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2021年10月15日

ゼリア新薬工業は調整一巡、22年3月期大幅営業・経常増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの売上拡大などで大幅営業・経常増益予想としている。第1四半期が順調であり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から急反落の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールについては、海外で既存製剤に加えて、高用量製剤の上市活動を推進している。アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 20年9月には、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(開発コードZ−213)の販売を開始した。日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は従来1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっていた。本剤は新たな選択肢として期待されている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得した。国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。また20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 21年9月には「ハイゼリーFE」(指定医薬部外品)を全国の薬局およびドラッグストアで販売開始した。21年10月には「イオナ スパ&ミネラル Wクレンジング」(化粧品)を全国の薬局およびドラッグストアで販売開始した。メイク落としと洗顔の機能を両立させたオールインワン洗顔剤である。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年5月11日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。また高カリウム血症を伴う慢性心不全を適応症として国際共同治験に参加して第3相段階である。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想

 22年3月期連結業績予想(第1四半期から収益認識に関する企業会計基準第29号適用のため、対前期比増減率は遡及修正後の21年3月期実績数値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が38.1%増の48億円、経常利益が49.6%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が5.0%増の33億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比(遡及修正後)6.4%増の135億48百万円、営業利益が18.3%増の12億51百万円、経常利益が3.3倍の20億81百万円、親会社株主帰属四半期純利益が44.8%増の14億08百万円だった。営業外では為替差損益が大幅に改善(前年同期は為替差損5億73百万円を計上、今期は為替差益7億31百万円を計上)した。特別利益では前年同期に計上した債務取崩益6億74百万円が剥落した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が9.4%増の82億59百万円で営業利益が29.2%増の15億46百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートが薬価改定影響で伸び悩んだが、20年11月に欧州等での製造販売権を承継したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアなどが寄与して増収増益だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が2.0%増の52億53百万円で営業利益が7.0%減の9億86百万円だった。新型コロナ影響が継続しているが、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上が回復基調としている。

 通期も大幅営業・経常増益予想としている。医療用医薬品事業ではアサコールの海外売上拡大、エントコートの欧州の一部の国における薬価改定影響の一巡、アコファイドのアステラス製薬との共同販促終了と販売移管(21年4月)に伴う在庫調整影響一巡、フェインジェクトやディフィクリアの通期寄与などを見込み、コンシューマーヘルスケア事業では販促活動強化も寄与してヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上回復基調を見込んでいる。

 第1四半期の進捗率は売上高22.6%、営業利益26.1%、経常利益43.4%と順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は調整一巡

 なお5月11日に、自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年5月17日〜21年11月4日)を発表している。

 株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から急反落の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。10月14日の終値は2009円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円70銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1067億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:41 | アナリスト水田雅展の銘柄分析