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2018年10月29日

【編集長の視点】「神風」望み薄の全員負け相場では中国リスクの隣の裏銘柄に独自人気を期待してスタンバイ余地

 何とも投資気力も萎えるシビアな相場推移である。日経平均株価は、前週末26日に一時、2万1000円台を割り、今年3月26日に突っ込んだ年初来安値2万0347円目前となり、10月2日につけた年初来高値2万4448円までの上昇分をすべて吐き出した。個別銘柄でみても東証1部の71%超の1502銘柄が値下がりし、このうち53%超の804銘柄が年初来安値を更新しており、ほとんどの銘柄が、水浸しとなる全員負け相場となっているから無理もない。もうこの辺りでと売られ過ぎの割安感や値ごろ感に着目して自律反発狙いの突っ込み買いを敢行した投資家も、急落相場に巻き込まれ、アッという間に投げさせられる「出ると負け」展開となっているから始末に悪い。

 かつてはこうした暴落場面では、オイルマネーだの「黒い目の外国人買い」などのニューマネーが流入する「神風」が吹いてピンチ脱出となったものだ。しかし足元では、サウジアラビアの反体制記者殺害疑惑を巡って、欧米諸国が制裁措置を声高に訴えていることに対応して、むしろ「サウジ売り」さえ憶測されているから、「神風」は望み薄のようで、株式需給的には日銀のETF(上場投資信託)買いの一本足打法頼みと心細い限りである。

 この年初から第4波目となる世界同時株安は、もともとは米中貿易戦争のエスカレートを震源地としており、ここにきて米国の制裁関税で中国景気の減速懸念が強まったことがより深刻化させている。「理想売り」がいよいよ「現実売り」の様相を濃くしているかのようだ。この中国リスクは、好調な企業業績により吸収可能として折からの日米両市場で始まった四半期業績の発表が注目されていたが、足元の業績は増益で着地しているものの、先行きに慎重な見通しを示す主力銘柄も少なくなく、こうした主力株が買いから売りに変わって下げを加速させている。米国市場のIT関連の主力株はもちろん、東京市場でも、例えば10月25日に富士電機<6504>(東1)が、今2019年3月期業績の上方修正と中間配当の増配を発表、最高業績を伸ばしたが、先行きの受注に慎重な見通しを開示したことから、翌26日に高寄りしたあと一時7%を超す急落となり株式併合後の安値を更新してしまった。東京市場で週明け後に本格化する四半期決算の発表が、株価下落のブレーキ役となるかウオッチする必要がある。

 そこで注目したい決算発表がある。中国リスクが、逆に事業環境の好転につながる銘柄である。その代表は一部海運株で、そのほか期初以来2回も業績上方修正を繰り返してきた黒鉛電極関連株、さらに安全資産シフトで浮上も期待される金鉱株である。いずれも投資採算的に低PER圏に放置されており、今週央から11月月央まで発表が続く四半期決算で好事業環境が継続しているか確かめる価値がある。この動向次第では、独自人気を再燃させる可能性もあり、スタンバイする余地がありそうだ。

■バルチック海運指数はNYダウに逆相関し中国の穀物輸入先変更で不定期船株の業績をサポート

 海運株は、今年10月16日に大手3社の日本郵船<9101>(東1)、商船三井<9104>(東1)、川崎汽船<9107>(東1)が、今2019年3月期業績を再下方修正しいずれも年初来安値に急落し、株価イメージは芳しいものではない。かつて「一強五弱一問題外」などといわれた業界体制が再編に再編を重ね、大手3社が金看板の定期コンテナ船事業を統合、今年4月から営業を開始したが、この営業当初の混乱でシナジー効果が現出しなかったとして3社揃って業績を再下方修正した。しかし海運会社には、コンテナ船とは別に穀物、鉄鋼原料、石炭などの乾貨物を輸送する不定期船事業を行う海運会社もあり、この海運会社の業績動向は、大手3社と対照的となっている。

 NSユナイテッド海運<9110>(東1)は、今年7月の今2019年3月期第1四半期(1Q)決算発表時に今期第2四半期(2Q)累計・通期業績を上方修正し、10月18日にはその2Q累計業績を再上方修正、10月31日に2Q累計決算の発表を予定している。また飯野海運<9119>(東1)、玉井商船<9127>(東2)も、1Q決算発表時に今期業績を上方修正しており、それぞれ10月31日、11月8日に2Q決算の発表を予定している。

 不定期船市況は、トランプ米政権の制裁関税に対抗して米国が輸出する穀物に中国が報復関税を発動して米国産の輸入が止まったことをキッカケに、中国がブラジル産の穀物を積極的に買い付け、輸送距離も輸送量も伸びたことで船腹需要が強含みに推移してきた。不定期船市況を表すバルチック海運指数も、米国のダウ工業株30種平均と逆相関のチャート形成をみせており、悪材料の隣に好材料が潜在する裏銘柄があることを示唆していることになり、決算発表は要マークとなる。

■環境規制強化の需給ひっ迫で値上げが相次ぐ黒鉛電極株、安全資産の金関連株も決算発表に要注目

 海運株と並んで中国関連のもう一つの市況産業株として注目したいのが、黒鉛電極株である。中国の環境規制強化で原材料のニードルコークスの需給がひっ迫して値上がり、鉄鋼生産の電炉製鋼へのシフトも加わって黒鉛電極の需要が拡大、価格改定も加わって東海カーボン<5301>(東1)を筆頭に昭和電工<4004>(東1)、日本カーボン<5302>(東1)、SECカーボン<5304>(東2)、が、四半期決算のたびに今2018年12月期業績を2回も上方修正してきた。いずれもPER評価は、4倍から12倍程度と市場平均を下回って割安で、今年11月6日から14日にかけて今期第3四半期決算の発表を予定している。ファインカーボンの東洋炭素<5310>(東1)、3月期決算会社の黒崎播磨<5352>(東1)を含めて割安修正に再発進する展開も想定範囲内となる。

 さらに市況産業株としてクローズアップされそうなのが金価格関連株である。金価格は、1トロイオンス=1200ドル台の安値圏で推移しているが、世界的な株価急落時にリスクオフ・ムードが強まると、国債とともに「有事の金」の安全資産として選好され上昇に転じる場面が増えている。今後の先行き不透明化から、金選好が一段と強まるようなら買いの目が出てくる。すでに関連株の貴金属リサイクルのアサヒホールディングス<5857>(東1)が、今2019年3月期の配当を大幅増配して前週末26日にストップ高したが、指標株となるのは、世界有数の金鉱山である菱刈鉱山を保有する住友金属鉱山<5713>(東1)である。同社は、今年8月8日に今3月期第2四半期業績の上方修正を発表しており、このときの通期の想定金価格を1トロイオンス=1300ドルとした。今後、この想定価格を金価格が上回ってくるようなら、同社株、アサヒHDを含めて貴金属リサイクル関連のアサカ理研<5724>(JQS)、松田産業<7456>(東1)にも出番が回ってきそうである。(本紙編集長・浅妻昭治)

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