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2016年08月01日

【宮田修 アナウンサー神主のため息】こんなに便利でいいのですか?

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 先日、新聞の投書欄に「何でも自動で大丈夫か」という18歳の若者の意見が載せられていました。冒頭の部分を引用してみましょう。「最近、自動洗浄トイレが駅やデパート、学校でも見られるようになった。近づくと蓋が開き、離れると水が流れる。至れり尽くせりなトイレは魅力的で、家庭で使用する人も多い。しかし、このごろ私は何でも自動化していく世の中に「大丈夫?」と不安を感じるようになった。」というのです。この投書を読んで私はその通りと思わず声に出してしまいました。このお若い方は、すべてが自動になってしまえば自分が汚したものもそのまま放置するようになってしまうかも知れない。「自動」との付き合い方を見直してみようと思うと結んでいる。素晴らしいと私は思いました。

 私も最近あまりに便利すぎると感じることが多くなりました。例えば、今この原稿を書いています。原稿を書くと言えばかつては原稿用紙に向かい、鉛筆で一文字一文字マスを埋めていきました。書き損じると消しゴムで消し、新たに書き直します。付け加えたいことがあると吹き出しを作り書き加えました。何度も何度も直していると自分でも何を書いているのか判らなくなってしまうこともありました。そんな時は書き終わった後、清書しなければなりませんでした。今は違います。パソコンは実に便利です。私もパソコンに向かってこの原稿を書いています。原稿が書き終わるとかつては封書に入れて郵送していました。手間のかかる作業でした。今は違います。パソコンからメールで瞬時に送ることができます。確かに便利になり、助かります。この便利さは受け入れても良いのかなと考えます。

 しかし投書した若者が感じたように便利すぎて何かを失う可能性のある物もあります。例えば私も良く使うカーナビです。電話番号や住所を入力すると実に懇切丁寧に目的地に連れて行ってくれます。便利ですが、時々私は首を傾げます。カーナビを使うたびに何か自分の中のものを失っているように感じるのです。以前に比べて運転しながら外の景色を注意深く観察しなくなったように思います。ただただ目的地を目指すようになってしまうようになってしまった自分に気づくことがあります。カーナビを使うことでドライブする楽しみを放棄するようになってしまったのかも知れません。

 もう一つあります。インターネットの買い物です。わたしはこれまで一度だけ利用したことがあります。どなたかにパソコンを使って買い物ができると教えられびっくりして試してみようと思いました。実に簡単でした。何と次の日にはその商品が我が家に届いたのです。感動するほど便利でした。でもその後考えました。これだとどちらの商品を買おうか実際に手に取って迷う楽しさがないのです。また致命的なのはすべて我が家にいて買い物ができてしまいますので家に閉じこもりがちになってしまいます。これではいけないと思い直しパソコンの買い物は止めることにしました。

 便利なのは良いことだと誰もが思っているでしょう。確かに良いことだとは思いますが、何もかも便利な方が良いとも言えないのではないでしょうか。

 私は、健康維持のためスポーツジムに通っています。これも良く考えてみれば不思議です。便利さを否定的に捉えている私でさえ最近は体を動かす機会が少なくなりました。その結果ジムでの運動が必要になってしまったのです。どうやら私たちは日常の生活を今一度点検してみる必要がありそうだと私は考えているのです。(宮田修=元NHKアナウンサー、現在は千葉県長南町の宮司)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:31 | 宮田修 アナウンサー神主のため息