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2016年05月31日

【決算記事情報】科研製薬は17年3月期減収減益予想だが、15期連続増配で自己株式取得も実施

決算情報

 科研製薬<4521>(東1)は整形外科、皮膚科、外科などの領域を主力とする医薬品メーカーである。16年3月期は外用爪白癬治療剤クレナフィンが牽引して大幅増益だった。17年3月期は薬価改定の影響や研究開発費の増加で減収減益予想だが、15期連続の増配予想で自己株式取得も実施する。株価は安値圏だが、積極的な株主還元姿勢を評価して反発展開だろう。

■整形外科、皮膚科、外科領域を得意とする医薬品メーカー

 整形外科、皮膚科、外科といった領域を得意として、農業薬品や飼料添加物なども展開する医薬品メーカーである。

 医薬品・医療機器では、生化学工業<4548>からの仕入品である関節機能改善剤アルツを主力として、外用爪白癬治療剤クレナフィン、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、高脂血症治療剤リピディル、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーなどを展開し、ジェネリック医薬品も拡大している。

 日本初の外用爪白癬治療剤クレナフィン(一般名エフィナコナゾール)については、日本では当社が14年7月に製造販売承認を取得し、14年9月販売開始した。海外ではカナダのバリアント社が13年10月にカナダで承認を取得、14年6月に米国で承認を取得した。

 なおグループ経営の効率化を図るため、全額出資の連結子会社である科研不動産サービスを16年3月31日付で吸収合併した。

■歯周組織再生剤は16年中の承認取得見込み

 歯周組織再生剤「KCB−1D」(一般名:トラフェルミン)は、15年10月に製造販売承認を申請した。組換え型ヒトbFGFを有効成分とする歯科用薬剤で16年中の承認見込みとしている。販売チャネルは検討中としている。国内には歯周組織の再生を効能とする医療用医薬品がなく「KCB−1D」は初めての歯周組織再生剤として歯周炎治療の新たな選択肢となることが期待される。

 潰瘍性大腸炎を適応症とする「KAG−308」(旭硝子<5201>と共同開発の経口プロスタグランジン製剤)は、15年9月に第2相臨床試験を開始した。

 原発性局所多汗症を適応症とする「BBI−4000」(外用抗コリン剤)(15年3月に米ブリッケル・バイオテック社から導入、日本とアジア主要国における独占的開発・販売・製造権取得)は、第2相臨床試験の準備中である。

 4月26日には、イスラエルのメディウンド社が欧州およびイスラエルで販売している熱傷焼痂除去剤「NexoBrid」の独占的ライセンス実施許諾契約を締結し、日本における独占的開発・販売権を取得した。熱傷で生じる焼痂と呼ばれる壊死組織を除去する外用の酵素製剤である。今後両社は協力して製造販売承認取得に向けた開発を進める。

 なお関節機能改善剤アルツの腱・靱帯付着部症の適応追加「SI−657」(生化学工業と共同開発)は16年2月に開発中止を発表した。第3相臨床試験結果において期待していた有効性を明確には見いだせなかった。

 また15年5月に再評価申請を行っていたエンビナースについては、16年3月に販売を中止、自主回収を行った。


■外用爪白癬治療剤クレナフィンが15年3月期第3四半期から寄与

 なお15年3月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)214億64百万円、第2四半期(7月〜9月)227億68百万円、第3四半期(10月〜12月)269億23百万円、第4四半期(1月〜3月)227億34百万円、営業利益は第1四半期40億85百万円、第2四半期47億21百万円、第3四半期78億05百万円、第4四半期40億20百万円だった。

 第3四半期からカナダのバリアント社向けが寄与した。また15年3月期は13期連続の増配で配当性向は40.6%だった。ROEは14年3月期比2.2ポイント上昇して16.7%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して67.0%となった。

■16年3月期は大幅増収増益で増配

 5月12日発表した前期(16年3月期)連結業績は、売上高が前々期(15年3月期)比16.9%増の1097億30百万円となり、営業利益が同70.4%増の351億46百万円、経常利益が同73.4%増の353億65百万円、純利益が同74.4%増の211億43百万円だった。売上高が初めて1000億円を突破した。営業利益と純利益も過去最高を更新した。

 外用爪白癬治療剤クレナフィン(14年9月販売開始)の通期寄与が牽引した。関節機能改善剤アルツ、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、ジェネリック医薬品なども堅調に推移した。利益面では、自社創薬・開発の外用爪白癬治療剤クレナフィンの売上増加に伴って売上総利益率が上昇し、研究開発費の減少も寄与した。


 また主要医薬品・医療機器別の売上高は、関節機能改善剤アルツが同1.7%増の307億60百万円、外用爪白癬治療剤クレナフィンが同2.9倍の198億68百万円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同4.4%増の112億62百万円、高脂血症治療剤リピディルが同3.5%増の45億26百万円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同3.0%増の36億17百万円、ジェネリック医薬品合計が同7.4%増の132億92百万円だった。

 カナダのバリアント社向けJublia関連売上(原体売上、製剤売上、ロイヤリティ収入、マイルストーン収入)は同72.4%増の57億22百万円だった。

 自社創薬・開発の外用爪白癬治療剤クレナフィンの大幅増収に伴って差引売上総利益は同25.5%増加し、差引売上総利益率は56.2%で同3.9ポイント上昇した。販管費は同7.1%減少し、販管費比率は24.2%で同6.2ポイント低下した。パイプライン充実に向けた導入が遅れたことなどにより、研究開発費が17億31百万円減少(前々期76億15百万円、前期58億83百万円)した。研究開発費を除く販管費はほぼ横ばいだった。

 営業外費用では前々期計上の退職給付会計基準変更時差異処理額5億24百万円が一巡した。特別損失では前々期計上した固定資産売却損11億87百万円および長期前払費用償却5億25百万円が一巡した。また科研不動産サービス吸収合併に伴って法人税等調整額25億68百万円(繰延税金資産取り崩し)を計上した。

 ROEは25.3%で同8.6ポイント上昇した。自己資本比率は67.6%で同0.6ポイント上昇した。配当は第2四半期末34円、期末78円(普通配当68円+記念配当10円)とした。16年10月1日付の株式併合(2株を1株に併合)を考慮して、第2四半期末34円を68円(34円×2)に換算すると年間146円となり、前々期の換算後の年間118円(59円×2)に対して実質的に28円増配となる。14期連続の増配で、配当性向は28.6%である。

 なおセグメント別に見ると、薬業は売上高が同17.4%増の1073億91百万円、営業利益が同74.5%増の336億33百万円だった。不動産事業(文京グリーンコート関連の賃貸料)は売上高が同3.8%減の23億38百万円、営業利益が同11.4%増の15億13百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)276億33百万円、第2四半期(7月〜9月)273億40百万円、第3四半期(10月〜12月)304億58百万円、第4四半期(1月〜3月)242億99百万円、営業利益は第1四半期92億34百万円、第2四半期92億09百万円、第3四半期112億46百万円、第4四半期54億57百万円だった。

■17年3月期は薬価改定の影響で減収減益予想、15期連続増配予想

 今期(17年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比3.3%減の1061億円、営業利益が同17.8%減の289億円、経常利益が同17.7%減の291億円、純利益が同1.6%減の208億円としている。

 外用爪白癬治療剤クレナフィンは順調に拡大するが、薬価改定の影響(5%台半ば)やエンピナースの販売中止の影響、研究開発費の増加(前期比43億17百万円増加の102億円の見込み)などで減収減益予想としている。研究開発費については、複数の導入案件を交渉中で、原発性局所多汗症を適応症とする「BBI−4000」の臨床試験費用も見込んでいる。

 医薬品・医療機器別の売上高の計画は、関節機能改善剤アルツが同4.7%減の293億円、外用爪白癬治療剤クレナフィンが同19.8%増の238億円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同2.1%増の115億円、高脂血症治療剤リピディルが同5.0%減の43億円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同2.3%増の37億円、ジェネリック医薬品合計が同4.5%減の127億円としている。またカナダのバリアント社向けJublia関連売上(原体売上、製剤売上、ロイヤリティ収入、マイルストーン収入)は同28.3%減の41億円の計画としている。

 配当予想は年間150円(第2四半期末75円、期末75円)としている。16年10月1日付の株式併合(2株を1株に併合)を考慮して前期を年間146円(第2四半期末34円×2、期末78円)に換算すると実質的に4円増配となる。15期連続の増配予想である。また予想配当性向は29.9%%である。

■中期経営計画で19年3月期売上高1100億円目標

 「中期経営計画2018」では、19年3月期売上高1100億円を目指している。

 重点的な取り組みとしては、パイプライン充実を最優先課題として可能な限りの経営資源を配分する、クレナフィンおよび新製品の価値最大化を図り、かつ既存製品に関しては営業基盤の強化と効率化に取り組む、変革の時代にふさわしい創造力豊かな人材の育成に取り組むとしている。

■自己株式取得を実施

 5月12日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限60万株(自己株式除く発行済株式総数に対する割合1.4%)、取得価額総額の上限35億円、取得期間16年5月13日〜16年12月29日としている。

■株価は安値圏だが積極還元姿勢を評価

 15年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更し、中長期的な株価変動等を考慮しつつ投資単位を適切な水準に調整することを目的として15年10月1日付で2株を1株に併合した。

 株価の動きを見ると、水準を切り下げて安値圏で推移している。5月6日には年初来安値となる5700円まで調整した。ただし、その後は徐々に下値を切り上げている。5月25日には終値で6000円台を回復した。調整が一巡したようだ。

 5月31日の終値6290円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS502円34銭で算出)は12〜13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間150円で算出)は2.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2170円60銭で算出)は2.9倍近辺である。時価総額は約3046億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線突破の動きを強めている。積極的な株主還元姿勢を評価して反発展開だろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:31 | 決算発表記事情報