2013年03月13日

【村山貢司の気象&経済歳時記】春と共に思い出される「花見酒の経済」

村山貢司の気象&経済歳時記 サクラの季節が近づくと、「花見酒の経済」という言葉を思い出す。簡単に言えば借金で物のやり取りをすることで、実体、成長を伴わない経済の意味であり、一般的には批判的な場合に使われることが多い。しかし、借金であろうがなかろうが、物が動くということは人や金が動くことであり経済の規模は大きくなると考えれば「花見酒の経済」にも一定の意味はある。経済がプラスに転じたかどうかは大企業の収支、利益を見ることが多いが、現在は経済を支える中間層がどの程度お金を使うかや、中小企業の動向から傾向を見ることも一つの方法である。以前、アメリカでやや高級な食品が売れ出したことからアメリカ経済の復調を指摘したことがある。

 日本国内で最近注目しているのが、胡蝶蘭の値上がりである。一般の切り花や鉢物と違って、胡蝶蘭は事業所や店舗の新規開店、改装オープン、あるいは昇進、栄転などに贈答品として使われるものが多い。その胡蝶蘭が品薄のために年末から値上がりを続けている。一般の花卉類は年末にいったん値上がりするものの年明けとともに価格は安定するが、胡蝶蘭は年が明けても価格が上昇し、年末に比べると20%から30%も高くなっている。この現象が一時的なものなのか、それとも日本経済がゆっくりとだが動き出した兆候なのか、見極める必要がある。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 08:43 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2013年03月01日

【村山貢司の気象&経済歳時記】気象の常識が通用し難い時代、天候デリバティブが必要に

村山貢司の気象&経済歳時記 北日本では記録的な大雪になり、青森県の酸ケ湯では積雪が5mを大幅に超えた。本州の山岳地帯でも例年を大幅に超える積雪になっている。雪は交通や生活に大きな影響を与えるが、一方でこの雪が春から夏にかけての貴重な水資源になっている。今年の夏も猛暑が予想されるが水不足の心配はないだろう。

 3月初めにも北日本で低気圧が猛烈に発達し、その後も気温の変動が大きくなりそうだ。温暖化による影響は、一般的には気温が高い方にシフトしていくと思われがちだが、初期の段階ではこの冬のように極端な気象現象が増加すると考えてもらいたい。すなわち、今までの気象に関する常識が通用しない時代になっているのである。激しい気象の変動によるリスクが大きい場合には、リスク回避の手段が必要になる。気象庁の長期予報を利用すれば費用はかからないが、精度にまだ問題がある。

 有効な手段は、「天候デリバティブ」であろう。例えば、7月から8月にかけて30度以上の真夏日が多ければレジャーや飲料関係の売り上げは増加するが、真夏日の日数が例年の5割以下になったら売り上げが極端に減少する。天候デリバティブはこのような場合に備えて保険をかけておくシステムである。一番効率的なのは猛暑なら減益になるガスと増益になる電力が互いに保険金を出し合うような場合で、この形態をスワップと呼んでいる。

 この先数十年は極端な異常気象が多くなるために、リスク回避の方法として天候デリバティブについての知識、検討を行う必要があるだろう。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 08:32 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2013年02月13日

【村山貢司の気象&経済歳時記】この春、アレルギー性鼻炎のOTC薬登場が話題に

村山貢司の気象&経済歳時記 薬剤には処方薬とOTCがある。処方薬は医療機関で診療を受けた後に医師が処方する薬で医療用薬品と言われる。OTCは「Over The Counter」の略で、薬局で買うことのできる薬のことである。

 昔の薬局はカウンターの奥に薬を置いて、薬剤師が販売していたことから名づけられたもので、日本では市販薬あるいは大衆薬と呼ばれていたが、2007年からOTC薬に呼称が統一されている。

 処方薬は効き目が高いものが多いが、副作用を伴うこともあり医師の判断で処方されるものである。処方薬のうち有効性や副作用に問題がないとされたものを市販薬と売り出した場合はスイッチOTCと言われている。

 この春、アレルギー性鼻炎のOTC薬が何種か発売され医療業界で話題になっている。現在花粉症の治療を行っている多くの医療機関で処方される薬が突然スイッチOTCとして発売され、しかも医療用と同じ成分であることを宣伝している。花粉症治療は耳鼻科や内科の医療関係ではかなりの比率を占めており、患者が減少するのではないかとの危惧が強い。

 実際は保険診療で薬を処方してもらう方が患者には経済的であるが、手軽に買えることからOTCがかなり伸びそうだ。患者の自己負担分が増加するだけ国の医療費が減少することになり、今後も国が積極的に認可するだろう。医療用薬品の市場シェアとその薬剤からのスイッチOTCの動向はチェックしておく必要がある。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 08:15 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2013年02月01日

【村山貢司の気象&経済歳時記】「スギ花粉症」がニュースに初登場して30年を振り返る

村山貢司の気象&経済歳時記 1月末に環境省から今年春のスギ花粉飛散に関する報道発表があった。今年は関東など東日本を中心に花粉がかなり多くなるという予想である。実はあの予測は筆者が作成したものである。

 スギ花粉症という言葉は今では当たり前になったが、ニュースに初めて登場したのは80年代半ばであり30年しか経過していない。この30年にスギ花粉症の患者は急増し、現在日本人のおよそ26.5%、3000万人を超える人が花粉に悩んでいることになる。

 花粉症に関する医療費も急増し、直接的な医療費だけで5000億円を超えている。しかし、飛散する花粉量は年によって大きく変るために花粉症の治療薬の売れ行きはそれに伴って変動するのが製薬メーカーの悩みの種である。しかし、市場が急速に拡大したために外資系の製薬メーカーの参入も激しくなっており、各メーカーの市場争いも激しくなっている。

 このように花粉症患者が増加した原因は木材需要を満たすために戦後大量に植林されたスギやヒノキが成長して花粉が多くなったためである。一方、スギを植えたことによって禿山になっていた日本の山に緑が復活した事実も忘れてはならない。

 世界を見ても荒廃した森林が人間の手によって復活した例は極めて稀であり、日本の林業技術には素晴らしいものがある。国内では木材の需要が低迷し、林業技術者が減少している。若い世代に技術を伝え、森林開発が続く途上国に技術援助をすれば、海外援助だけではなく雇用促進、温暖化対策など多くのメリットがあるだろう(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 08:22 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2013年01月14日

【村山貢司の気象&経済歳時記】ビール好調に見るアメリカ経済

村山貢司の気象&経済歳時記 アメリカ人はビールを水代わりに飲むという話があるが、年明けにアメリカ在住の知人から次のような話を聞いた。昨年あたりから店頭に並ぶビールの種類が多くなり、それも輸入ビールが非常に多くなっているとのこと。また、プレミアムハンバーガーなどやや高級な食品の売れ行きが好調であるらしい。

 確かに、アメリカでは2010年と比較すると人口はおよそ500万人増加し、就業者数は300万に増加、失業率は1.4%低下している。ブランド物の売れ行きではなく、輸入ビールやプレミアムバーガーが売れるというのは、中間層以下に少し余裕が出てきた証拠であろう。これに対して日本は2009年以降人口は減少を始め、就業者数は50万人減少した。就業者数が減少したのに、失業率は同じ期間の比較では0.5%の低下している。働く気力を失った若者が多くなったのかも知れない。

 数年前までは工業製品に関わるエネルギー比率は、省エネが徹底していた日本がアメリカに比べて断然低くなっていたが、そのアメリカはシェールガスの開発により安価なエネルギーを使えるためにその関係が逆転した分野も出始めている。景気対策は若者の雇用を創出するものにしなければ日本の未来はないだろう(気象予報士・経済評論家 村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:41 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2013年01月01日

【村山貢司の気象&経済歳時記】2013年の気象は?

村山貢司の気象&経済歳時記 12月から始まった寒波は依然衰えを見せていない。2月の前半までは各地で低温傾向が続く見込みになっている。寒さの原因は太平洋で発生している「ラニーニャ現象」の影響だが、日本では、ラニーニャが起きている時は冬は寒くなり、夏は猛暑になることが多い。一方、東南アジアではモンスーンが長くなり雨量が多くケースがしばしばある。

 2011年に起きたタイの記録的な洪水もラニーニャが原因である。逆に「エルニーニョ」なった場合には暖冬、冷夏になる確率が高いが、2013年の前半にエルニーニョが起きる可能性はごく小さいと考えられている。冬の寒さは2月前半までだが、春先は天候がやや不順になりそうだ。連休前から暑くなり、夏の訪れは早いだろう。

 日本では、夏が猛暑になれば国内の景気が良くなると言われているが、夏物が動き出すのは5月末からで、特に6月半ばから7月前半の気温が影響している。この冬のように1月が低温だった場合は有意に7月が高温になっている。しかも7月前半どころか6月後半から高温になることが多いのである。予想通りになれば今年の夏の経済は好調になるだろう。1月の低温と8月の高温の間には相関関係は見られないので、勝負は早めに仕掛ける必要がある。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:01 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2012年12月14日

【村山貢司の気象&経済歳時記】50年前の月別・電力使用量から見えてくる「冬場商品」

村山貢司の気象&経済歳時記 50年前の月別電力の使用量を見ると最も電力需要が大きくなっていたのは12月であった。暖房の主力であったコタツが炭類を使うものから電気コタツに切り替わり、その後ストーブ、エアコンへと変化していった。

 暖房の形態が変わることによって、冬の商品動向にも大きな変化が見られるようになった。それは、冷たい飲食物が冬でも売れるようになったことである。ビールの売り上げと気温は高い相関関係にあり、当然、気温の高い夏場に売れ、冬は減少する。しかし、30年前の傾向と比べて見ると、ビールの売り上げの伸びは冬の方が大きくなっている。室内全体の温度が高くなることによって冬もビールが飲まれるようになってきたのである。アイスクリームなども同様に冬の需要が増加しているのである。

 衣服にも変化が見られる。家庭やオフィスでのエアコンによる暖房が普及することによって、室内では比較的軽装で過ごせるようになってきた。このために出勤の際はコートを用いるが、その下は軽装でというスタイルが定着してきている。特におしゃれに敏感な女性にその傾向が強い。薄着をするためにババシャツなどの暖かくて軽い素材が普及し、防寒対策としてのマフラーや手袋も昔より薄くて暖かい素材のものが売れている。
商品動向と気温の関係を調べる場合には、その商品が屋外用ならば一般の気温でよいが、室内用の場合には暖房を考慮した環境温度を用いるなど分析の方法が異なってくる。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:19 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2012年12月01日

【村山貢司の気象&経済歳時記】世界の異常気象が途上国経済を圧迫

村山貢司の気象&経済歳時記 日本では今年記録的な寒さと大雪で始まり、夏は8月から9月にかけて猛暑となった。幸い台風の被害は少なかったが、韓国や朝鮮半島では相次ぐ台風により大きな被害を出した。経済への影響で最も深刻だったのがアメリカ中部を中心とする干ばつで、全米の60%にも及ぶ農地が被害を受けた。トウモロコシ、大豆の作柄は30%台にまで減少し、小麦も大幅な減産となっている。

 米国以外でもインドではサトウキビ、ブラジルではコーヒーが多雨のために大幅な減産になっている。日本は大豆、小麦は50%以上が米国からの輸入であり、トウモロコシにいたっては90%以上を依存しており、2008年の異常気象の時には広い分野での食糧価格の値上がりになった。今年も当時ほどではないが大豆の価格高騰、畜産業での飼料価格の値上がりから、食用油や乳製品などの値上がりが続いている。途上国や新興国では輸入に占める食糧の比率が高く、経済への影響が深刻になる。途上国の経済への影響、減速は世界的な経済悪化のリスクにつながる可能性がある。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:13 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2012年11月14日

【村山貢司の気象&経済歳時記】冬型気圧配置強まる、原油価格上昇が心配

村山貢司の気象&経済歳時記 日本付近は中旬から本格的な寒気の南下により、断続的に冬型の気圧配置になっている。今年の場合、日本海で低気圧が発達する際に高温となり、その後の冬型で気温がいっきに低下するタイプが多い。寒暖の差が非常に大きいために、低温になった時により寒さを感じることが多い。

 このような時が冬物をアピールするチャンスになる。毎年11月に売り上げがピークとなるのが冬用の暖房器具で、電気ストーブや電気こたつは10月末から売れ始め12月までにほぼ商戦が終わっている。この冬も節電ムードが高いことから灯油ストーブの売り上げが好調になる見込みだが、心配なのは原油価格である。

 北半球全体の天気図を見ると現在寒気が南下しているのは日本付近以外ではアメリカ中西部、シベリア中部、イギリスの西などであるが、この寒気は今後東に移動する気配である。予想通りになれば原油需要が大きいアメリカ東部、ヨーロッパ、日本を含む東アジアが低温になり、原油価格が上昇する可能性が高い。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:53 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2012年10月30日

【村山貢司の気象&経済歳時記】秋物惨敗、冬物は??

村山貢司の気象&経済歳時記 今年の秋物商戦はほとんどの分野で極めて低調であった。原因は9月の高温である。特に関東から東北、北海道にかけては観測史上最も気温が高い9月であった。最近は9月に高温になる場合が多く、アパレルでは秋物とは言わずに秋冬物というような表現をするが、消費者動向は季節を先取りする形で推移する。秋物なら8月末から9月が低温に、冬物なら12月では11月が寒くなれば好調になる。特に家電やアパレルでその傾向が強い。10月末に冬型の気圧配置になり西日本を中心に寒くなり、大阪では早めに木枯らし1号が吹いた。

 11月上旬も冬型になって寒くなるために、冬物の滑り出しはまずまずであろう。この冬は前半は寒暖の差が大きく、後半はやや低温が予想されている。しかし、長期予報の精度はまだ十分ではなく経済にそのまま反映することができないのが現状である。冬の場合、ヨーロッパと北米東部(西海岸は逆になる)それに日本の気候が連動する傾向が強くなっている。ヨーロッパが寒くなると次に北米東部が低温や大雪になり、次いで日本が寒くなるという順である。欧米の天候推移をチェックして対応を考えることが大切である。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:05 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2012年10月14日

【村山貢司の気象&経済歳時記】かきとおでん

村山貢司の気象&経済歳時記 東京の気温の変化を調べると、100年前に比べて9月の気温は2度、10月の気温は3度高くなっている。現在の9月は100年前の8月下旬の陽気に相当するなど2週間から3週間も季節がずれてしまい、西日本では10月になっても30度を越える日が珍しくなくなっている。日本地図で言えば東京が100年で200から300km南に下がったのと同じである。

 昔からカキはRの付く月に食べろと言われるが、気温や海水温の変化から言えば最初と最後のR、つまり9月と4月は外した方が良いかも知れない。以前はスーパーで売られる袋詰めのおでんの売り上げは10月から伸びていたが、現在は11月に移行している。

 季節ものを扱う場合は昔と現在の気温の変化を知り、いつ頃から在庫を増やすか、どんなタイミングでCMを出すかなど適切に対応する必要がある。10月中旬から11月上旬にかけての気温は平年並みかやや低い見込みで、冬物の出足が早くなりそうだ。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 05:53 | 村山貢司の気象&経済歳時記
2012年09月30日

【村山貢司の気象&経済歳時記】「台風」が経済に与える影響も年々、グローバル化の傾向

村山貢司の気象&経済歳時記 今年日本に上陸した台風は1個だけであるが、中国には5個、朝鮮半島には4個の台風が上陸した。特に8月末の台風15号と9月の台風16号は韓国と北朝鮮に大きな被害をもたらした。

 人的な被害のほかに田畑や栽培用ハウスが大きなダメージを受け、この影響で韓国では野菜を中心に食料品の値段が高騰している。

 発展途上国では、大規模な気象災害が食料品の値上げを起こし、それがきっかけで国内の政情が不安定になる現象が良く見られる。2011年に発生したタイの大洪水では、日本を含め世界の経済にも大きな影響を与えたのは記憶に新しい。

 大規模な気象災害が鉄鉱石や原料炭などの鉱山周辺で発生すれば、原材料の輸入国である日本は最もダメージを受けることになる。猛烈な勢力を持った台風17号が接近しており、被害が心配される。(気象予報士&経済評論家・村山貢司)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:03 | 村山貢司の気象&経済歳時記