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2016年09月16日

アンジェスMGは核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤の国内特許成立

 アンジェスMG<4563>(東マ)は遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーである。重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の16年中の承認申請を目指している。9月15日には核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤の国内における特許成立を発表した。これを好感して株価が急伸する場面があった。なお16年8月発行の第28回新株予約権については9月15日時点で約3分の2が行使されている。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクト状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、および原発性リンパ浮腫分野)、およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に進めている。また導入開発品では、子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)、がん治療薬、DNAワクチンを用いたエボラ出血熱抗血清製剤などの開発も進めている。DNAワクチン事業を第3の柱に据える方針も打ち出している。

 16年6月、森下仁丹<4524>と子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権の再許諾に関する基本合意を発表した。当社は韓国バイオリーダース社から日本、米国、中国および英国における当治療ワクチンの独占的開発・製造・販売権の許諾を受け、東京大学医学部附属病院において医師主導臨床研究を行っている。今回の基本合意は当社が許諾を受けているCIN治療ワクチンの権利を森下仁丹に独占的に再許諾するもので、早期の正式契約締結を目指す。

 16年6月、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬について、開発にかかる期間と費用の削減および早期実用化を目的として、海外における開発戦略の変更を発表した。14年10月から北米中心に国際共同第3相臨床試験を実施しているが、試験完遂に当初計画より長い期間と多くの費用が必要であることが判明したため、現行の国際共同第3相臨床試験を終了し、新たな開発戦略として比較的短期間での完遂が可能な試験設計に変更する。当初計画から申請時期を遅らせることなく、試験費用を削減することを目指し、新たな試験計画について米FDAと協議する。なお条件・期限付承認の獲得を目指している国内における開発は、今回の海外開発戦略の変更とは関係なく予定通り実施する。

 16年7月、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を対象としたNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験の結果(速報)を発表し、NF−kBデコイオリゴDNA投与群とプラセボ投与群の間で統計学的な有意差は示されなかった。試験の詳細な結果が得られ次第、解析を行って今後の方針を検討する。

 16年7月、HGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬に次ぐ第3の柱として、次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業への本格進出を発表した。大阪大学と共同で高血圧治療を対象としたDNAワクチンの開発を進めてきたが、動物モデルで有効性を確認し、各種非臨床試験の完了に目途がついたため、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。がんやアレルギー疾患などにも応用できる可能性がある。

 16年7月、次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発完了を発表した。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は従来型の開発を継続するが、新たに開発を始めるデコイは基本的にキメラ型を主軸とする。喘息、慢性関節リウマチ、変形性関節症、クローン病(炎症性腸疾患)など炎症性疾患に対する治療薬の開発を目指し、臨床試験の実施に必要な前臨床試験を開始する。複数のターゲットを同時に抑制できるキメラデコイの製品開発に着手するのは世界初となる。

 16年7月、大阪大学との新たなドラッグデリバリーシステム(DDS)技術に関する共同研究契約締結を発表した。DDSは必要な量の薬物を目標とする細胞に効率的に送達するための技術である。次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」に新規DDSを組み合わせて動物試験(関節リウマチモデル)を行った結果、顕著な効果が示されたため「キメラデコイ」の炎症性疾患向け治療薬への応用を検討する。

 16年8月、DNAワクチン事業の基盤強化を目的として米バイオ企業Vical社への出資比率を引き上げ、米Vical社とのDNAワクチン分野を対象とした事業提携で基本合意した。正式契約締結に向けて協議を続ける。

 また16年8月、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の医師主導型臨床研究に関して3例目の投与開始を発表した。大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院に続き、愛媛大学医学部附属病院において被験者への投与が開始された。

 9月15日、ホソカワミクロン、森下仁丹、および大阪大学大学院医学系研究科と実施した産学共同開発プロジェクトの成果の一つである「核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤」の国内における特許成立を発表した。核酸医薬であるNF−kBデコイオリゴを、ホソカワミクロンが開発したPLGAナノ粒子に含有させ、さらに森下仁丹の持つ「腸溶性シームレスカプセル」に内包した経口製剤で、難治性炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の根治治療として期待される技術である。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトごとの状況を整理すると以下のとおりとなる。

 (1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では医師主導臨床試験を実施中である。6症例の実施を目指し、大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院に続き、16年8月愛媛大学医学部附属病院において3症例目の投与が開始された。条件・期限付早期承認制度を活用し、3例の結果をもって16年内の承認申請の可能性がある。また海外は計画を変更して米国で新たな試験計画を策定中だが、8月5日には日経産業新聞で米スタンフォード大学との提携が報道された。

 (2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

 (3)顔面アトピー性皮膚炎を対象とするNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤は、国内第3相臨床試験結果(速報)で有意差が示されなかったため、今後の方針を検討中である。

 (4)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は、米国で第1・2相臨床試験を準備中である。

(5)透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

 (6)次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発を完了した。新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。

 (7)次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業へ本格進出し、高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。さらに16年8月、米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げるとともに、DNAワクチン分野を対象とした事業提携で基本合意した。同社の持つDNAプラスミド(DNAワクチンの本体)製造設備や、同社が蓄積してきた米食品医薬品局(FDA)との対応・折衝の経験・ノウハウを活用できる。

 (8)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権については、16年6月森下仁丹に再許諾することで基本合意した。早期の正式契約締結を目指す。

■16年12月期は海外開発計画変更で計画比赤字縮小の可能性

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月5日公表)は研究開発費の増加で赤字が拡大する見込みだ。ただし重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の海外開発計画変更で、赤字が計画比縮小する可能性があるだろう。

 なお16年8月、第三者割当による第28回新株予約権(行使価額修正条項付)の募集を行い、払い込みが完了している。割当先は三田証券、発行新株予約権数は7万6500個(1個当たり100株で潜在株式数765万株)で、行使も概ね順調に進んでいる。

■株価はきっかけ次第で急反発の可能性

 株価の動きを見ると、NF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験結果(速報)や第28回新株予約権発行などを嫌気する形で水準を切り下げた。ただし9月15日には核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤の国内における特許成立発表を好感し、売買高を伴って前日比41円(17.68%)高の273円まで急伸する場面があった。日足チャートで見ると25日移動平均線が戻りを押さえる形だが、きっかけ次第で急反発の可能性がありそうだ。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)



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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 08:42 | アナリスト水田雅展の銘柄分析