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2022年09月30日

松田産業は調整一巡、23年3月期営業利益横ばい予想だが再上振れの可能性

 松田産業<7456>(東証プライム)は、貴金属・環境・食品分野のソリューション提供企業として貴金属関連事業および食品関連事業を展開し、中期経営計画では収益基盤強化と新規収益源創出、持続的成長を支える経営基盤強化、ESG経営推進による企業価値向上を目指すとしている。9月20日には破砕分離設備を用いた廃PTPシートのマテリアルリサイクルスキームの検討開始を発表している。23年3月期は営業利益横ばい予想としている。貴金属関連事業における先行き下振れリスクを考慮しているが保守的な印象が強い。通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■貴金属リサイクルや農林水産品販売を展開

 貴金属・環境・食品分野のソリューション提供企業として、貴金属リサイクル(貴金属事業)や産業廃棄物処理(環境事業)などの貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。22年3月期のセグメント別売上高構成比は貴金属関連事業が71%、食品関連事業が29%、営業利益構成比は貴金属関連事業が82%、食品関連事業が18%だった。

 貴金属リサイクルは、金・銀・白金族などの貴金属製品やめっき用化成品をエレクトロニクス業界へ販売するとともに、半導体や電子部品を製造する過程で規格外となった部品(スペックアウト品)などの貴金属含有スクラップを国内外のメーカーから回収・処理・製錬することで、貴金属をリサイクルする。粉砕・焼成する前処理工程から、貴金属を分離・抽出する製錬・精製工程までを一貫して行い、得られた高純度の金・銀・プラチナ・パラジウムなどから地金、各種加工品、化成品を製造する。海外はベトナム、タイ、フィリピン、シンガポール、中国・蘇州、マレーシア、台湾に展開している。

 産業廃棄物処理は、写真の感光材料からの銀の回収、廃酸や廃アルカリの無害化中間処理など、産業廃棄物の回収・処理を行っている。無害化処理技術に強みを持ち、全国47都道府県での収集運搬業許可を得ている。また太平洋セメントと共同でセメント製造設備を利用した大型リチウムイオン電池リサイクル事業を展開している。

 21年4月には、電池サプライチェーン(電池の材料、部品およびその原料に関わる産業)の健全な発展や国際競争力強化を推進することを目的として新たに設立された一般社団法人電池サプライチェーン協議会に正会員として参加した。設立時点の会員は関連企業約50社である。また21年4月には韓国に現地法人の韓国松田産業を設立した。21年5月には子会社のゼロ・ジャパンが低濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物の無害化処理に関して環境省の大臣認定を受けた。

 22年3月には、連結子会社の松田資源利用(蘇州)有限公司を解散すると発表した。中国における貴金属関連事業拡大を目的として07年4月に設立したが、現地の許認可制度による取引上の制約などから、今後の持続的な事業拡大が望めないと判断した。現地法令に従った手続きが完了次第、清算結了となる。連結業績に与える影響は軽微である。

 食品関連事業はグローバルネットワークで食材(水産品、畜産品、農産品)の調達・販売を展開し、新たな販売市場の開拓および現地における仕入強化を推進している。海外は中国、タイ、ベトナム、台湾、およびインド(22年3月に現地法人設立)に展開している。

 収益面では、半導体・電子部品などエレクトロニクス業界の生産動向、貴金属および食品市況の影響を受けやすい特性がある。

■事業領域拡大やグローバル展開を加速

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)では、目標値に最終年度26年3月期売上高3000億円、営業利益130億円、営業利益率4.3%、ROE9.0%、ROA(総資産経常利益率)10.0%を掲げている。

 セグメント別の26年3月期目標値は、貴金属関連事業が売上高2000億円、営業利益105億円、営業利益率5.3%、食品関連事業が売上高1000億円、営業利益25億円、営業利益率2.5%としている。

 経営資源配分として4ヶ年累計で総額300億円規模の成長投資を計画している。株主還元については株主資本配当率1.5%以上の還元を目安とする。

 基本方針として、貴金属関連事業と食品関連事業の両事業を牽引役に、積極投資継続による収益基盤強化と新規収益源創出、持続的成長を加速させる経営基盤の強化、ESG経営の推進による企業価値向上を推進する。

 貴金属関連事業では「資源循環(活用)を創造するリーディングカンパニー」をビジョンに掲げ、環境負荷低減型製品・サービスの提供や高機能電子材料の開発販売等を通じた資源リサイクルの総合力向上、国内シェアの拡大と海外の新たな市場開拓、電子デバイス業界への深耕と化学/自動車業界や二次電池/E―スクラップ市場の開拓を推進する。

 9月20日には、大同樹脂と技術提携して、廃PTP(Press Through Pack)シートのマテリアルリサイクルスキームの構築に向けて破砕分離設備を導入するため、関第二工場において産業廃棄物中間処分業許可取得の手続きを開始したと発表している。PTPは医薬品の錠剤・カプセル剤の包装形態の一つとして広く普及しているが、製薬メーカーの製造工程では薬機法を初めとする厳しい規格を遵守するために、端材が多量に発生している。本検討では、PTPのプラスチックフィルムとアルミ箔の分離に特化したリサイクル設備を導入することで、プラスチック・アルミそれぞれの国内資源循環を目指す。

 食品関連事業では「お客様の商品開発のベストパートナー」をビジョンに掲げ、食品原材料の調達網・商品ラインナップの拡充による基幹事業(原料販売)の強化、顧客ニーズを捉えた安心・安全でサステナブルな商品の開発や商流の構築に取り組み、グローバル展開加速と販売領域拡大を推進する。

 経営基盤強化では、生産性向上、DX推進、経営人財創出、多様な人財活躍、職場環境作り、ガバナンス・リスク管理強化の6つの課題認識のもと、具体的施策に取り組む。

 ESGへの取り組みについては、貴金属関連事業と食品関連事業の拡大を通じて社会に貢献しているが、さらに環境負荷軽減と事業成長の両立、お客様満足の向上と社会の信用確保、多様な人財活躍による成長加速を重要課題と位置付けて、具体的施策化を進める。

 22年4月にはCSR活動推進に向けて、既存のIR部を改称してCSR・IR部とした。また、静岡営業所(金属・環境営業本部静岡営業所、食品事業部名古屋営業所静岡出張所)を設立した。22年5月にはサステナビリティ委員会を設置した。

■23年3月期営業利益横ばい予想だが再上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想(8月10日付で上方修正)は、売上高が22年3月期比10.2%増の3000億円、営業利益が0.9%増の128億円、経常利益が3.2%減の133億円、親会社株主帰属当期純利益が2.7%減の93億円としている。配当予想は22年3月期比2円増配の48円(第2四半期末24円、期末24円)としている。5期連続増配予想となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比25.8%増の881億92百万円、営業利益が1.8%増の42億63百万円、経常利益が3.9%増の44億79百万円、親会社株主帰属四半期純利益が3.4%増の30億89百万円だった。前年の市況高騰の反動や成長投資の影響などで全体として小幅増益にとどまったが、貴金属関連事業、食品関連事業とも概ね好調に推移して計画を上回った。

 貴金属関連事業は、売上高が28.5%増の639億24百万円、セグメント利益(営業利益)が2.4%増の34億92百万円だった。貴金属リサイクルの取扱量および産業廃棄物処理受託が増加し、貴金属製品の販売量も増加した。貴金属相場の上昇も寄与した。

 食品関連事業は、売上高が19.1%増の242億88百万円、セグメント利益が1.0%減の7億71百万円だった。水産品、農産品の販売量が増加した。利益面では前年の一部商品の市況高騰の反動で微減益だった。

 期初時点では、23年3月期は貴金属相場の変動による利益影響を見込めないとして、不透明感や成長投資などを考慮して減益予想としていたが、第1四半期が計画を上回ったため第2四半期累計および通期予想を上方修正した。

 前回予想に対して、第2四半期累計予想は売上高を220億円、営業利益を24億円、経常利益を25億円、親会社株主帰属当期純利益を17億円それぞれ上方修正した。通期予想は売上高を200億円、営業利益を18億円、経常利益を19億円、親会社株主帰属当期純利益を13億円それぞれ上方修正した。差し引きすると下期を下方修正した形である。

 これは貴金属関連事業において、第3四半期以降の半導体・デバイス業界の生産状況について、需給バランスに応じた在庫調整など先行き下振れリスクを考慮し、第3四半期以降の取扱量・販売量が当初見通しを下回る見込みとしたためである。食品関連事業については第2四半期以降も期初計画通りに推移する見込みとしている。ただし保守的な印象が強い。通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は毎年3月末の継続1年以上保有株主が対象

 株主優待制度は毎年3月31日現在、1単元(100株)以上を継続1年以上保有する国内在住株主を対象として株主優待品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。低PERも評価材料だろう。9月29日の終値は2194円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS356円51銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の48円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2848円19銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約590億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:55 | アナリスト水田雅展の銘柄分析