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2016年09月15日

カーリットホールディングスは下値切り上げて基調転換の動き、17年3月期減益予想だが低PBRを見直し

 カーリットホールディングス<4275>(東1)は化学品事業を主力に、M&Aも活用して規模拡大や事業多様化を推進している。当社はロケット用固体推進薬原料を国内で唯一製造しており、宇宙関連銘柄の一つである。17年3月期は中期経営計画で掲げている先行投資の影響により減益予想だが、積極的な事業展開で中期的に収益拡大が期待される。株価は下値を切り上げて基調転換の動きを強めている。0.5倍近辺の低PBRも見直して戻り歩調が期待される。

■化学品、ボトリング、産業用部材を展開、M&Aで事業多角化

 日本カーリットが株式移転で設立した持株会社である。グループ収益基盤と総合力強化に向けたM&A戦略で規模拡大と事業多角化を推進している。

 12年1月工業用塗料販売・塗装工事の富士商事、12年8月耐火・耐熱金物製造販売の並田機工、13年10月一級建築士事務所の総合設計、14年2月各種スプリング製造・販売の東洋発條工業を子会社化した。15年10月並田機工がアジア技研(北九州市)からスタッド事業(スタッドおよび溶接機械製造販売等)を譲り受け、アジア技研(大阪市)を新設して承継した。16年2月合成樹脂原材料販売の三協実業を子会社化した。

 16年3月期の売上高構成比は、化学品事業(産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、信号炎管、危険性評価試験受託、二次電池試験受託、化成品関連、電子材料・機能性材料など)40%、ボトリング事業38%、産業用部材事業(半導体用シリコンウェーハ、研削材、耐火・耐熱金物・スプリングワッシャーなど)19%、その他3%である。

 化学品事業の自動車用緊急保安炎筒は新車装着用・車検交換用を展開し、国内市場シェアは約8〜9割と想定されている。ボトリング事業は伊藤園<2593>向けが主力だ。産業用部材事業の半導体用シリコンウェーハは小口径4〜6インチのニッチ市場を主力としている。

 なお16年4月、完全子会社の日本カーリット、日本研削砥粒、第一薬品興業の3社が合併(存続会社および新商号は日本カーリット)した。経営資源の集約、経営の一層の合理化、事業展開・業務運営の一体化を図る。合併に伴い、今期より報告セグメントの区分変更を行っている。

 海外は15年12月、並田機工がベトナムで耐火・耐熱金物を製造販売する子会社を設立(16年春設立、16年10月操業開始予定)すると発表した。当社グループにとってASEAN地域における初の生産拠点となる。

■現中期経営計画「礎100」で事業基盤確立を推進

 15年2月策定の中期経営計画「礎100」では、18年の創業100周年を迎え、次の100年企業の礎となる事業基盤確立を推進する。目標数値として18年度の売上高650億円、営業利益35億円、15年度〜18年度4年間合計の設備投資額200億円を掲げた。中長期目標は24年度までに売上高1000億円企業としている。

 基本戦略としては、成長基盤強化(新商品・新規事業の創出と育成、M&Aや資本・技術提携など)、収益基盤強化(経営資源の有効配分、新商品開発のスピードアップなど)、グループ経営基盤強化(グループシナジーの最大化、子会社・事業の再編・統廃合、R&Dの新体制構築、海外展開の強化、CSR経営の推進など)を掲げている。

 新商品・新規事業の創出と育成に関しては、H−Uロケット用など高エネルギー化学物質の宇宙産業への展開、環境・エネルギー関連における次世代蓄電デバイスへの展開、ライフサイエンスのヘルスケア材料におけるバイオリファイナリー関連への展開、無機機能材料の車載向けへの展開など重点分野を一段と強化する。

 15年7月にはR&Dセンターとグループ会社のシリコンテクノロジーが、サーモグラフィー用材料分野への参入を発表した。車載、セキュリティ、エネルギーマネジメントなどで使用されるサーモグラフィー用材料分野の非冷却赤外線カメラ市場は拡大が予想されているため、低コストで大量供給が可能なシリコンをベースに高性能結晶材料を開発し、国内外の複数の企業とサンプルテストを実施して良好な結果が得られている。16年度上期の上市を目指すとしている。

 15年8月には日本カーリットが同社所有の水力発電所である広桃(こうとう)発電所(群馬県前橋市)の大規模更新工事の実施を決定した。工事完了は17年度上期、投資額は約23億円の予定である。

■第1四半期はボトリング事業の定期メンテナンスが影響する収益構造

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期106億67百万円、第2四半期115億52百万円、第3四半期110億29百万円、第4四半期128億61百万円、営業利益が54百万円の赤字、2億67百万円、3億82百万円、6億04百万円、16年3月期は売上高が107億20百万円、119億38百万円、114億81百万円、122億39百万円、営業利益が29百万円の赤字、4億66百万円、3億62百万円、4億51百万円だった。第1四半期はボトリング事業における定期メンテナンスが影響する収益構造だ。

 16年3月期は固定資産売却益が一巡して最終減益だが、M&Aによる新規連結も寄与して増収・営業増益・経常増益だった。売上総利益は同4.7%増加し、売上総利益率は15.4%で同0.6ポイント上昇した。販管費は同4.8%増加し、販管費比率は12.7%で同0.5ポイント上昇した。ROEは3.5%で同1.9ポイント低下、自己資本比率は48.0%で同2.2ポイント上昇した。また配当性向は30.2%だった。連結配当性向の目標は20〜30%としている。

 セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、化学品は売上高が同11.9%増の183億57百万円で営業利益が同73.7%増の6億47百万円だった。自動車用緊急保安炎筒は新車販売台数の低調に伴う新車装着用減少を車検交換用増加がカバーし、危険性評価試験、電池試験、H−Uロケット固体推進薬の原料である過塩素酸アンモニウムなどが大幅増収だった。

 ボトリングは売上高が同6.9%減の177億88百万円で営業利益が同2.7倍の4億14百万円だった。一部取引先の会計処理変更の影響で減収だが、生産量の増加ならびに、コスト削減効果などで営業損益が大幅改善した。産業用部材は売上高が同2.7%減の89億07百万円で営業利益が同78.7%減の96百万円だった。シリコンウェーハ、ばね・座金製品などが中国の景気減速などの影響を受けた。

■17年3月期第1四半期は営業黒字化

 今期(17年3月期)第1四半期(4〜6月)の連結業績は売上高が前年同期比9.6%増の117億50百万円、営業利益が46百万円の黒字(前年同期は29百万円の赤字)、経常利益が同6.0倍の1億01百万円、純利益が68百万円の黒字(同26百万円の赤字)だった。

 新規連結も寄与して営業黒字化した。売上総利益は同18.0%増加し、売上総利益率は13.5%で同1.0ポイント上昇した。販管費は同12.1%増加し、販管費比率は13.1%で同0.3ポイント上昇した。

 セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、化学品は売上高が同17.2%増の53億67百万円で、営業利益が同21.2%増の1億76百万円だった。産業用爆薬、パルプ漂白用塩素酸ナトリウム、除草剤、電極、研削材などが増収となり、子会社化した三協実業も寄与した。自動車用緊急保安炎筒は新車装着用が増加したが、車検交換用が減少して減収だった。危険性評価試験、電池試験は大幅減収だった。固体推進薬の原料である過塩素酸アンモニウムはH−Uロケット打ち上げ回数減少で大幅減収だった。

 ボトリングは売上高が同2.4%増の41億47百万円で、営業利益が1億18百万円の赤字(前年同期は1億47百万円の赤字)だった。主力の緑茶と缶珈琲が好調だったが、委託品が減少し、定期修理の影響で赤字だった。産業用部材は売上高が同11.6%増の19億87百万円で、営業利益が43百万円の黒字(同1百万円の赤字)だった。アンカー、リテーナ、ばね・座金製品などが増収だった。アジア技研から事業を譲り受けたスタッド事業も寄与した。

■17年3月期は減益予想だが中期的に収益拡大期待

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月16日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比10.0%増の510億円、営業利益が同4.0%減の12億円、経常利益が同2.3%減の13億円、純利益が同13.8%減の6億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間10円(期末一括)で予想配当性向は36.4%となる。

 M&A子会社の通期連結も寄与して増収だが、中期計画で打ち立てている先行投資や中国など新興国の景気減速や為替の影響など不透明な事業環境を考慮して減益予想としている。ただし保守的な印象も強い。

 中期的には緊急脱出時ガラス破砕機能付き自動車用緊急保安炎筒「ハイフレヤープラスピック」の拡販、二次電池充放電受託試験の収益化、コスト削減、そしてM&Aを含む積極的な事業展開で収益拡大が期待される。

■株価は下値切り上げて基調転換の動き、低PBRも見直し

 株価の動きを見ると、6月の年初来安値430円から7月安値449円、8月安値469円と下値を切り上げて基調転換の動きを強めている。

 9月15日の終値482円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS27円47銭で算出)は17〜18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS948円40銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約115億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が下値を支える形となって26週移動平均線を突破した。調整が一巡して強基調に転換する動きだ。0.5倍近辺の低PBRも見直して戻り歩調が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)



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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:41 | アナリスト水田雅展の銘柄分析