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2016年12月13日

神鋼商事は戻り歩調で年初来高値更新、17年3月期減収減益予想だが減益幅縮小期待

 神鋼商事<8075>(東1)は鉄鋼・鉄鋼原料・非鉄金属関連の専門商社である。KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。17年3月期は減収減益予想だが、第2四半期累計が計画超となり、通期も減益幅縮小が期待される。株価は戻り歩調で年初来高値を更新した。依然として指標面の割安感が強く、上値を試す展開が期待される。

■KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社

 神戸製鋼所<5406>系で鉄鋼製品、鉄鋼原料、非鉄金属、機械・情報、溶接材料・機器などを扱う専門商社である。M&Aも積極活用し、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。

 14年7月筒中金属産業が新設分割で設立した国内卸売事業会社(現コベルコ筒中トレーディング)を子会社化、15年5月コベルコ筒中トレーディングが韓国でアルミ高精度厚板の切断加工・卸売事業を展開している韓国筒中滑川アルミニウム(現ケーティーエヌ)を子会社化、15年8月ミャンマー・ヤンゴン市に神鋼商事ヤンゴン支店を開設した。

 16年1月非鉄金属材料の素材・加工品を販売する中山金属が新設分割で設立した国内外卸売事業会社の株式80%を取得し、国内外卸売事業会社および海外子会社を子会社化した。株式取得対象の国内外卸売事業会社の商号は中山金属(新)で、海外子会社は中国(上海)、タイ、インドネシアの3社である。16年4月神戸製鋼所の子会社で溶接材料、溶接機器、産業用機械などを扱う商社エヌアイウエル(現エスシーウエル)の株式80%を取得して子会社化した。

■メキシコ線材二次加工拠点でグローバル展開加速

 14年9月メキシコにおける線材二次加工拠点となる合弁会社KCHM(出資比率は当社40%、メタルワン25%、神戸製鋼所10%、大阪精工10%、メキシコGrupo Simec10%、米O&k American5%)を設立した。

 メキシコは世界の自動車・自動車部品メーカーの進出で自動車関連産業の成長が期待されており、自動車用ファスナーや冷間鍛造部品などの素材となる冷間圧造用鋼線を製造する。そして16年10月開所式を開催した。

■売上総利益率は改善傾向

 四半期別推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期2140億42百万円、第2四半期2124億16百万円、第3四半期2140億78百万円、第4四半期2298億71百万円、経常利益が16億38百万円、13億59百万円、17億44百万円、18億34百万円で、16年3月期は売上高が2163億60百万円、2031億23百万円、1893億35百万円、1825億24百万円、経常利益が20億49百万円、12億46百万円、13億33百万円、12億80百万円だった。

 16年3月期は、資源価格下落や期末にかけてのドル安・円高などの影響で、鉄鋼・半導体・電機業界向け取扱数量が減少し、鋼板製品の市況低迷、輸入鉄鋼原料の販売価格下落、国内人員増加による人件費増加なども影響して減収減益だった。売上総利益は同2.4%増加し、売上総利益率は3.4%で同0.4ポイント上昇した。販管費は同8.3%増加し、販管費比率は2.6%で同0.4ポイント上昇した。売上総利益率は改善傾向だ。

 営業外では為替差損益が悪化したが、デリバティブ評価損益が改善した。営業外収益では受取配当金が増加し、持分投資利益も増加した。特別利益では固定資産売却益が減少した。ROEは8.2%で同2.0ポイント低下、自己資本比率は17.1%で同0.7ポイント低下した。配当性向は20.4%だった。配当については企業体質の強化と将来の事業展開に必要な内部留保等を考慮しつつ、各期の業績に応じた配当を継続していくことを基本方針としている。

 セグメント別(連結調整前、経常利益)動向を見ると、鉄鋼は同1.1%減収で同11.5%減益、鉄鋼原料は同21.3%減収だが同53.8%増益、非鉄金属は同0.8%減収で同16.3%減益、機械・情報は同6.2%減収で同6.9%減益、溶材は同3.9%減収で同55.6%減益だった。

■17年3月期第2四半期累計は減収減益だが売上総利益率上昇

 今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)連結業績(9月30日に売上高を減額、各利益を増額)は、売上高が前年同期比14.7%減の3580億23百万円、営業利益が同38.0%減の18億67百万円、経常利益が同33.7%減の21億83百万円、純利益が同28.6%減の15億21百万円だった。円高進行や市況低迷による鋼材・資源価格下落などで減収減益だが、売上総利益率が上昇し、計画に対して減益幅が縮小した。

 売上総利益は同6.3%減少したが、売上総利益率は3.5%で同0.3ポイント上昇した。販管費は同2.9%増加し、販管費比率は3.0%で同0.5ポイント上昇した。また営業外では受取配当金が減少(前期5億82百万円、今期3億74百万円)し、デリバティブ評価損益が悪化(前期評価益3億66百万円、今期評価損1億34百万円)したが、持分法投資利益が増加(前期1億76百万円、今期3億86百万円)し、為替差損が減少(前期4億60百万円、今期0百万円)した。

 セグメント別(連結調整前、経常利益)動向を見ると、鉄鋼は同9.3%減収で同31.6%減益、鉄鋼原料は同27.3%減収で同15.7%減益、非鉄金属は同13.5%減収だが同17.2%増益、機械・情報は同9.2%減収で赤字、溶材は同12.9%増収で同99.0%増益だった。

 鉄鋼では、国内鋼板製品数量が在庫調整進展で増加したが、市況低迷と円高進行で価格が下落した。線材製品は国内外とも数量が横ばいで推移したが、自動車向けの下振れと円高進行で国内外とも価格が下落した。鉄鋼原料では、輸入鉄鋼原料の数量が減少し、価格も下落した。合金鉄、チタン原料は数量が横ばいだった。非鉄金属では、銅製品は地金価格下落の影響を受けたが、自動車向け端子材料用銅板条の数量が増加した。アルミ製品はハードディスク用ブランク材などが減少した。非鉄原料はアルミスクラップなどの数量が減少した。機械・情報ではタイヤ機械や金属成膜装置などが減少した。溶材では、溶接材料は韓国LNG案件の数量が増加し、溶接関連機器は鉄骨溶接ロボットなどが堅調だった。

 なお四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期1777億78百万円、第2四半期1802億45百万円、営業利益は7億93百万円、10億74百万円だった。

■17年3月期通期は最終減益幅縮小、期末配当を増額

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(9月30日に売上高と営業利益を減額、経常利益と純利益を増額修正)は、売上高が前期(16年3月期)比10.7%減の7070億円、営業利益が同33.1%減の39億円、経常利益が同22.1%減の46億円、純利益が同16.7%減の29億円としている。円高影響などで売上高と営業利益が計画を下回るが、第2四半期累計の増額で経常利益と純利益は計画を上回る。

 なおセグメント別(連結調整前、経常利益)の計画は、鉄鋼の売上高が2750億円で経常利益が20億円、鉄鋼原料の売上高が1750億円で経常利益が5億円、非鉄金属の売上高が1920億円で経常利益が11.5億円、機械・情報の売上高が710億円で経常利益が7億円、溶材の売上高が430億円で経常利益が3.5億円としている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.6%、営業利益が47.9%、経常利益が47.5%、純利益が52.5%である。概ね順調な水準だろう。

 配当予想(10月28日に増額修正)は、期末に創立70周年記念配当20円を実施し、前回予想に対して期末20円増額した。なお修正後の配当予想は10月1日付で10株を1株に株式併合しているため、第2四半期末4円、期末60円(普通配当40円、記念配当20円)となる。株式併合後に換算すると年間100円で、前期の換算後80円に対して実質的に20円増配となる。予想配当性向は30.5%となる。

■新中期経営計画で21年3月期経常利益80億円目標

 新中期経営計画(16年度〜20年度)では、10年後の姿をイメージした長期経営ビジョン(10年度発表)のもと、3つの全体戦略(グローバルビジネス加速、商社機能強化、経営基盤充実)を柱に諸施策を推進するとした。

 そして経営目標数値には、21年3月期売上高8900億円、経常利益80億円(鉄鋼35億円、鉄鋼原料13億円、非鉄金属24億円、機械・情報14億円、溶材6億円)、純利益52億円、海外取引比率50%(16年3月期実績40.5%)、自己資本比率20%以上、ROE8%以上、D/Eレシオ1.0倍、期末人員1840人(16年3月期末1508人)を掲げている。

 投資計画は4年間合計300億円で、鉄鋼(80億円)は北米・メキシコ・インドにおける線材二次加工設備増強、厚板溶断設備増強、鉄鋼原料(100億円)は北米・豪州・他における原料権益への投資、非鉄金属(50億円)はメキシコ・中国・韓国・ASEANなど海外事業拠点の増強、新事業拠点の設立、機械・情報(20億円)は国内外における機械メーカー、エンジニアリング、サービス会社への出資、溶材(10億円)は流通取引先への出資、本社(IT投資他)(40億円)はM&Aの検討、業務システム改善などを推進する。

■株価は戻り歩調で年初来高値更新

 株価の動き(16年10月1日付で10株を1株に併合、単元株式数を1000株から100株に変更のため、株式併合遡及修正後)を見ると、基調転換して戻り歩調の展開だ。そして12月12日には2480円まで上伸し、1月高値2420円を突破して年初来高値を更新した。

 12月12日の終値2438円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS327円50銭で算出)は7〜8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の株式併合を考慮した年間100円で算出)は4.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績に株式併合を考慮した連結BPS4753円60銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約216億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだ。目先的にはやや過熱感もあるが、一方では依然として指標面の割安感が強く、上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 08:15 | アナリスト水田雅展の銘柄分析