用を展開し、国内市場シェアは約8〜9割と想定されている。ボトリング事業は伊藤園<2593>向けが主力だ。産業用部材事業の半導体用シリコンウェーハは小口径4〜6インチのニッチ市場を主力としている。海外は中国、シンガポールに展開している。15年12月には並田機工のベトナム生産拠点設立計画を発表した。

 前中期経営計画「飛躍500」では「事業領域の拡大、市場の拡大、シェアの拡大という3つの拡大戦略により売上高500億円の化学会社への成長」を基本方針として、グループ収益基盤と総合力強化に向けたM&A戦略で事業の多角化を推進した。12年1月に工業用塗料販売・塗装工事の富士商事、12年8月に耐火・耐熱金物製造・販売の並田機工、13年10月に一級建築士事務所の総合設計、14年2月に各種スプリング製造・販売の東洋発條工業を子会社化した。

■新中期経営計画「礎100」で事業基盤確立を推進

 15年2月策定の新中期経営計画「礎100」では、18年の創業100周年を迎え、次の100年企業の礎となる事業基盤確立を推進する。目標数値として18年度の売上高650億円、営業利益35億円、15年度〜18年度4年間合計の設備投資額200億円を掲げた。中長期目標は24年度までに売上高1000億円企業としている。なお、配当性向は20〜30%を目標としている。

 基本戦略としては、成長基盤強化(新商品・新規事業の創出と育成、M&Aや資本・技術提携など)、収益基盤強化(経営資源の有効配分、新商品開発のスピードアップなど)、グループ経営基盤強化(グループシナジーの最大化、子会社・事業の再編・統廃合、R&Dの新体制構築、海外展開の強化、CSR経営の推進など)を掲げている。

 新商品・新規事業の創出と育成に関しては、H−Uロケット用など高エネルギー化学物質の宇宙産業への展開、環境・エネルギー関連の次世代蓄電デバイスへの展開、ライフサイエンスのヘルスケア材料の医薬・農薬関連への展開、遠赤外線カメラ用レンズ材料、無機機能材料など、重点分野を一段と強化する方針だ。

 15年7月にはR&Dセンターとグループ会社のシリコンテクノロジーが、サーモグラフィー用材料分野への参入を目指すと発表した。車載やセキュリティ用途、エネルギーマネジメントなどで使用されるサーモグラフィー用材料分野の非冷却赤外線カメラ市場は、世界規模で2200億円(12年時点)に成長して今後も拡大が予想されている。このため低コストで大量供給が可能なシリコンをベースに高性能結晶材料を開発し、タムロン<7740>など国内外の複数の企業とサンプルテストを実施して良好な結果が得られている。16年度上期の上市を目指すとしている。

 15年8月には、日本カーリットが同社所有の水力発電所である広桃(こうとう)発電所(群馬県前橋市)の大規模更新工事の実施を決定した。工事完了は17年度、投資額は約23億円の予定である。

 15年9月には、連結子会社の並田機工がアジア技研(北九州市)から溶接関連のスタッド事業(スタッドおよび溶接機械製造販売等)を譲り受けると発表した。スタッド関連を事業領域に加えて産業用部材事業の基盤強化および拡大を目指す。なお事業譲受は15年10月で、並田機工の100%子会社としてアジア技研(大阪市)を新設(15年9月)して承継した。

 15年12月には、並田機工がベトナムで耐火・耐熱金物を製造販売する100%出資子会社の設立(16年春設立、16年10月操業開始予定、売上計画5年後5億円)を計画し、ASEAN地域市場に参入することを計画していると発表した。当社グループにとってASEAN地域における初の生産拠点となる。

 15年12月には、完全子会社である日本カーリット、日本研削砥粒、および第一薬品興業の3社の合併(存続会社および新商号は日本カーリット、合併期日16年4月1日)を発表した。3社の経営を統合して経営資源の集約、経営の一層の合理化、事業展開・業務運営の一体化を図る。

 16年1月には、合成樹脂原材料の販売を手掛ける三協実業(東京都)の全株式を取得(取得価額3億48百万円、株式譲受16年2月2日)して子会社化すると発表した。新たに合成樹脂製品分野で事業展開を図る。

■第1四半期はボトリング事業の定期メンテナンスが影響する収益構造

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)106億67百万円、第2四半期(7月〜9月)115億52百万円、第3四半期(10月〜12月)110億29百万円、第4四半期(1月〜3月)128億61百万円、営業利益は第1四半期54百万円の赤字、第2四半期2億67百万円、第3四半期3億82百万円、第4四半期6億04百万円だった。

 第1四半期はボトリング事業における定期修理が影響する収益構造だ。15年3月期の売上総利益率は14.8%で14年3月期比0.7ポイント低下、販管費比率は12.2%で同0.7ポイント上昇、ROEは5.4%で同1.5ポイント低下、自己資本比率は45.8%で同2.1ポイント上昇した。配当性向は19.3%だった。

■16年3月期第3四半期累計は大幅営業増益

 前期(16年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、前年同期比2.7%増収、同34.4%営業増益、同27.1%経常増益、同0.9%最終減益だった。産業用部材が低調だったが、化学品の好調やボトリングの営業損益改善で増収、大幅営業増益・経常増益だった。売上総利益率は15.0%で同0.6ポイント上昇、販管費比率は12.6%で同0.1ポイント上昇した。なお特別利益で前期計上した固定資産売却益2億75百万円が一巡したため純利益は減益だった。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、化学品は売上高が同11.0%増の131億26百万円、営業利益が同67.9%増の4億60百万円だった。自動車用緊急保安炎筒は新車販売台数の低調に伴う新車装着用の減少を車検交換用の増加がカバーした。受託評価分野では危険性評価試験や電池試験が大幅増収、化成品分野ではH−Uロケット固体推進薬の原料である過塩素酸アンモニウムが大幅増収、電子材料分野では電気二重層キャパシタ用電解液やアルミ電解コンデンサ向け材料などが増収だった。

 ボトリングは売上高が同3.5%減の135億34百万円だったが、営業利益が同9.4倍の3億22百万円と大幅増益だった。一部取引先の会計処理変更の影響で減収だったが、自社工場生産品(緑茶)の好調、缶製品における新商品上市などで委託数量が増加し、コスト削減効果も寄与して営業損益が大幅に改善した。

 産業用部材は売上高が同4.1%減の65億93百万円、営業利益が同78.8%減の79百万円だった。シリコンウェーハやばね・座金製品などが中国の景気減速の影響を受け、円安による原価上昇も影響した。

 なお四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)107億20百万円、第2四半期(7月〜9月)119億38百万円、第3四半期(10月〜12月)114億81百万円、営業利益は第1四半期29百万円の赤字、第2四半期4億66百万円、第3四半期3億62百万円だった。

■16年3月期営業増益予想

 前期(16年3月期)通期の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前々期(15年3月期)比1.9%増の470億円、営業利益が同8.4%増の13億円、経常利益が同6.3%増の14億円、純利益が同24.8%減の8億円としている。

 純利益は固定資産売却益一巡で減益だが、化学品やボトリングの好調で増収、営業増益、経常増益予想だ。配当予想は前期と同額の年間10円(期末一括)で予想配当性向は30.1%となる。なお連結配当性向の目標は20〜30%としている。

 セグメント別(連結調整前)の計画を見ると、化学品事業は売上高が同3.6%増の170億円で、営業利益が同34.1%増の5億円、ボトリング事業は売上高が同11.1%減の170億円で、営業利益が同93.7%増の3億円、産業用部材事業は売上高が同9.3%増の100億円で、営業利益が同11.5%減の4億円としている。

 ボトリング事業が取引先の会計処理変更によって見かけ上の減収となるが、化学品事業における緊急脱出用ガラス破壊器具付き自動車用緊急保安炎筒「ハイフレヤープラスピック」の拡販、二次電池充放電受託試験の本格稼働に伴う収益化、ロケット打ち上げ本数増加による過塩素酸アンモニウムの増収、電気二重層キャパシタ用電解液などの好調、ボトリング事業における天候不順の影響一巡及び、自社工場生産品の受注増加、稼働率上昇、コスト削減などによる営業損益改善、産業用部材事業の金属加工分野における新規事業展開や海外展開などが牽引する。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が72.6%、営業利益が61.5%、経常利益が62.7%、純利益が64.0%である。やや低水準の形だが、第1四半期がボトリング事業における定期メンテナンスが影響する収益構造であり、現時点での低進捗率はネガティブ要因とはならない。

 営業損益は改善基調であり、今期(17年3月期)も増収増益基調が期待される。さらに中期的にも、積極的なM&A戦略の効果、新商品・新規事業の育成、経営資源の有効配分、グループシナジーの最大化などで収益拡大が期待される。

■株式給付信託(BBT)導入で自己株式処分

 なお15年10月に、取締役に対する新たな報酬制度として導入する株式給付信託(BBT)の詳細決定と、本制度導入に伴う自己株式処分を発表した。

 15年9月30日現在で保有する自己株式39万1846株のうち30万株を第三者割当によって処分する。割当先は資産管理サービス信託銀行株式会社(信託E口)で、これによる調達資金(約1億54百万円)は全額をBBT運用資金に充当する。

 そして15年11月に第三者割当による自己株式処分の完了を発表した。処分後の自己株式数は9万1846株となった。

■株価はレンジ下限から切り返し

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、2月安値458円を割り込むことなく、直近安値圏460円近辺から切り返す動きだ。調整が一巡したようだ。

 4月14日の終値490円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS33円81銭で算出)は14〜15倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.1%近辺、実績連結PBR(16年3月期第2四半期累計実績の連結BPS952円46銭で算出)は0.5倍近辺である。なお時価総額は約118億円である。

 週足チャートで見ると15年夏以降は450円〜550円近辺でボックス展開の形だ。そして15年8月450円、9月455円、16年2月458円、4月461円が下値支持線となっている。0.5倍近辺の低PBRも注目され、レンジ下限から切り返す展開だろう。

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