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2016年08月23日

【決算記事情報】科研製薬の17年3月期第1四半期は薬価改定などで減収減益、通期も減収減益予想だが15期連続増配

決算情報

 科研製薬<4521>(東1)は整形外科、皮膚科、外科などの領域を主力とする医薬品メーカーである。17年3月期第1四半期は薬価改定の影響などで減収減益だった。通期も薬価改定の影響や研究開発費の増加で減収減益予想だが、15期連続の増配予想である。株価は年初来安値圏だが売られ過ぎ感も強めている。積極的な株主還元姿勢を評価して反発が期待される。

■整形外科、皮膚科、外科領域を得意とする医薬品メーカー

 整形外科、皮膚科、外科といった領域を得意として、農業薬品や飼料添加物なども展開する医薬品メーカーである。

 医薬品・医療機器では、生化学工業<4548>からの仕入品である関節機能改善剤アルツを主力として、外用爪白癬治療剤クレナフィン、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、高脂血症治療剤リピディル、創傷治癒促進剤フィブラストスプレー、ジェネリック医薬品などを展開している。

 日本初の外用爪白癬治療剤クレナフィン(一般名エフィナコナゾール)については、日本では当社が14年7月に製造販売承認を取得し、14年9月販売開始した。海外ではカナダのバリアント社が13年10月にカナダで承認を取得、14年6月に米国で承認を取得した。

 なおグループ経営の効率化を図るため、全額出資の連結子会社である科研不動産サービスを16年3月31日付で吸収合併した。

■歯周組織再生剤は16年中の承認見込み

 歯周組織再生剤「KCB−1D」(一般名:トラフェルミン)は、15年10月に製造販売承認を申請した。組換え型ヒトbFGFを有効成分とする歯科用薬剤で16年中の承認見込みとしている。販売チャネルは検討中としている。国内には歯周組織の再生を効能とする医療用医薬品がなく「KCB−1D」は初めての歯周組織再生剤として歯周炎治療の新たな選択肢となることが期待される。

 潰瘍性大腸炎を適応症とする「KAG−308」(旭硝子<5201>と共同開発の経口プロスタグランジン製剤)は、15年9月に第2相臨床試験を開始した。

 原発性局所多汗症を適応症とする「BBI−4000」(外用抗コリン剤)(15年3月に米ブリッケル・バイオテック社から導入、日本とアジア主要国における独占的開発・販売・製造権取得)は、第2相臨床試験の準備中である。

 16年4月には、イスラエルのメディウンド社が欧州およびイスラエルで販売している熱傷焼痂除去剤「NexoBrid」の日本における独占的開発・販売権を取得した。熱傷で生じる焼痂と呼ばれる壊死組織を除去する外用の酵素製剤である。今後両社は協力して製造販売承認取得に向けた開発を進める。

 16年5月には韓国の東亞STと爪白癬治療剤クレナフィンの韓国における独占的供給契約を締結した。東亞STは韓国において17年の承認および販売を目指す。

 16年6月には和光純薬工業と、フィブラストスプレーの有効成分である組換え型ヒトbFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)について、再生医療研究用試薬「bFGF溶液,MF」として和光純薬工業が販売する契約を締結した。

 16年7月には杏林製薬と、杏林製薬が日本における独占販売権を取得したアレルギー性疾患治療薬デスロラタジンについて、両社によるコ・プロモーション(共同販促・1ブランド1チャネル)に関する基本覚書を締結した。デスロラタジンはMSDが製造販売承認申請中である。

 なお関節機能改善剤アルツの腱・靱帯付着部症の適応症追加「SI−657」(生化学工業と共同開発)は16年2月に開発中止を発表した。第3相臨床試験結果において期待していた有効性を明確には見いだせなかった。また15年5月再評価申請を行ったエンビナースは16年3月に販売を中止、自主回収を行った。

■爪白癬治療剤クレナフィンが15年3月期第3四半期から寄与

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期214億64百万円、第2四半期227億68百万円、第3四半期269億23百万円、第4四半期227億34百万円、営業利益が40億85百万円、47億21百万円、78億05百万円、40億20百万円、16年3月期は売上高が276億33百万円、273億40百万円、304億58百万円、242億99百万円、営業利益が92億34百万円、92億09百万円、112億46百万円、54億57百万円だった。爪白癬治療剤クレナフィンは15年3月期第3四半期から寄与した。

 16年3月期の連結業績は15年3月期比16.9%増収、同70.4%営業増益、同73.4%経常増益、同74.4%最終増益だった。売上高が初めて1000億円を突破し、営業利益と純利益も過去最高を更新した。14年9月販売開始の爪白癬治療剤クレナフィンが通期寄与し、研究開発費減少も増益要因となった。

 爪白癬治療剤クレナフィンの大幅増収に伴って、差引売上総利益は同25.5%増加し、差引売上総利益率は56.2%で同3.9ポイント上昇した。販管費は同7.1%減少し、販管費比率は24.2%で同6.2ポイント低下した。研究開発費はパイプライン充実に向けた新規大型導入契約に至らなかったため、17億31百万円減少(15年3月期76億15百万円、16年3月期58億83百万円)した。

 営業外費用では退職給付会計基準変更時差異処理額5億24百万円が一巡した。特別損失では固定資産売却損11億87百万円および長期前払費用償却5億25百万円が一巡した。また科研不動産サービス吸収合併に伴って法人税等調整額25億68百万円(繰延税金資産取り崩し)を計上した。ROEは25.3%で同8.6ポイント上昇、自己資本比率は67.6%で同0.6ポイント上昇した。

 配当は第2四半期末34円、期末78円(普通配当68円+記念配当10円)だった。15年10月1日付株式併合(2株を1株に併合)を考慮して、第2四半期末34円を68円(34円×2)に換算すると年間146円となり、15年3月期の換算後の年間118円(59円×2)に対して実質的に28円増配だった。14期連続増配で配当性向は28.6%だった。

 セグメント別に見ると薬業は売上高が同17.4%増の1073億91百万円で営業利益が同74.5%増の336億33百万円、不動産事業(文京グリーンコート関連賃貸料)は売上高が同3.8%減の23億38百万円で営業利益が同11.4%増の15億13百万円だった。

 主要医薬品・医療機器別売上高(単体)は関節機能改善剤アルツが同1.7%増の307億60百万円、爪白癬治療剤クレナフィンが同2.9倍の198億68百万円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同4.4%増の112億62百万円、高脂血症治療剤リピディルが同3.5%増の45億26百万円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同3.0%増の36億17百万円、ジェネリック医薬品(合計)が同7.4%増の132億92百万円だった。

 カナダのバリアント社向けJublia関連売上(原体売上、製剤売上、ロイヤリティ収入、マイルストーン収入)が同72.4%増の57億22百万円だった。

■17年3月期第1四半期は薬価改定の影響などで減収減益

 8月3日発表の今期(17年3月期)第1四半期(4〜6月)の連結業績は売上高が前年同期比5.1%減の262億28百万円、営業利益が同12.3%減の80億97百万円、経常利益が同12.2%減の82億17百万円、純利益が同8.0%減の57億96百万円だった。

 薬価改定の影響や研究開発費の増加で減収減益だった。売上総利益は同4.8%減少したが、売上総利益率は57.3%で同0.1ポイント上昇した。また販管費は同5.8%増加し、販管費比率は26.5%で同2.8ポイント上昇した。研究開発費は同4億91百万円増加(前期14億08百万円、今期18億99百万円)した。

 セグメント別に見ると薬業は売上高が同5.2%減の256億33百万円で営業利益が同13.0%減の76億92百万円だった。爪白癬治療剤クレナフィンは順調に売上を伸ばしたが、薬価改定の影響や爪白癬治療剤クレナフィンの海外導出先からの収入減少などが影響した。農業薬品は減収だった。不動産事業(文京グリーンコート関連賃貸料)は売上高が同0.9%減の5億94百万円で営業利益が同2.5%増の4億04百万円だった。

 主要医薬品・医療機器別の売上高(単体)は関節機能改善剤アルツが同3.3%減の77億54百万円、爪白癬治療剤クレナフィンが同28.8%増の57億96百万円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同0.5%減の27億01百万円、高脂血症治療剤リピディルが同0.8%増の11億33百万円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同1.9%増の9億41百万円、ジェネリック医薬品(合計)が同8.6%減の30億45百万円だった。Jublia関連売上(原体売上、製剤売上、ロイヤリティ収入、マイルストーン収入、契約一時金)は同39.8%減の10億33百万円だった。

■17年3月期は薬価改定の影響で減収減益予想だが、15期連続増配予想

 今期(17年3月期)連結業績予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期(16年3月期)比3.3%減の1061億円、営業利益が同17.8%減の289億円、経常利益が同17.7%減の291億円、純利益が同1.6%減の208億円としている。

 爪白癬治療剤クレナフィンは順調に拡大するが、薬価改定の影響、エンピナース販売中止の影響、研究開発費の増加(同43億17百万円増加の102億円計画)などで減収減益予想としている。研究開発費については複数の導入案件を交渉中で、原発性局所多汗症を適応症とする「BBI−4000」の臨床試験費用も見込んでいる。

 主要医薬品・医療機器別売上高(単体)は関節機能改善剤アルツが同4.7%減の293億円、爪白癬治療剤クレナフィンが同19.8%増の238億円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同2.1%増の115億円、高脂血症治療剤リピディルが同5.0%減の43億円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同2.3%増の37億円、ジェネリック医薬品(合計)が同4.5%減の127億円、Jublia関連売上(原体売上、製剤売上、ロイヤリティ収入、マイルストーン収入、契約一時金)が同28.3%減の41億円の計画としている。

 配当予想は年間150円(第2四半期末75円、期末75円)としている。15年10月1日付の株式併合(2株を1株に併合)を考慮して前期を年間146円(第2四半期末34円×2、期末78円)に換算すると実質的に4円増配となる。15期連続の増配予想である。また5月12日公表の予想配当性向は29.9%である。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が24.7%、営業利益が28.0%、経常利益が28.2%、純利益が27.9%と順調な水準である。

■中期経営計画で19年3月期売上高1100億円目標

 「中期経営計画2018」では、19年3月期売上高1100億円を目指している。

 重点的な取り組みとしては、パイプライン充実を最優先課題として可能な限りの経営資源を配分する、爪白癬治療剤クレナフィンおよび新製品の価値最大化を図り、かつ既存製品に関しては営業基盤の強化と効率化に取り組む、変革の時代にふさわしい創造力豊かな人材の育成に取り組むとしている。

■自己株式取得は7月21日終了

 5月12日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限35億円、取得期間16年5月13日〜16年12月29日)については、7月21日時点の累計で取得株式総数53万2500株、取得価額総額34億9935万2000円となって終了した。

■株価は年初来安値圏だが積極還元姿勢を評価

 株価の動きを見ると、7月の戻り高値圏7000円台から反落し、8月19日には5860円まで調整して5月の年初来安値5700円に接近した。第1四半期業績が嫌気され、内需関連株が売られる地合いも影響したようだ。

 8月23日の終値5940円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS505円78銭で算出)は11〜12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間150円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2170円60銭で算出)は2.7倍近辺である。時価総額は約2877億円である。

 週足チャートで見ると一旦突破した13週移動平均線と26週移動平均線を割り込んだが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が拡大して売られ過ぎ感を強めている。積極的な株主還元姿勢を評価して反発が期待される。


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