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2016年10月20日

【小倉正男の経済コラム】ポピュリズム(大衆迎合)のもたらすもの

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■「聞いていない、記憶にない、分からない、覚えていない」

 「豊洲」「東京五輪カヌー会場」と問題(アジェンダ)が尽きることがない。TVのワイドショーなどネタに困らないということで、まさに「小池(百合子)劇場」化している。

 ところで、その豊洲市場の主要施設下に盛り土がなかった件――。
 小池百合子都知事が、石原慎太郎元都知事に質問状を出したが、石原慎太郎氏から届いたその回答は、「(自分は)聞いていない、記憶にない、分からない、覚えていない」。"ないない尽くし"ということである。

 石原慎太郎氏の都知事任期は、1999年4月〜2012年10月の長期に渡っている。
 それだけ長期に東京都知事だったというのは、よかれ悪しかれ世上の人気が高かったわけである。
 ところが、その東京の絶大の権力者だった人物が、「何も知らない」というゼロ回答を出してきたというのである。

 ともあれ、組織というものは何であれ権力者=トップが、時々変わることが必要であるという見本ということか。
 権力者が「何も知らない」では、「ガバナンスがない」、あるいは「ガバナンス以前の問題」になりかねない。無責任ということになるのではないか。

■豊洲、五輪会場問題のみならず尖閣諸島、新銀行東京・・・・

 石原慎太郎氏といえば、2012年4月に東京都による尖閣諸島購入計画を発表し、一般からの寄付金も募った。結果は、国が購入した。中国では、反日大暴動が起こった。進出していた日本企業は膨大な損害を受けたものである。

 これなども東京都が買う、国が買う、というのではなく、石原氏が個人資産を売却して、個人で買う気概を示すべきだったのではないか。
 東シナ海南西部の諸島を東京都が買うというのは、それこそ東京都議会やタックスペイヤー(納税者)の承認を得られるのか。

 石原氏が選挙公約に基づいてつくった新銀行東京(2005年開業)も結果は酷いことになった。「金融恐慌」時に、一般銀行の貸し渋りに悩む中小企業を救済するというのだが、巨大な不良債権の山を築いた。

 素人が、東京都はおカネがあり余っているからといって銀行に手を出すとは、無茶な話である。税金はたちまち巨額の不良債権になり果てた。
 それでも元都知事が、給料、ボーナス、退職金などを返上したという話は聞かない。

■ポピュリズム(大衆迎合)のその結果は

 結局、これはポピュリズム(大衆迎合)のもたらすものとはいえないか。

 石原氏は、1999年〜2012年の都知事時代に、ジーゼル車規制、新銀行東京、東京五輪、尖閣諸島etc――とかアジェンダを出し続けた。
 いわば、「石原劇場」化によって、東京の長期のガバナーであり続けたわけである。

 「石原劇場」はすでに終わった。アジェンダ=出し物は次々と変わったが、長すぎた。
石原氏は、豊洲問題で、「僕はだまされた」と語ったが、だまされたのはいったい誰だろうか。

 いまは「小池劇場」、出だしは上々といったところである。
 出し物を間違うことがなければ、拍手喝采が鳴り響くことになる。出し物が終わり、拍手喝采が終わった後に何が起こるか。

 東京都政のみならずだが、問題は拍手喝采が終わってからである。拍手喝采が鳴り終わった後に長らく語り継がれるような出し物になるか。
 石原氏のポピュリズムの悲惨な結末は、そうした教訓を残したといえる・・・。

(『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営―クライシス・マネジメントとは何か』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社編集局で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長、日本IR協議会IR優良企業賞選考委員などを歴任して現職)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:29 | 小倉正男の経済コラム