<マーケットセンサー>

大納会まであと残り6営業日、フィナーレが迫ってきた。この時期になっても、なお1回転、2回転と短期売買で餅代稼ぎと勢い込むのが投資家根性というものだろう。表彰状ものである。しかし、多くの投資家は、投資セオリー通りに5日間もの正月休みを控えてポジション調整の利益確定売りを優先させるか、あるいは新年相場に期待して「株券を枕に越年」と強気を押し通すか、いずれを選択するか頭を悩ませていることだろう。
この気迷いは、いまでは少数派になったと推定されるあのバブル相場を経験した投資家ほど強いはずだ。史上最高値3万8915円をつけたのが、まさに1989年の大納会で、翌年には日経平均株価5万円説も出るほどのカンカンの強気が溢れ返るなか、バブル相場は崩壊、2009年の7054円安値まで「失われた20年」に責められ続け、このトラウマ(心的障害)がいまだに消失していないからだ。
トラウマは、「アベノミクス」効果でこの2年、2012年、2013年とも大納会に向け株高となったものの、その程度では簡単に消えるものではない。とくに今年は、10月31日決定の日銀の追加金融緩和策(バズーカ2)以来、相場が上下に激しく乱高下しただけに、余計に警戒心が強まったとみて間違いない。バズーカ2に次いで、GDP(国内総生産)が、2四半期連続でマイナスとなったGDPショック、消費税再増税の先送り、解散・総選挙、さらに原油先物(WTI)価格の急落、ロシアなどの資源国通貨安などに振り回され、買ってハシゴを外され、売って担がれるなどの右往左往を余儀なくされたからだ。
しかもこの株価乱高下が、市場の自律的な要因や投資バリューの変化などでなく、外部材料の急変を起因としているだけに始末に戸惑った側面が強い。この代表は、原油先物価格の動向である。冷戦終結後に米国がひとり勝ちとなった市場経済下では、原油価格は、需要と供給のギャップによる市場メカニズムにより決定されるとされてきたが、どうも違う風が吹き始めたようでもあるらしい。OPEC(石油輸出国機構)は、原油価格急落でも減産に踏み切らなかったが、このときは、OPECの盟主であるサウジアラビアの米国の「シェールオイル潰し」とのウワサが強まり、ロシアのルーブル急落では、今度は米国とサウジがタッグを組んでのロシアへの新たな経済制裁とのウワサまで広がったからだ。かつて世界的に反原発の運動が高まったときに、この資金的なバックにサウジがいるとの憶測が流れたことがあったが、まさに当時を彷彿とさせる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:20
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編集長の視点