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2020年06月24日

【小倉正男の経済コラム】新型コロナ禍:東京都心部の地価を直撃

■全社員がテレワーク

kk1.jpg 5月の決算シーズンのことだが、中小企業のウェブマーケティング支援をビジネスとしている新進企業を取材した。

 この会社は、新型コロナウイルス禍で、全社でテレワークを実施している。オフィスには誰も出社していないということで、決算説明会、質疑応答などはウェブで行われた。追加の質問などもこちらもテレワークということで、ケイタイで連絡を取り合った。

 全社員がテレワーク(リモートワーク)で働いているといことで、営業というか顧客との連絡などはウェブ、あるいはウェビナーなどを使っているとのことだった。社内の会議、打ち合わせもウェブでやっている。それで問題はないというのである。

 ちなみにその会社は、新入社員は自宅勤務で、まだ新入社員の顔を見ていないという状況。いまどきの会社ということなのだろうが、オフィスがなくともパソコン、スマホ(ウェブ)があれば何でもできるというわけである。

 しかし、取材をしてみたら、案外なことに全社員がテレワークという会社が少なくない。サブスクリプションの会社、ITビジネス比較サイトの会社など、オフィスには誰もいない、あるいは当番で電話連絡担当の社員がいるだけといった具合である。

■新オフィスを契約したが・・・

 その中小企業にウェブマーケティング支援を行っている会社だが、事前に新しいオフィスに移転する計画を発表していた。

 事業の成長で新入社員などの採用を継続しており、オフィスが手狭になっている。そのため年内に新オフィスに引っ越すということを明らかにしていた。移転費用が発生するので、その分のコストが利益を押し下げるという算段になる。
 
 しかし、全社員がテレワーク勤務で問題がないとすれば、広いスペースの新オフィスは必要ないのではないか。オフィス移転計画はどうするのか。聞いてみると、「もう契約してしまっているので、新オフィスは有効に使うつもり」といった返答だった。
 
 新型コロナ禍以前は、オフィスが足りないということだった。オフィスを焦って手当したわけだが、新型コロナ禍を経験したらオフィスは本当に必要なのか、という状況に変わってきている。有効に使うといっても、一体どう使うのか不透明である。
 
 この会社はこれから引っ越しだがけっこう大変な費用がかかる。パソコンなどの移転費用が馬鹿にならないし、家賃も高いものに変わる。
 
 新型コロナ禍はオフィスというものを根本から考え直す契機となっている。いまから解約すれば違約金などが発生するわけだが、そうしたことも検討対象になりかねない状況になっている。
 
■新型コロナが東京都心部地価を直撃

 ある建設関連会社、こちらも新型コロナ禍で大変な事態である。オフィス、商業ビル、ホテルなど新規建設受注が低迷するのは必至だ。工事のほうも5月連休の前後に新型コロナ感染問題で一部停止を余儀なくされている。

 この建設関連会社筋は、「オフィスビル需要は、テレワークの普及が影響する。商業ビル、ホテルも建設需要は低迷する。地価も下がる可能性が高い」と先行きの懸念材料に触れている。確かに、そのトレンドは間違いないとみられる。
 
 東京都心部には新しい高層ビルが次々に建てられ、湾岸には高層マンションが林立している。大地震、津波などが心配される事態だったが、それ以前に新型コロナ禍が直撃している。
 
 テレワークの普及で家賃の高い東京都心部のオフィスの機能が見直されるとすれば、オフィスに近い湾岸などのマンションの価値も見直されることになる。オフィスが必要ないということになれば、オフィスに近いという価値も低下することになる。
 
 新型コロナ禍でいえば、東京都に1400万人もの人口が集中していること自体がリスクにほかならない。新型コロナ感染者は東京都に集中している。人が多くいることがリスクになる。
 
 東京都を中核にした首都圏への一極集中を改めるべきところに来ているのは確かだ。テレワークで問題ないなら、山梨県、群馬県、栃木県、茨城県、静岡県など首都圏周辺地域などがむしろ居住の「適地」になる。新型コロナは東京一極集中を直撃し、それを見直す契機になる可能性をはらんでいる。

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営〜クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:15 | 小倉正男の経済コラム