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2021年11月22日

生化学工業は売られ過ぎ感、22年3月期2Q累計大幅増収増益で通期上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期は大幅営業・経常増益予想としている。第2四半期累計はコロナ禍の影響からの回復や受取ロイヤリティーの増加などで大幅増収増益だった。第3四半期以降に研究開発費の増加が見込まれることなどを考慮して通期予想を据え置いたが、上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は年初来安値を更新して軟調だが、売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 11月10日には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を21年10月に達成したと発表している。また11月16日には海外子会社のACC社が遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞したと発表している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。コロナ禍の影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。コロナ禍の影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■22年3月期2Q累計大幅増収増益で通期上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用のため21年3月期を新基準に遡及適用して増減率算出)は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+ジョイクル発売特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第2四半期累計(収益認識基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が前年同期比54.6%増の205億30百万円、営業利益が7.7倍の60億38百万円、経常利益が5.9倍の63億93百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.2倍の50億19百万円だった。

 コロナ禍の影響からの回復、M&A効果、受取ロイヤリティーの増加、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始などで大幅増収増益だった。国内で薬価引き下げの影響があり、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展で研究開発費(7.5%増の38億02百万円)が増加したが、増収効果などで吸収した。なお受取ロイヤリティーを除くベースでの売上原価率は、売上構成比変化などで3.1ポイント低下した。

 医薬品事業は売上高が61.7%増の161億36百万円で、営業利益が12.5倍の49億34百万円だった。売上高の内訳は、国内がコロナ禍の影響からの回復、関節機能改善剤アルツのシェア上昇、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始(21年5月)などで14.2%増の68億05百万円、海外医薬品が米国におけるコロナ禍の影響からの回復、販売提携先による競合品からの切り替え施策、中国向けアルツの処方促進活動積極化などで49.5%増の44億49百万円、医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社(21年2月期第2四半期から連結)も寄与して40.3%増の13億30百万円だった。さらに受取ロイヤリティー35億50百万円を計上(前年同期は90百万円)した。

 LAL事業は売上高が33.2%増の43億94百万円で、営業利益が2.8倍の11億04百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が117億84百万円で営業利益が44億46百万円、第2四半期は売上高が87億46百万円で営業利益が15億92百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。

 通期予想は据え置いた。各利益は第2四半期累計時点で通期予想を超過達成(第2四半期累計の進捗率は、売上高が63.8%、営業利益が132.7%、経常利益が137.5%、親会社株主帰属当期純利益が137.5%)しているが、ロイヤリティーの受領や海外医薬品の前倒し出荷など売上増加要因が集中したためであり、第3四半期以降にSI―6603追加臨床試験進展に伴って研究開発費の増加が見込まれることや、6月1日に発出した安全性速報(ブルーレター)によるジョイクルの販売への影響を考慮したとしている。ただし保守的だろう。需要が回復基調であり、通期予想は上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は売られ過ぎ感

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認し、21年11月9日開催の取締役会においてプライム市場選択申請を決議した。所定のスケジュールに基づいて手続を進める。

 株価は年初来安値を更新して軟調だが、売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。11月19日の終値は977円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約555億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:53 | アナリスト水田雅展の銘柄分析