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2018年12月07日

【小倉正男の経済コラム】SNSの時代:一片のツイートでNY株価799ドル大暴落

■「私はタリフマンだ」のツイートでNY株価が799ドル安

kk1.jpg 12月4日NY株価が799ドル安の大暴落となった。下地には、米中貿易摩擦やアメリカの景気の先行きに対する警戒感があるのだが、発端となったのはトランプ大統領の一片のツイートだった。

 アルゼンチンでの米中首脳会談で90日間の交渉期間を設定して、制裁関税は一時的に棚上げして見送ることを決定した。やれやれと思っていたら・・・。

 トランプ大統領は、「おそらく合意できるだろう」とツイッターに書き込んでいる。しかし、その一方で、「合意できないときは、忘れないでほしい。私はタリフマンだ」と。

 米中が合意できない場合は、制裁関税を課すと中国を牽制している。「タリフ」とはアラビア語源で関税を意味している。
 「私はタリフマンだ」のワンフレーズのツイートが、799ドルのNY株価の大暴落をもたらした。

■トランプ大統領はツイッターという「マイメディア」を駆使

 トランプ大統領以前は、新聞、雑誌、テレビといったメディアが大統領などの発言を報道して世の中に波及していくというのがプロセスだった。

 ところが、トランプ大統領は、新聞、雑誌、テレビといったメディアをまったくパスして、ツイートで情報を発信している。
 いわゆるメディアは、大統領のツイートを追いかけるしかないわけである。

 新聞、雑誌、テレビといったメディアは「既得権」を失いかけていることになる。
 ――大統領は、既存のメディアを通して発言する、その発言はメディアが価値を判断する、といういわゆるメディアの「既得権」喪失が進行している。

 トランプ大統領は、ツイッターを「マイメディア」として使っている。新聞、雑誌、テレビといういわゆるメディアは使わなくてもやっていけるということになる。既存メディアはいわば“中抜き”されているわけである。

 既存のメディアとしては初めての事態で、困惑しているだろうし、危機感を持たざるをえないというのが本当のところに違いない。

■SNSが既存のメディアを超える時代

 「私はタリフマンだ」というツイートで799ドルのNY株価の大暴落という現象は、新聞、雑誌、テレビという既存メディアの存在価値を揺るがすものになりかねない。
 既存メディは、危機感を持って、存在価値をどう再構築するかを考える必要があるのではないか。

 おそらく時代が先に進めば進むほど既存メディアの存在価値は“中抜き”されるとみられる。そんな思いもしなかった凄い時代に入っているわけである。

 既存のメディアは、SNSを情報の質が悪いとか、真実かどうかわからない、と程度が一段低いものとして扱ってきた。
 逆にいうと、既存メディアは質がよく真実に近いという強い自負があり、SNSなどは啓蒙されるべき存在と思ってきたわけである。

 きょうびは八百屋(YaokuniSelect)までがラインで本日の安売り商品をお客に知らせる時代になっている。電子チラシなどではなく、ラインでお客とつながっている。
 いまどき八百屋のほうがトランプ大統領に負けずに「マイメディア」を使っているということか・・・。

(『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(ともに東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営―クライシスマネジメントとは何か』『第四次産業の衝撃』(ともにPHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長・中部経済倶楽部専務理事(1971年〜2005年)を経て現職。2012年から「経済コラム」連載。)


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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:04 | 小倉正男の経済コラム