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2017年02月23日

【決算記事情報】科研製薬は17年3月期第3四半期累計減益だが、利益進捗率高水準で通期上振れ余地

決算情報

 科研製薬<4521>(東1)は整形外科、皮膚科、外科などの領域を主力とする医薬品メーカーである。薬価改定などで17年3月期第3四半期累計が減収減益となり、通期も減収減益予想だが、研究開発費次第では通期利益予想に上振れの可能性がありそうだ。配当は15期連続増配予想である。株価は昨年来安値更新したが、第3四半期累計業績発表で悪材料出尽くしとなり、切り返しの動きを強めている。戻りを試す展開が期待される。

■整形外科、皮膚科、内科領域を得意とする医薬品メーカー

 整形外科、皮膚科、外科といった領域を得意として、農業薬品や飼料添加物なども展開する医薬品メーカーである。

 医薬品・医療機器では、生化学工業<4548>からの仕入品である関節機能改善剤アルツを主力として、外用爪白癬治療剤クレナフィン、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、高脂血症治療剤リピディル、創傷治癒促進剤フィブラストスプレー、ジェネリック医薬品などを展開している。

■日本初の外用爪白癬治療剤クレナフィンが主力製品に成長

 日本初の外用爪白癬治療剤クレナフィン(一般名エフィナコナゾール)については、日本では当社が14年7月に製造販売承認を取得し、14年9月販売開始した。海外ではカナダのバリアント社が13年10月にカナダで承認を取得、14年6月に米国で承認を取得した。また16年5月には韓国の東亞STと爪白癬治療剤クレナフィンの韓国における独占的供給契約を締結した。東亞STは韓国において17年の承認および販売を目指す。

 なお外用爪白癬治療剤クレナフィンの16年3月期売上高は198億68百万円となり、関節機能改善剤アルツに次ぐ主力製品に成長した。

■歯周組織再生剤「リグロス」は16年9月承認取得、12月発売

 歯周病組織再生剤「リグロス歯科用液キット」(一般名:トラフェルミン)については「歯周炎による歯槽骨の欠損」の効能・効果で16年9月国内製造販売承認取得し、16年12月発売開始した。

 組換え型ヒトbFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)を有効成分とする世界初の歯周組織再生医薬品である。国内には歯周組織の再生を効能とする医療用医薬品がなく「リグロス」は初めての歯周組織再生医薬品として歯周炎治療の新たな選択肢となることが期待される。

 なお「リグロス」は新医薬品として、医薬品リスク管理計画を策定して市販後安全対策を進めること、販売開始後6ヶ月間は適正使用を推進して副作用等の情報を把握するために市販直後調査等を実施することが義務付けられている。このため「リグロス」の販売に関しては、大学病院等の歯周治療を専門とする医療施設から段階的に適正使用の普及に努めるとしている。流通に関しては特殊医薬品を専門とするエス・エム・ディ(東京都)を総代理店とすることで一元管理を図る。

 潰瘍性大腸炎を適応症とする「KAG−308」(旭硝子<5201>と共同開発の経口プロスタグランジン製剤)は、15年9月に第2相臨床試験を開始した。

 原発性局所多汗症を適応症とする「BBI−4000」(外用抗コリン剤)(15年3月に米ブリッケル・バイオテック社から導入、日本とアジア主要国における独占的開発・販売・製造権取得)は、第2相臨床試験の準備中である。

 16年4月日本における独占的開発・販売権を取得したメディウンド社(イスラエル)の熱傷焼痂除去剤「KMW−1(NexoBrid)」は治験準備中である。熱傷で生じる焼痂と呼ばれる壊死組織を除去する外用酵素製剤である。

 16年6月には和光純薬工業と、フィブラストスプレーの有効成分である組換え型ヒトbFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)について、再生医療研究用試薬「bFGF溶液MF」として和光純薬工業が販売する契約を締結した。

 16年7月には杏林製薬と、杏林製薬が日本における独占販売権を取得したアレルギー性疾患治療薬デザレックスについて、両社によるコ・プロモーション(共同販促・1ブランド1チャネル)に関する基本覚書を締結した。杏林製薬は11月18日にデザレックスを発売、当社は皮膚科を対象にプロモーションを行う。

 なお関節機能改善剤アルツの腱・靱帯付着部症の適応症追加「SI−657」(生化学工業と共同開発)は16年2月に開発中止を発表した。第3相臨床試験結果において期待していた有効性を明確には見いだせなかった。また15年5月再評価申請を行ったエンビナースは16年3月に販売を中止、自主回収を行った。

 パイプラインについては、引き続き拡充に向けて導入等の取り組みを強化している。

■爪白癬治療剤クレナフィンが15年3月期第3四半期から寄与

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期214億64百万円、第2四半期227億68百万円、第3四半期269億23百万円、第4四半期227億34百万円、営業利益が40億85百万円、47億21百万円、78億05百万円、40億20百万円、16年3月期は売上高が276億33百万円、273億40百万円、304億58百万円、242億99百万円、営業利益が92億34百万円、92億09百万円、112億46百万円、54億57百万円だった。爪白癬治療剤クレナフィンは15年3月期第3四半期から寄与した。

 16年3月期の連結業績は15年3月期比大幅増収増益だった。売上高が初めて1000億円を突破し、営業利益と純利益も過去最高を更新した。14年9月販売開始の爪白癬治療剤クレナフィンが通期寄与し、研究開発費減少も増益要因となった。

 爪白癬治療剤クレナフィンの大幅増収に伴って、差引売上総利益は同25.5%増加し、差引売上総利益率は56.2%で同3.9ポイント上昇した。販管費は同7.1%減少し、販管費比率は24.2%で同6.2ポイント低下した。研究開発費はパイプライン充実に向けた新規大型導入契約に至らなかったため、17億31百万円減少(15年3月期76億15百万円、16年3月期58億83百万円)した。

 営業外費用では退職給付会計基準変更時差異処理額5億24百万円が一巡した。特別損失では固定資産売却損11億87百万円および長期前払費用償却5億25百万円が一巡した。また科研不動産サービス吸収合併に伴って法人税等調整額25億68百万円(繰延税金資産取り崩し)を計上した。ROEは25.3%で同8.6ポイント上昇、自己資本比率は67.6%で同0.6ポイント上昇した。

 配当は第2四半期末34円、期末78円(普通配当68円+記念配当10円)だった。15年10月1日付株式併合(2株を1株に併合)を考慮して、第2四半期末34円を68円(34円×2)に換算すると年間146円となり、15年3月期の換算後の年間118円(59円×2)に対して実質的に28円増配だった。14期連続増配で配当性向は28.6%だった。

 セグメント別に見ると薬業は売上高が同17.4%増の1073億91百万円で営業利益が同74.5%増の336億33百万円、不動産事業(文京グリーンコート関連賃貸料)は売上高が同3.8%減の23億38百万円で営業利益が同11.4%増の15億13百万円だった。

 主要医薬品・医療機器別売上高は関節機能改善剤アルツが同1.7%増の307億60百万円、爪白癬治療剤クレナフィンが同2.9倍の198億68百万円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同4.4%増の112億62百万円、高脂血症治療剤リピディルが同3.5%増の45億26百万円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同3.0%増の36億17百万円、ジェネリック医薬品(合計)が同7.4%増の132億92百万円だった。

 カナダのバリアント社向けJublia関連売上(原体売上、製剤売上、ロイヤリティ収入、マイルストーン収入)が同72.4%増の57億22百万円だった。

■17年3月期第3四半期累計は薬価改定などで減収減益

 2月6日発表した今期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)の連結業績は売上高が前年同期比7.6%減の789億65百万円、営業利益が同16.0%減の249億53百万円、経常利益が同15.7%減の252億32百万円、純利益が同10.7%減の179億83百万円だった。

 薬価改定の影響、Jublia関連売上の減少、研究開発費の増加などで減収減益だった。売上総利益は同8.4%減少し、売上総利益率は57.1%で同0.5ポイント低下した。販管費は同3.0%増加し、販管費比率は25.5%で同2.7ポイント上昇した。研究開発費は49億85百万円で同5億92百万円増加した。

 セグメント別に見ると、薬業は売上高が同7.8%減の771億77百万円で営業利益が同16.8%減の237億円32百万円、不動産事業(文京グリーンコート関連賃貸料)は売上高が同1.8%増の17億87百万円で営業利益が同5.9%増の12億21百万円だった。

 主要医薬品・医療機器別売上高は関節機能改善剤アルツが同4.9%減の230億56百万円、爪白癬治療剤クレナフィンが同12.8%増の173億49百万円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同1.5%減の85億84百万円、高脂血症治療剤リピディルが同1.7%減の34億36百万円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同2.2%増の27億82百万円、ジェネリック医薬品が同10.2%減の91億95百万円だった。なおJublia関連売上(原体売上、製剤売上、ロイヤリティ収入、マイルストーン収入、契約一時金)は同56.1%減の21億88百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期262億28百万円、第2四半期259億51百万円、第3四半期267億86百万円、営業利益は80億97百万円、80億26百万円、88億30百万円だった。

■17年3月期通期減益予想だが上振れ余地、配当は15期連続増配予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想は、前回予想(5月12日公表)を据え置いて、売上高が前期(16年3月期)比3.3%減の1061億円、営業利益が同17.8%減の289億円、経常利益が同17.7%減の291億円、純利益が同1.6%減の208億円としている。

 爪白癬治療剤クレナフィンは順調に拡大するが、薬価改定の影響、Jublia関連売上の減少、研究開発費の増加(同43億17百万円増加の102億円の計画)などで減収減益予想としている。16年12月発売の歯周組織再生剤「リグロス」の売上は見込んでいない。研究開発費については複数の導入案件を交渉中で、原発性局所多汗症を適応症とする「BBI−4000」の臨床試験費用も見込んでいる。

 主要医薬品・医療機器別売上高の計画は一部組み替えて、関節機能改善剤アルツが同3.1%減の298億円、爪白癬治療剤クレナフィンが同17.3%増の233億円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが同1.2%増の114億円、高脂血症治療剤リピディルが同2.8%減の44億円、創傷治癒促進剤フィブラストスプレーが同2.3%増の37億円、ジェネリック医薬品が同4.5%減の127億円としている。Jublia関連売上は同28.3%減の41億円としている。

 配当予想は年間150円(第2四半期末75円、期末75円)としている。15年10月1日付の株式併合(2株を1株に併合)を考慮して前期を年間146円(第2四半期末34円×2、期末78円)に換算すると実質的に4円増配となる。15期連続の増配予想である。また5月12日公表の予想配当性向は29.9%である。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が74.4%、営業利益が86.3%、経常利益が86.7%、純利益が86.5%で、利益進捗率が高水準である。

■中期経営計画で19年3月期売上高1100億円目標

 「中期経営計画2018」では、19年3月期売上高1100億円を目指している。

 重点的な取り組みとしては、パイプライン充実を最優先課題として可能な限りの経営資源を配分する、爪白癬治療剤クレナフィンおよび新製品の価値最大化を図り、かつ既存製品に関しては営業基盤の強化と効率化に取り組む、変革の時代にふさわしい創造力豊かな人材の育成に取り組むとしている。

■株価は昨年来安値更新直後に切り返し、悪材料出尽くし感

 株価の動きを見ると、昨年来安値を更新して2月7日に5410円まで調整する場面があったが、その後は急速に切り返しの動きを強めている。第3四半期累計減収減益発表で悪材料出尽くし感に繋がったようだ。

 2月22日の終値5920円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS508円91銭で算出)は11〜12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間150円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2170円60銭で算出)は2.7倍近辺である。時価総額は約2868億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを圧迫する形だが、17年3月期減益予想の織り込みが完了して戻りを試す展開が期待される。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:58 | 決算発表記事情報