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2017年01月19日

Jトラストは15年の戻り高値に接近、銀行業を中心とする利益拡大へステージアップ

 Jトラスト<8508>(東2)は銀行業を中心とする持続的な利益拡大へのステージアップを目指して事業基盤強化に取り組んでいる。17年3月期は収益基盤強化に向けた貸倒引当金大幅追加繰入が影響するが黒字予想に変化はない。株価は昨年来高値を更新して15年5月の戻り高値に接近している。上値を試す展開が期待される。なお2月13日に第3四半期累計業績発表を予定している。

■金融事業を中心に国内外でM&Aを積極活用して業容拡大

 国内外でM&Aや債権承継などを積極活用して業容を拡大している。そして銀行業を中心とする持続的な利益拡大へのステージアップを目指し、国内外において事業基盤の強化に取り組み、特に韓国やインドネシアなどアジア地域での事業拡大を推進している。

 事業セグメントは、国内金融事業(信用保証業務、債権回収業務、クレジット・信販業務、その他の金融業務)、韓国金融事業(貯蓄銀行業務、債権回収業務、キャピタル業務)、東南アジア金融事業(銀行業務、債権回収業務、販売金融業務)、総合エンターテインメント事業(アミューズメント施設運営、アミューズメント機器用景品販売、遊戯機周辺機器に関するコンピュータシステム等の開発・製造・販売)、不動産事業(戸建分譲中心の不動産売買、流動化不動産中心の収益物件仕入・販売)、投資事業、その他事業(遊技場中心の各種商業施設設計・施工、システム開発など)としている。

 16年3月期のセグメント別(連結調整前)営業収益構成比は、国内金融事業が15%、韓国金融事業が33%、東南アジア金融事業が16%、総合エンターテインメント事業が22%、不動産事業が8%、投資事業が4%、その他事業が2%だった。なお非金融分野の総合エンターテインメント事業および不動産事業は、連結子会社のアドアーズ<4712>(12年6月子会社化)が展開している。

■国内金融事業は新規ビジネスとしてビットコインサービスも開始

 国内金融事業では、日本保証(12年3月ロプロが武富士の消費者金融事業を承継、12年9月ロプロと日本保証が合併)、Jトラストカード(11年8月楽天KCを子会社化、15年1月「KCブランド」事業を譲渡、14年3月子会社化した個品割賦事業NUCSの「NUCSブランド」事業を承継、15年1月Jトラストカードに商号変更、15年5月完全子会社化)などを傘下に置いている。

 15年3月Jトラストベンチャーキャピタル合同会社がSmartEbook<2330>の無担保転換社債型新株予約権付社債および新株予約権を引き受け、15年4月子会社クレディアの全株式を売却した。

 16年6月子会社Jトラストフィンテックがビットコイン取引サービス「J−Bits」を提供開始した。Jトラストフィンテックは第1弾として15年8月からブロックチェーン情報サイト「コインポータル」を運営し、第2弾として「J−Bits」を開始した。

 16年9月には、15年4月に持分法適用関連会社化した日本最大ビットコイン取引所を営むBTCボックスの全株式(当社保有割合15.97%)を、夢真ホールディングス<2362>に売却した。経営資源の効率化や厳格なガバナンス・コンプライアンス体制確立の観点から、フィンテック事業を子会社Jトラストフィンテックに集約する。

■韓国金融事業は総合金融サービス展開に向けた事業基盤整備が完了

 韓国金融事業は、12年10月に貯蓄銀行認可を受けたJT親愛貯蓄銀行(15年7月親愛貯蓄銀行から商号変更)が13年1月韓国・ソロモン貯蓄銀行から、13年6月韓国・エイチケー貯蓄銀行から消費者信用貸付債権の一部を譲り受けた。さらに14年3月韓国・ハイキャピタル貸付および韓国・ケージェイアイ貸付を子会社化、14年8月韓国・ハイキャピタル貸付、韓国・ケージェイアイ貸付および韓国・ネオラインクレジット貸付の貸付事業を韓国・JT親愛貯蓄銀行に譲渡した。

 また15年1月韓国・JT貯蓄銀行(スタンダードチャータード貯蓄銀行から商号変更)の全株式を取得、15年3月韓国・JTキャピタル(スタンダードチャータードキャピタルから商号変更)の全株式を取得した。15年10月ネオラインクレジット貸付およびハイキャピタル貸付の全株式を譲渡して連結子会社から除外した。韓国において総合金融サービスを展開するうえでの事業基盤整備が完了した。

 16年10月には韓国金融委員会の承認等が得られることを条件としてDH貯蓄銀行を100%子会社化(株式譲渡日は6ヶ月以内)すると発表した。これにより、JT親愛貯蓄銀行およびJT貯蓄銀行と併せて、韓国における貯蓄銀行部門の営業エリア計6エリアのうち5エリアをカバーすることになり、これまで以上に韓国全土における営業強化が可能となる。

■東南アジア金融事業は成長市場のインドネシアに積極展開

 東南アジア金融事業は13年12月シンガポールの子会社Jトラストアジアがインドネシアのマヤパダ銀行と資本業務提携、14年11月インドネシアのJトラストインドネシア銀行(15年6月ムティアラ銀行から商号変更)を連結子会社化、15年5月Jトラストアジアの子会社Jトラスト・インベストメント・インドネシアを設立、16年5月インドネシアのマヤパダ銀行の全株式を売却した。

 またJトラストアジアは、オートバイ販売金融事業のタイ・GL社に対して15年5月転換社債引き受け、15年12月株式転換権行使、16年8月転換社債引受、さらに16年10月転換社債引受(GL取締役会承認、タイ証券取引委員会承認、GL株主総会承認を前提)を発表した。全額転換後の持株比率は14.3%となる予定だ。タイ・GL社をインドネシアにおける戦略的パートナーとした。

 16年7月には、Jトラストアジアがタイ・GL社と共同でインドネシアに設立した割賦販売金融事業のGLFI社(16年2月設立、出資比率20%で持分法適用関連会社)が所要の免許を取得して業務開始した。

 16年10月にはJトラストアジアが、モンゴル国金融規制委員会の許可が得られることを前提として、モンゴルのファイナンス事業会社であるCCI社の全株式を取得して子会社化すると発表した。

 16年11月にはJトラスト銀行インドネシアの株式をタイ・GL社に譲渡(GL社株主総会承認前提)すると発表した。戦略的パートナーであるGLグループの事業提携に関するコミットメントを深め、さらなるパートナーシップの強化を図る。

■M&A・のれん償却・事業再編・不良債権処理などで収益変動

 四半期別の推移を見ると、15年3月期は営業収益が第1四半期159億28百万円、第2四半期160億51百万円、第3四半期161億41百万円、第4四半期151億61百万円、営業利益が3億58百万円の赤字、22億74百万円の赤字、6億89百万円の赤字、18億96百万円の赤字、16年3月期は営業収益が194億90百万円、182億88百万円、201億69百万円、175億31百万円、営業利益が19億51百万円の赤字、3億84百万円の赤字、2億27百万円の黒字、20億06百万円の赤字だった。

 M&A・のれん償却・事業再編・不良債権処理などで収益が大幅に変動する可能性がある。なお国際財務報告基準(IFRS)は任意適用時期を延期した。新たな公認会計士(優成監査法人)のもとでIFRS開示体制の整備を行うとしている。

 16年3月期(日本基準)の営業収益は過去最高を更新した。JT貯蓄銀行およびJトラストインドネシア銀行の通期連結も寄与して、銀行業における営業収益が増加した。営業利益は赤字が縮小した。事業規模拡大に伴って人件費、のれん償却、銀行業における営業費用が増加したが、貸倒引当金繰入額や利息返還損失引当金繰入額など貸倒関係費が減少した。経常利益、純利益は為替差損益悪化、負ののれん発生益一巡などで赤字だった。

 営業総利益は15年3月期比7.4%増加したが、営業総利益率は48.4%で同5.3ポイント低下した。販管費は同3.6%増加したが、販管費比率は53.8%で同8.2ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化(15年3月期差益28億14百万円、16年3月期差損8億71百万円)し、特別利益では負ののれん発生益145億73百万円が一巡した。ROEはマイナス3.3%で同8.9ポイント低下、自己資本比率は32.1%で同2.7ポイント低下した。

 配当は同2円増配の年間12円(第2四半期末5円、期末7円)だった。利益配分については、将来の経営環境や業界動向を総合的に勘案しながら、積極的な利益還元を図ることを基本方針としている。

 セグメント別の営業利益(連結調整前)は、国内金融事業が同2.1倍の37億99百万円、韓国金融事業が2億60百万円の黒字(同62億96百万円の赤字)、東南アジア金融事業が78億98百万円の赤字(同1億57百万円の赤字)、総合エンターテインメント事業が4億75百万円の赤字(同3億85百万円の黒字)、不動産事業が同24.3%増の5億円、投資事業が同4.1倍の25億62百万円、その他事業が1億93百万円の赤字(同45百万円の黒字)だった。

 なお16年3月期連結業績をIFRSベースで推計すると営業収益747億円、営業利益21億円で営業黒字化を達成したとしている。日本基準と比べて、減損損失振替の影響がマイナス17億円、Jトラストインドネシア銀行の期ずれの影響がプラス12億円、のれん償却額の影響がプラス30億円、貸倒引当金の計算における差異の影響がプラス34億円、国内金融事業における買取債権の公正価値の増加の影響がプラス3億円になるとしている。さらに韓国金融事業において債権評価を実効金利法に変更した影響や負ののれんの影響を考慮すると、事業利益の水準は64億円相当としている。

■17年3月期第2四半期累計(日本基準)は赤字拡大

 今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)の連結業績(日本基準)は、営業収益が前年同期比6.2%増の401億35百万円だが、営業利益が39億40百万円の赤字(前年同期は23億35百万円の赤字)、経常利益が54億04百万円の赤字(同22億円の赤字)、純利益が76億65百万円の赤字(同23億20百万円の赤字)だった。

 国内金融事業は安定した成長で営業利益22億円を計上し、韓国金融事業も営業費用が減少して営業損益が改善したが、東南アジア金融事業のJトラスト銀行インドネシアにおいて貸倒引当金46億円を計上し、タイGL社転換社債評価損14億円計上も影響して営業赤字が拡大した。またJトラスト銀行インドネシアにおいて事業構造改革費用を特別損失に計上した。

 セグメント別営業利益(連結調整前)は国内金融事業が同42.1%増の22億19百万円、韓国金融事業が8億58百万円の黒字(同1億26百万円の赤字)、東南アジア金融事業が60億98百万円の赤字(同34億71百万円の赤字)、総合エンターテインメント事業が同79.9%減の11百万円、不動産事業が同37.7%減の1億62百万円、投資事業が同9.7%減の6億34百万円、その他事業が41百万円の赤字(同1億72百万円の赤字)だった。

 四半期別の業績推移を見ると、営業収益は第1四半期205億07百万円、第2四半期196億28百万円、営業利益は11億89百万円、51億29百万円の赤字だった。

■17年3月期通期(日本基準)は黒字予想

 今期(17年3月期)連結業績予想(日本基準)(11月11日に減額修正)は、営業収益が前期(16年3月期)比17.9%増の889億73百万円、営業利益が42億02百万円の黒字(前期は41億14百万円の赤字)、経常利益が26億91百万円の黒字(同46億78百万円の赤字)、純利益が1億32百万円の黒字(同57億12百万円の赤字)としている。

 営業収益については韓国金融事業と東南アジア金融事業が想定を下回る。営業利益については営業収益の減少に加えて、Jトラスト銀行インドネシアにおける収益基盤強化に向けた貸倒引当金大幅追加繰入によって販管費が増加する。経常利益については営業利益の減少に加えて、円高に伴う為替差損計上が影響する。純利益については経常利益の減少に加えて、Jトラスト銀行インドネシアの特別損失(事業構造改革費用)計上が影響する。

 配当予想は据え置いて前期と同額の年間12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は国内金融事業が41億92百万円、韓国金融事業が31億19百万円、東南アジア金融事業が65億14百万円の赤字、総合エンターテインメント事業が68百万円、不動産事業が4億27百万円、投資事業が54億55百万円、その他事業が1億05百万円の赤字としている。投資事業はインドネシア・マヤパダ銀行の株式売却益を計上する。

■18年3月期ROE10.0%目標

 15年5月策定の中期経営計画では中期ビジョンとして「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業を目指す」を掲げ、経営目標数値は最終18年3月期営業収益1421億円、営業利益217億円、ROE10.0%としている。セグメント別営業利益(連結調整前)の計画は国内金融事業44億円、韓国金融事業83億円、東南アジア金融事業53億円、総合エンターテインメント事業11億円、不動産事業7億円、その他非金融事業5億円である。

 事業拡大が望めるアジア銀行業からの利益貢献を中心として、成長市場におけるIRR15%以上の投資案件をターゲットに3年間で500億円〜1000億円の投資を目指す。また株式価値の最大化を経営の最重要課題の一つとして位置付け、株価が割安であると判断したときには機動的に自社株買いを実施する。

 国内金融事業では消費者金融事業を縮小し、不動産関連の信用保証事業および債権回収事業を拡大するとともに、M&Aを活用して新分野への進出を目指す。韓国金融事業ではグループ内の相互連携を通じて各事業を有機的に連携させ、債権残高積み増しと収益拡大に取り組む。東南アジア金融事業では、Jトラストインドネシア銀行の不良債権回収事業の収益強化と財務健全性の向上に取り組むとともに、さらなるM&Aを推進する方針だ。

 中期成長に向けて、M&Aや事業再編を活用したグループの事業基盤構築・強化に取り組んでいるため、M&A・事業再編および事業構造改革に伴う一時的利益・費用の計上で収益が大幅に変動する可能性もあるが、韓国事業の収益改善、東南アジアへの積極的な業容拡大、グループシナジーなどの効果で銀行業の収益が本格化し、中期的に収益拡大が期待される。

 なお16年5月に東証1部への申請に向けた検討を開始したと発表し、17年3月末を目途に申請を行いたいとしている。

■株価は15年5月の戻り高値に接近

 株価の動きを見ると、昨年来高値更新の展開となって1月18日には1276円まで上伸した。そして15年5月の戻り高値1335円に接近している。

 1月18日の終値1262円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円25銭で算出)は1010倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1455円90銭で算出)は0.9倍近辺である。なお時価総額は約1420億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して再動意となり、サポートラインを確認した形だ。15年5月の戻り高値1335円を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 07:05 | アナリスト水田雅展の銘柄分析