

新仙台火力発電所
東日本大震災以降、多くの原発が停止した状態が続き、電力のうち火力発電が占める割合は80%以上になっている。その多くは老朽化した熱効率の悪い火力発電所である。日本は2030年には13年比で26%もの二酸化炭素を削減する目標を世界に約束した。その内容は再生可能エネルギーを22%程度にし、原発の再稼働を進めるものである。原発の是非は別にして、再生可能エネルギーを増加させるためには、熱効率の悪い石炭や重油を用いる老朽化した火力発電所をコンバインドサイクルの火力発電所に切り替えることである。LNGを用いる新型火力発電は立ち上がりが早いのが特徴であり、再生可能エネルギーが十分に供給されない場合の電源として活用できる。
気象の面からみると太陽光発電は天候の影響を大きく受ける。2003年7月の東京の場合、7月6日から26日までの3週間の日照時間はわずか15.3時間であり、太陽光発電はほとんど機能しないことになる。風力を含めた再生可能エネルギーの増加には正確・詳細な気象情報とバックアップになる火力発電が不可欠である。従来の火力発電では温暖化対策に逆行するため、熱効率の高いコンバインドサイクルの火力に切り替え、その分の再生可能エネルギーを増加させることが、温暖化対策と同時にエネルギーの安定供給を行うことになる。(村山貢司=気象予報士・経済評論家)
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