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2016年11月11日

【小倉正男の経済コラム】トランプ大統領が一転まっとうな人物に、目指すのは「強いアメリカ」か?

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■一転して「強いアメリカ」

 ドナルド・トランプ氏が大統領選挙に勝って、アメリカの利上げは吹き飛び、円高ドル安になると見られていた。

 トランプ氏は、「私は低金利主義者だ。物価上昇の兆しもない」「利上げをしてドル高になれば大問題になる」などと発言していたからだ。

 「強いアメリカ」を放棄して「弱いアメリカ」、すなわちフツーの国になるというのがトランプ氏の大統領選での一貫しての主張だった。ドル安が基調となるのは規定路線と思われていた。

 しかし、現実は猛烈な円安ドル高になっている――。トランプ氏が大型の減税や財政出動、そして規制緩和などを行えば、アメリカの景気は急浮上するという見方が出ている。

 目下の財政は巨額の赤字だが、景気が急浮上すれば、税収が上がり、財政も好転するということか。ダイナミックな政策転換になるということで、NY株は史上最高値を大きく更新し、強いドルに転じた。

 となれば、吹き飛ぶと見られていた利上げが復活して行われる流れになる。利上げが行われれば、おカネがアメリカに集まってくるからドルはさらに強い通貨になる。一転して「強いアメリカ」、いまやそんな見通しになっている。

■12月再利上げは復活か

 日本のほうはまだまだ「出口」が見つからない。「出口なし」みたいなものである。しかし、アメリカはどちらかといえば、猛烈に「出口」を見つけようとしていた。

 アメリカが探しているのは、リーマン・ショックからの「出口」にほかならない。

 アメリカの10月の雇用状況だが、非農業部門の就業者数は16万1000人増となった。失業率は4.9%と低水準を維持している。注目されるのは平均時給が前年比2.8%増という伸びをみせたことだ。2009年6月以来の高い伸び率ということになる。

 これにより、アメリカはこの12月に再利上げに進むという見方が大方のものとなっていた。利上げについてはFRB(連邦準備制度理事会)が判断するものだが、トランプ氏の大統領選の勝利ではたしてどうなるのか。

 「強いアメリカ」のベクトルが確定すれば、いずれにせよ再利上げという流れに入るのではないか。いまや12月再利上げの確率は高まっているという見方が復活している。

 ところで、日本の直近の労働力調査では、9月の就業者数は6497万人(前年同期比58万人増)となっている。22ヶ月連続の増加である。失業率は8月3.1%、9月3.0%と極端なほどの低水準で推移している。

 日本のほうは、安倍政権がアベノミクスを掲げて財界に賃上げを再三要請しているが、賃上げが進んだという状況にはない。日本の「出口」は、この20年来のデフレからの脱却なのだが、道のりはほど遠い。

■大統領選挙後は一転まっとうな人物に

 トランプ大統領の実現で、TPP(環太平洋経済連携協定)、日米安保などにわかに「不確実性」が高まっている。「不確実性」では、アメリカの利上げも同列であり、試金石になる。

 アメリカの平均時給2.8%増は、すなわち消費購買力のアップを意味する。時給が少し騰がったからといって利上げを行うというのも本来からいえばおかしなことである。

 ただし、トランプ氏によって、減税、財政出動、規制緩和などの大型の景気刺激策が打たれるということになれば、インフレ予防ということになるのか。

 いずれにせよFRBは12月に再利上げに踏み切るとしても、小幅なというか穏健なものにとどまる見込みと思われる。

 乱暴粗暴の極みだったトランプ氏は、大統領選後は一転してまっとうな人物として振舞うようになっている。その目指すものが、「強いアメリカ」なのか、フツーの国すなわち「弱いアメリカ」なのか。

 トランプ氏のまっとうな人物が本物なら、世界にとってどうあれ救いであることは間違いない。

(『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営―クライシス・マネジメントとは何か』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社編集局で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長、日本IR協議会IR優良企業賞選考委員などを歴任して現職)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:45 | 小倉正男の経済コラム