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2020年11月30日

Jトラストは底値圏、事業ポートフォリオ再編で収益改善基調期待

 Jトラスト<8508>(東2)は日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで金融事業を展開している。20年12月期第3四半期累計は日本金融事業の堅調推移などで最終黒字だった。通期予想は子会社の異動(Jトラストカードおよび韓国・JT親愛貯蓄銀行を譲渡)で未定としているが、新型コロナウイルスも含めた経済環境変化に対応して成長を加速させるため、事業ポートフォリオ再編を推進する。中期的に収益改善基調を期待したい。株価は軟調展開で4月の安値に接近しているが、ほぼ底値圏だろう。反発を期待したい。

■日本、韓国・モンゴル、インドネシア中心に金融事業を展開

 日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで、金融事業(銀行、信用保証、債権回収、クレジット・信販、その他の金融)を展開している。グループビジョンに「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指す」を掲げ、国内外におけるM&Aや債権承継なども積極活用して企業価値向上や事業基盤強化に取り組んでいる。

 19年12月期(決算期変更で9ヶ月決算)のセグメント別営業利益は、日本金融事業30億85百万円、韓国・モンゴル金融事業75億円、東南アジア金融事業46億47百万円の赤字、総合エンターテインメント事業1億59百万円の赤字、不動産事業8億29百万円、投資事業17億68百万円の赤字、その他事業4億72百万円の赤字だった。収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで大幅に変動する可能性がある。

 日本金融事業は日本保証、Jトラストカード、パルティール債権回収などが展開している。日本保証は保証商品の拡充に向けて、寄付型クラウドファンディング大手のCAMPFIREと融資型クラウドファンディングにおいて保証業務の提携を行い、20年7月に提携第一弾となる「日本保証による保証つき、世田谷区土地活用ファンド」を発売し、全枠完売した。今後もCAMPFIREのブランド力を活用して魅力的な新ファンドの開発を推進する。パルティール債権回収は今後も信販系大手カード会社等からの買取を推進する。

 韓国およびモンゴル金融事業はJT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行、JTキャピタル、TA資産管理、JトラストクレジットNBFI(モンゴル)などが展開している。JT親愛貯蓄銀行とJT貯蓄銀行を合算した総資産額は、韓国において第3位グループとなる。良質なアセットを長期的に構築する戦略を推進し、90日以上延滞率が低下傾向となっている。なおJT親愛貯蓄銀行はJTグループ入りによって経営再建が進み、グループ入り後の初配当(円換算で約16億円)を実施した。

 東南アジアは、金融事業をJトラスト銀行インドネシア、カンボジアのJトラストロイヤル銀行(19年8月に商業銀行ANZRoyalBankを子会社化して商号変更)、投資事業をJトラストアジアが展開している。Jトラストロイヤル銀行はカンボジアの大手資金移動業者であるWing社との連携を強化し、金融インフラが十分に行き渡っていないカンボジアにおいて金融サービスの裾野拡大に貢献している。

 総合エンターテインメント事業は連結子会社のKeyHolder<4712>が展開している。KeyHolderは子会社アドアーズの全株式を譲渡してアミューズメント施設運営から撤退し、ライブ・エンターテインメント事業で新たな収益柱の構築を目指している。また20年8月には、不動産事業および商業施設建築事業を展開するキーノートの全株式をプロスペクト<3528>に株式交換で譲渡し、キーノートを連結から除外すると発表した。

 なおJトラストアジアは販売金融事業のタイGL社に出資したが、17年10月にタイGL社CEO此下益司氏がタイSECから偽計および不正行為で刑事告発されたため、現在はタイGL社、此下益司氏、およびGLの関連取締役に対して、刑事告発手続き、会社更生法申し立て・補償請求・賠償請求などの訴訟を提起している。

■経済環境変化に対応して事業ポートフォリオ再編

 新型コロナウイルスも含めた経済環境変化に対応して成長を加速させるため、事業ポートフォリオ再編を推進する。

 20年10月には韓国・JT貯蓄銀行の全株式を韓国・VI金融投資に譲渡(21年3月末予定)すると発表した。

 20年11月にはNexus Bank<4764>(SAMURAI&J PARTNERSが20年11月1日付で社名変更)を株式交換完全親会社、連結子会社のJトラストカードを株式交換完全子会社として株式交換を実施した。本株式交換によってJトラストカード、および同社の100%子会社である韓国のJT親愛貯蓄銀行が連結除外となる。またNexus BankのA種優先株式を引き受ける。

 また11月20日には、子会社のプロスペクト・エナジー・マネジメント(PEM社、20年11月19日子会社化、20年12月1日付けで日本ファンディングに商号変更予定)が、グローム・ホールディングス<8938>の子会社LCレンディング(LCL社)の株式100%取得(20年12月1日予定)すると発表した。国内金融事業で保証事業だけに頼らない事業基盤構築に向けて、クラウドファンディング事業を強化・拡大する。

■20年12月期予想は未定、事業ポートフォリオ再編で収益改善基調期待

 20年12月期第3四半期累計連結業績(IFRS)は、営業収益が388億45百万円で、営業利益が12億24百万円の赤字、税引前利益が17億50百万円の赤字、親会社所有者帰属四半期利益が12億26百万円の黒字だった。

 子会社異動でキーノート(現グローベルス)、Jトラストカード、韓国・JT親愛貯蓄銀行を非継続事業に分類した。9ヶ月決算だった19年12月期の4月〜12月実績(非継続事業組み替え後)との比較で見ると、日本金融事業で保証事業と債権回収事業が堅調に推移し、本社費用削減やキーノート売却益なども寄与して営業赤字縮小し、最終黒字転換した。東南アジア金融事業は前期計上の負ののれん発生益が剥落したが、前期大幅に計上した貸倒引当金繰入額が減少して赤字縮小した。

 通期連結業績(IFRS)予想は、子会社異動(Jトラストカードおよび韓国・JT親愛貯蓄銀行、韓国・JT貯蓄銀行)で9月23日に未定に修正している。

 新型コロナウイルスも含めた経済環境変化に対応して成長を加速させるため、事業ポートフォリオ再編を推進し、日本ではカード事業、韓国では貯蓄銀行業から撤退する。売却に伴って増加する手元資金については、手元流動性の増強と有利子負債圧縮を進めるとともに、日本金融事業の更なる拡大などポートフォリオ再編に有効活用する方針だ。事業ポートフォリオ再編で中期的に収益改善基調を期待したい。

■株価は底値圏

 株価は軟調展開で4月の安値に接近しているが、ほぼ底値圏だろう。反発を期待したい。11月27日の終値は210円、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS944円61銭で算出)は約0.2倍、時価総額は約242億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:52 | アナリスト水田雅展の銘柄分析