[小倉正男の経済コラム]の記事一覧
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記事一覧 (06/16)【小倉正男の経済コラム】マイナス金利・円安・補助金、保護はアニマルスピリット(野生)を殺す
記事一覧 (06/11)【小倉正男の経済コラム】アップルが中国離れ、「ゼロコロナ」でリスク極大化
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記事一覧 (03/10)【小倉正男の経済コラム】「飢餓輸出」というウクライナが経験した過酷な歴史
記事一覧 (02/20)【小倉正男の経済コラム】なぜ日本の平均所得(平均賃金)は上がらないのか?
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記事一覧 (12/11)【小倉正男の経済コラム】「賃上げ」経済界の抵抗で中身はほとんど希薄化
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記事一覧 (10/10)【小倉正男の経済コラム】「四半期決算見直し」はディスクローズでは大きな後退
記事一覧 (10/02)【小倉正男の経済コラム】岸田新総理:長期政権か短期で終わるかの分岐点
記事一覧 (09/18)【小倉正男の経済コラム】自民党総裁選:政治は怨恨・感情(ルサンチマン)で決まるのか
記事一覧 (09/05)【小倉正男の経済コラム】総裁選:「ガバナンス改革」が序盤戦の趨勢を決めた
2022年06月16日

【小倉正男の経済コラム】マイナス金利・円安・補助金、保護はアニマルスピリット(野生)を殺す

■何故、日本は補助金行政になるのか

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 日本の失業率だが2・5%(4月)と、一見すると凄まじい優等生ぶりである。金融ではマイナス金利、為替は超円安である。それでは株価は上昇しているのかといえば、その反対で極端な低下となっている。

 ある音響関連機械企業の事例だが、この企業は雇用調整助成金4億円を計上している。雇用調整助成金という補助金が経常利益の25%を占めている(2021年度)。

 コロナ禍の極端な事例とはいえるが、補助金が失業率の低さを裏側で支えている。「社内失業」、仕事がない社員を企業内に置いている。異様な失業率の低さは維持されている。もっとも企業サイドは、「コロナ禍に直撃されており、補助金でも何でももらえるものはもらって生き残るのが先決」と必死である。

 役人OBの同級生と一杯やった時に「何故、日本は補助金行政ばかりをやるのか」という話になった。「それは政治家にとっても役人にしても何かと都合がよいからだ」。それがアンサーだった。なるほど補助金なら選挙で票につながるかもしれない。業界団体などに再就職(天下り)の地ならしになる可能性もありうる。そういえば身近にも「GoToイート」、「県民割」そして「GoToトラベル」(7月再開意向)と飲食、旅行などにも継続的に補助金が出ている。石油元売りへの「ガソリン補助金」もある。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:36 | 小倉正男の経済コラム
2022年06月11日

【小倉正男の経済コラム】アップルが中国離れ、「ゼロコロナ」でリスク極大化

■長期ロックダウンでGDP(4〜6月)はマイナス成長

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 中国経済が分岐点に立っている。あるいは、曲がり角を迎えているといったほうがよいかもしれない。

 中国のGDP(国内総生産)だが、1〜3月は実質成長率で4・8%増(前年同期比)だった。不動産開発投資が一服状態に入っているが、消費、民間投資などが順調だった。だが、3月には消費が急減速し、飲食などが大幅なマイナスに転じている。この時期、新型コロナ感染症が徐々に都市部に浸透し始めたことを示している。

 4〜6月のGDPは、マイナス成長に陥るという見方が出ている。「ゼロコロナ政策」による上海など各都市・地域の長期ロックダウン(都市封鎖)が本格化し、経済そのものが停止したためである。

 日本の自動車産業なども上海などから部品供給が止まり、国内工場の操業を一時的に休止する動きが表面化している。6月には上海などのロックダウンが解除された。だが、中国の長期ロックダウンは、中国に集中しているサプライチェーンが寸断され、機能不全に陥るというリスクを顕在化させた。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:49 | 小倉正男の経済コラム
2022年05月23日

【小倉正男の経済コラム】ウクライナ侵攻は「サプライチェーンの戦争」

■自由貿易主義に経済安全保障のタガをはめる

kk1.jpg バイデン大統領が主導する「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)立ち上げが表明された。中国を意識した通商枠組みであり、参加国が半導体などサプライチェーン(供給網)について情報を交換し有事には協力して対応するとしている。

 その中国は「特定の国を排除するなら正しい道を外れている。米国がなすべきことは自由貿易のルールに従って行動することだ」(王毅外相)と牽制している。

 いわば、IPEFは中国外しの経済圏構想であり、サプライチェーンに経済安全保障のタガがはめられている。有事となれば、中国とのサプライチェーンは遮断される。あるいは、平時においても中国とのサプライチェーンは見直され、極端な依存関係は是正される方向とみられる。

 自由貿易主義は、米ソ冷戦終了後に戦争がないことを前提に世界を覆った経済システムである。冷戦時には、中国は国を閉鎖しており、入国することさえ困難だった。冷戦が終わって米欧、それに日本などが中国の安い労働力を狙ってサプライチェーンに組み込んでいった。労働力だけではない。人口の多さは巨大なマーケットを意味するから、魅力はそれなりに十分だった。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:01 | 小倉正男の経済コラム
2022年04月27日

【小倉正男の経済コラム】「スタグフレーション」の兆候、「需要不足」が根本原因

■企業物価は「第3次オイルショック」、消費者物価は控えめなインフレ

kk1.jpg 世界はすでにインフレに覆われている。米国などが典型的であり、3月の消費者物価は前年同月比8・5%アップと40年ぶりの高騰となっている。しかし、日本のインフレは異様な展開となっている。

 日本の消費者物価は、4月に製品値上げが顕著になってきたが米国のインフレに比べると相当にマイルドだ。需給ギャップでいうと日本は「需要不足」、企業サイドの供給過剰が否定できない。つまり、企業各社は原材料高騰をフルに価格転嫁=値上げできていない。企業経営としては、フル価格転嫁したいが実現は困難と判断している。一応値上げはしたものの小幅にとどまっている。いわば様子を見ながらチャンスを捕まえて、小刻みに再度の値上げを狙う意向である。「川下」の消費者物価はまだインフレになりきれないでいる。

 企業物価指数(企業間で取引される物価指数)は、1月9・2%、2月9・7%、3月9・5%(前年同月比)と異常な高騰が続いている。企業物価は、原材料などの高騰が反映され、インフレはすでに昨年から爆発している。2月9・7%、3月9・5%アップは「第2次オイルショック」直後の1981年以来でトップ1位、同2位の上昇率である。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:08 | 小倉正男の経済コラム
2022年04月12日

【小倉正男の経済コラム】「大ロシア主義」プーチン大統領の暴走を止める者たち 「東部ドンバス」が趨勢を決定

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■ドネツ炭田発見、ドンバス地方は「産業革命」の地に発展

 ロシアのウクライナ侵攻はすでに8週目だ。ロシアは戦力を再編しドネツク州、ルハンシク州の東部ドンバス地方に振り向けている。ロシアの戦車、装甲車、兵員の損害もすでに相当に深刻だが、ウクライナ政府高官筋は「東部ドンバス地方で今後2週間にわたり次の段階の趨勢を決定的に左右する重大な戦いが起こる」としている。

 そのドンバス地方だが17世紀後半にコサックが定住するまで無人の荒野が無限に広がる地域だった。帝政ロシアの18世紀にドンバス地方で世界有数といわれるドネツ炭田が発見されている。「大帝」の呼称があるエカテリーナ2世の時代に重なるのだが、帝政ロシアはウクライナ、ポーランドを制圧してロシアの領土を拡大している。エカテリーナ2世はドンバス地方、さらにオスマントルコの勢力と戦ってクリミア半島を制圧し黒海、アゾフ海にまで領土を広げている。

 クリミア半島では、オスマントルコに保護・支援されていたモンゴル族の「クリミア・ハン国」を滅亡させている。ドンバス地方は石炭に加えて鉄鉱石鉱山も発見され、19世紀になると採炭、採鉱、冶金など工業が本格的に開始されている。当時でいえば石炭は戦略商品そのものといえる燃料で、工場の機械設備、鉄道、艦船などいずれも石炭がないと動かせなかった。炭田発見は重要な意味を持ったわけである。ドンバス地方は、甚だしく後手に廻っていた帝政ロシアの国家的使命である「産業革命」の地となり、工業地帯になっていった。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:47 | 小倉正男の経済コラム
2022年04月05日

【小倉正男の経済コラム】ウクライナ侵攻、プーチン大統領は大誤算の果て「ドンバス決戦」

■ロシアはキーウ(キエフ)は断念、東部ドンバスに集中

kk1.jpg ロシアのプーチン大統領は、「(停戦、首脳会談について)まだ機は熟していない」と発言している。イタリアのドラギ首相は、ウクライナ侵攻について速やかな停戦とウクライナ・ゼレンスキー大統領との首脳会談を働きかけた。しかし、プーチン大統領は「停戦のための条件はまだ熟していない」と否定している。(3月31日・電話会談)

 その前日の3月30日ロシア国防省は、「キーウ、チェルニヒウの部隊を再編成してウクライナ東部ドンバス地方を解放する作戦に集中する」と発表している。平然と虚偽情報を流すロシアだが、東部のドンバス地方すなわちドネツク、ルハンシク(ルガンスク)に戦力を集中するとしている。

 首都キーウを陥落させるというロシアの当初の戦略目標は断念・放棄した格好といえる。プーチン大統領としては手酷い大誤算だが、ドンバス地方に集中して侵攻を再編・巻き返すのが狙いとみられる。“停戦の機が熟すのはその後”というのがプーチン大統領の計算になる。ただし、キーウのゼレンスキー大統領がドンバス地方に兵力を集中させないためにロシアはキーウを再度狙うという構えだけは残している。大枠そうした構図にみえる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:20 | 小倉正男の経済コラム
2022年03月17日

【小倉正男の経済コラム】「プーチンの戦争」ロシアは兵站に欠陥という致命的な誤算

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■米国、NATOともクリミア侵攻・併合時は見て見ぬフリ

 2014年3月、プーチン大統領のロシアはクリミアに軍事侵攻、当時ウクライナ領とされていたクリミア半島を一方的に併合した。このコラムでは、「ウクライナ軍事介入はロシアの”ストーカー行為“」「ウクライナが嫌悪する”ロシアのくびき“」(14年3月)「振り返れば”財政の崖“オバマ大統領の内向き行動」(14年同4月)など関連記事3〜4本が掲載されている。

 いまの「プーチンの戦争」と14年のウクライナとロシア、それに米国、NATO(北大西洋条約機構)の対立する構図は大枠では変わっていない。その前年の13年9月、米国のオバマ大統領は「アメリカは世界の警察官ではない」と演説した。シリアのアサド政権が化学兵器を使用、ところがオバマ大統領は一旦決意したシリア空爆を回避すると表明した。オバマ大統領の翻意は財政面(巨額財政赤字)からの制約であると説明されている。

 プーチン大統領のクリミア侵攻は、米国、NATOの「宥和策」を見越したうえで実行されている。14年には米国,EU(欧州連合)がロシアに経済制裁を行ったが、ほとんど形だけのものだった。ロシアのクリミア半島併合を黙認、見て見ないふりをした。当時、ロシアはウクライナ国境で大規模軍事演習を実施しているとして居座り続けた。しかし、オバマ大統領は「ウクライナで軍事行動に関与しない」と早々に表明した。(14年コラム参照
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:38 | 小倉正男の経済コラム
2022年03月10日

【小倉正男の経済コラム】「飢餓輸出」というウクライナが経験した過酷な歴史

■ゼレンスキー大統領が表明した中立化の条件

kk1.jpg ウクライナのゼレンスキー大統領・与党「国民の奉仕者」はロシアが要求する中立化について「米国、欧州にロシアを加えた周辺諸国が安全保障を確約することを条件にNATO(北大西洋条約機構)早期加入を断念することもあり得る」と表明した。(3月8日・タス通信)

 難物中の難物であるロシアのプーチン大統領だから何を言い出すかわからない。とんでもない条件を打ち出す可能性が十分にあり得る。しかし、このあたりが現実的な落としどころ、あるいは少なくとも落としどころの切り口になるのではないか。大変甘いかもしれないが、「プーチンの戦争」を一刻も早く停止させ、平和の方向に向かってほしいものである。

■「飢餓輸出(きがゆしゅつ)」という過酷な経験

 ロシアとウクライナの近代史で避けて通れないのがスターリンの「飢餓輸出(きがゆしゅつ)」である。

 レーニンの「ロシア革命」(1917年)でソビエト政権が樹立されたが、経済は内戦もあって破綻状態に陥っている。1921年にネップ(新経済政策)がレーニン、ブハーリンの主導で採用され、部分的に市場経済が認められた。中国の「社会主義市場経済」のようなもので、資本主義(市場経済)を国家管理の枠組みの下に公認したわけである。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:17 | 小倉正男の経済コラム
2022年02月20日

【小倉正男の経済コラム】なぜ日本の平均所得(平均賃金)は上がらないのか?

■平均所得がピークを付けたのは1997年

kk1.jpg このところ、枕詞のように「日本の賃金が25年の長きにわたって上がっていない」と報道されることが一般的になっている。確かに、それは間違いではないのだが、正確にいうと「平均所得」、あるいは「平均賃金」が上がっていないということを指している。賃金が上がっていない、それと平均賃金が上がっていないとでは、中身が少し異なる。

 日本の平均所得(平均賃金)がピークだったのは1997年である。山一証券、北海道拓殖銀行などが破綻したのが97年である。世界的にはこの年にアジア通貨危機が勃発している。日本経済にとっては“地獄の道行き”がスタートした年に奇しくも平均所得はピークアウトしたわけである。

 91〜92年から「バブル崩壊」が始まっていたが、いよいよ崩壊が顕在化したのが97年である。賃金のほうは過去からの“慣性”で形としてピークを付けたが、ついにカタストロフィー(大破局)を迎えたわけである。金融機関の破綻・倒産が表面化し、大手企業の多くが大規模な人員整理といったリストラに乗り出したのがこの97年である。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:50 | 小倉正男の経済コラム
2022年02月05日

【小倉正男の経済コラム】岸田文雄首相の「株主資本主義の転換」発言に産業界の反応は?

■「いまさら戻れない」産業界は岸田文雄首相の発言をスルー

kk1.jpg 岸田文雄首相の「(私が掲げる新しい資本主義において)株主資本主義の転換は重要な考え方のひとつ」という発言があったが、当事者である産業界の反応はどのようなものか。

 少し驚いたのは、産業界はほとんど無関心というか、反応は乏しいものだった。産業界は一般にプラグマティズムを基本としており、「株主資本主義」、あるいは「新しい資本主義」といわれても敏感な返答は出てこない。

 資本主義を理屈から入ってやっているわけではないのだから、産業界としては当然といえば当然の話である。一種の「祝詞」といっては拙いが、概念または観念であり、しかも中身が定かではない。スルーして静観するしかないわけである。

 そのなかで反応らしい反応があったのは、「株主資本主義の転換、にわかに配当、自己株買いなどを見直せといわれても、いまさら戻れるものではない」というものだった。「世界がいわゆる株主を中心とする資本主義になっており、それを日本だけ後退させることはいまや無理」と理由を語っている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:11 | 小倉正男の経済コラム
2022年01月22日

【小倉正男の経済コラム】日立製作所・資生堂などが進める「ジョブ型雇用」とは何か?

■日立が「ジョブ型雇用」に踏み込む

kk1.jpg 日立製作所が、「ジョブ型雇用」を全社員に広げる方針を明らかにしている。ジョブ型雇用では管理職、一般社員とも、事前に職務に必要なスキルが明らかにされ、その執行が要求される。資生堂などもジョブ型雇用にシフトを進めている。生産性の改善を目指す動きといわれている。

 一般に日本の企業では、「終身雇用×年功序列」を前提に総合職型の運用が行われている。幅広い仕事を経験して徐々に地位・報酬が上がっていく。「就職」ではなく、いわば「就社」が慣行として定着している。ジョブ型雇用は、そうした「メンバーシップ型雇用」と根本的に異なる。報酬・賃金は、職種を基本にしてスキル、経験、需給などを加味して決められる。

 日立としては、ジョブ型雇用への移行に周到に時間をかけて地ならしをしてきたようだ。人事制度は、管理職、一般社員とも、機微に触れる問題だけに拙速には踏み込めない。よくよくのことだが、これを避けては企業として環境変化に対応できないという思いがある模様だ。

 組織というのは、制度の枠組みと運用の妙で決まる。人事制度は管理職、一般社員とも直接的に利害関係にあるのは言うまでもない。ジョブ型雇用には、「会社が新しいことをやるときは何か思惑がある」「スキルがない場合は退社に追い込まれる」「これから年功序列の恩恵に預かる時期なのに全てがパーになる」と警戒論、否定論が多数を占めている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:57 | 小倉正男の経済コラム
2022年01月09日

【小倉正男の経済コラム】「新しい資本主義」分配=賃上げの多難とその行方

■「ヒヨコにお湯を飲ませる」というやさしさ

kk1.jpg 記者・編集者をやっていた頃に山本七平氏(故人)に山本書店で何度か取材させていただいた。その山本氏だが著書のなかで、「日本人のやさしさは厳寒期にヒヨコが寒くてかわいそうだとお湯を飲ませるようなところがある」と触れている。

 結局、ヒヨコはお湯を与えられて一時は暖かい思いをするがその後に冷えて死んでしまうことになる。善意でやさしいのだが、もたらさせる結果では、善意でもなく、やさしいわけでもない。

 岸田文雄首相の「新しい資本主義」、すなわち分配=賃上げにもそうした傾向がみられる。「計画経済」「社会主義」といった批判は気にしている模様だ。しかし、それでも「分配=賃上げはコストではなく、未来への投資だ」と賃上げムード醸成に懸命である。

 一般論としては、賃上げは誰もが必要だと思っている。新聞社などメディアの方々が、一昨年前半に新型コロナ感染症が勃発した頃、「今年の賃上げもまたダメか」と嘆いていたことを覚えている。岸田首相の賃上げへの音頭取りは、これまでにない現象といえるが、賃上げが実現するものかどうかは不透明である。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:55 | 小倉正男の経済コラム
2021年12月18日

【小倉正男の経済コラム】岸田首相の「新しい資本主義」は「昭和の資本主義」

■株式マーケットにはずっと敵対的スタンス

kk1.jpg 岸田文雄首相の「新しい資本主義」というのは、いまだに中身は定かではない。

 「新しい資本主義」は、曲がりなりにも岸田首相の看板政策である。店舗で例えると、やたら看板ははっきりしている。しかし、何の店舗なのか、どういう店舗で何を売っているのか、さっぱりわからない。

 衆院予算委員会で立憲民主党議員が、自社株買いについて「企業が利益を株価上昇にばかりに使うのは問題だ」と質問。岸田首相は「ガイドラインか何かは考えられないだろうかとは思う」と応じた。いわば、同調してみせた。そのやり取りで株式は一時急落した。

 野党の立憲民主党は相変わらず不勉強だが、それに同調めいた発言で軽々に対応した首相も首相である。現状では、自社株買いに規制を入れることを検討しているわけではないようだが、岸田首相は株式マーケットにはずっと敵対的なスタンスにみえる。

 岸田首相は、所信表明でも四半期決算を見直すといった演説を行っている。経営者が四半期決算によって短期的な利益に走っていると思い込んでいる模様だ。これも具体的にどうするということではない。だが、ディスクローズ(情報開示)軽視とみられる発言を軽々にしている。では思いつきなのかといえば、どうやらこのスタンスは身に付いたもののようだ。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:02 | 小倉正男の経済コラム
2021年12月11日

【小倉正男の経済コラム】「賃上げ」経済界の抵抗で中身はほとんど希薄化

■「新しい資本主義」と仰々しいが中身は・・・

kk1.jpg 中国が、自国について「質の高い民主主義を創造して実践している」「専制は民主のためである」と主張している。新疆ウイグル、香港などでの圧政ぶりからみて、何を言っているのかと首を傾げざるを得ない。

 これとほとんど同程度といっては申し訳ないが、岸田文雄首相の「新しい資本主義」というのも首の傾げがなかなか元に戻らない。何か画期的な政策が行われると期待していたわけではない。それにしても打ち出しは仰々しいが、内容はといえばあまりにも乏しいものになっている。

 「新しい資本主義」というが、その中身は企業に賃上げを促す優遇税制を実施するというものだ。賃上げを行う企業には大企業で30%、中小企業で40%まで法人税額から控除する。従来から大企業20%、中小企業30%を最大控除率とする優遇税制が行われている。それを拡大するというわけである。

 優遇税制の要件は、大企業で(ボーナスを含む)給与支給額3%超、4%超、中小企業で1・5%超、2・5%超など「段階」を設定している。国は企業経営サイドに内部留保、配当だけではなく、正規社員におカネを廻せと注文を付けている格好だ。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 21:53 | 小倉正男の経済コラム
2021年11月21日

【小倉正男の経済コラム】中国、市場経済への介入で変調という変数

■中国経済に変調の兆し

kk1.jpg 先日、駆動系の機械機器メーカーを取材した。その会社の経営者から、「中国からの受注に変調が出ている」という話があった。

 今年前半には、「中国からの受注の回復が凄まじい。対応できないほどの勢いだ。需要が旺盛で、下期についても腰折れなどないとみている」と楽観的な見通しを語っていたものだ。
新型コロナ禍一巡で、中国経済はきわめて順調な再開ぶりをみせていたわけである。

 しかし、「いまは不安材料がいくつか出てきている」としている。「中国の受注は低下している。工作機械、成形機向けなど需要が軟化している。ただ、豊富な受注残があり、これを消化するので現状は問題ない。ただ、来期については懸念材料になる」、と。中国経済にこれまでにない変化が現れている模様だ。

 中国については他にも問題が出ている模様だ。「電力の供給制限が行われており、中国の工場では生産に遅れが生じている」「石炭など燃料不足、環境問題などで当局から突然の電力供給制限命令、あるいは制限要請で10〜15%減産となっている」。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:58 | 小倉正男の経済コラム
2021年10月24日

【小倉正男の経済コラム】中国の不動産バブル崩壊、成長鈍化が顕在化か

■バブル崩壊でソフトランディングを狙う

kk1.jpg 中国の不動産大手企業・恒大集団の債務不履行(デフォルト)危機が続いている。恒大集団の負債総額は33兆円超というのだから凄まじい。

 中国が不動産バブル、そしてバブル崩壊の過程にあることは間違いない。恒大集団のデフォルト危機は、ほとんどその一端でしかなく不動産関連企業の多くが債務危機に直面しているとみられる。

 中国金融当局は、日本の不動産バブル、そしてその崩壊について学習を重ねてきたといわれている。「総量規制」、利上げなど急激な金融引き締め策で日本のバブルは崩壊した。三重野康・日銀総裁(当時)は、メディアから「平成の鬼平」と賞賛されたものだった。しかし、日本はその後「失われた20年」どころか、「失われた30年」というデフレ経済に見舞われている。

 中国からしたら、大失敗の見本、あるいはそうならないための手本にほかならない。中国は日本のような酷い事態を回避してソフトランディング(軟着陸)を策するというのだが、そんなスマートな対応が可能なのだろうか。

■角(バブル)を矯めて牛(経済)を殺した日本

 資本主義にはバブル、それにバブル崩壊は付きものである。日本は1980年代まで繁栄してきたが、バブル&バブル崩壊との“付き合い方”で大きな失敗をしてしまった。中国はいまや米国と並ぶ大国に成長し繁栄を遂げている。その中国は、日本の失敗を手本に社会主義市場経済でバブル崩壊を制御するという“名人芸”に挑戦する模様だ。

 日本のバブル崩壊では1997年に山一証券、北海道拓殖銀行などが破綻した。金融機関が破綻したのだから、バブル崩壊も後半段階かと“誤認”したものである。しかし、それは後半どころか、まだとば口でしかなかった。その後に「金融恐慌」めいた状況に突入し、さらにバブル崩壊は長期化をたどっていった。

 「総量規制」が行われたのは1990〜1991年のことだが、そこから日本のGDP(国内総生産)はいまに至るまで30年の長きにわたり低成長となっている。“バブル潰し”に闇雲に注力し過ぎて、日本経済そのものを潰してしまった。角を矯めて牛を殺したわけである。日本のバブル&バブル崩壊を本当に学習しなければならないのは、中国ではなく日本にほかならない。

■中国経済に陰りが出れば日本の製造業にも痛手

 中国のこの7〜9月のGDP成長率は4・9%(前年同期比)である。4〜6月の前四半期は7・9%(前年同期比)であり、7〜9月は前期比0・2%と横ばいになっている。前期比で横ばいになったのは半導体不足、原材料高騰、電力供給制限などが影響しているといわれている。

 「中国経済は成長減速」と報道されたが、不動産バブル崩壊の影響が本格化してくるのは10〜12月あたりからとみられる。中国金融当局は、時間をかけながらソフトランディングを図るというのだが、経済成長には徐々にマイナスの影響が波及していく可能性が高い。

 不動産・建設需要は、中国においても内需の柱であり、バブル崩壊は中国経済にとって大きな痛手になりかねない。もちろん、中国経済の成長に陰りが出れば、中国の需要に依存を高めている日本の製造業にとっても痛手であるのも現実である。

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営〜クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:35 | 小倉正男の経済コラム
2021年10月10日

【小倉正男の経済コラム】「四半期決算見直し」はディスクローズでは大きな後退

■「四半期決算」と長期的利益は相関性がない

kk1.jpg 岸田文雄新総理が所信表明を行った。そのなかの「新しい資本主義の実現」の部分で、「分配戦略」を第一の柱として演説している。

 「企業が長期的な視点に立って、株主だけでなく、従業員も取引先も恩恵を受けられる“三方よし”の経営を行うことが重要です」

 これに続いて語られたのが、「非財務情報の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備を進めます」というフレーズである。「そのための」というのは、企業が長期的な視点で株主、従業員、取引先の“三方よし”の経営を行うためということだ。

 違和感を持ったのは、「四半期開示の見直し」と企業が長期的な視点で経営を行うということの相関性である。

 四半期決算だからということで、企業が利益を出すのに汲々としている――。あるいは四半期決算だから、賃上げをしない、下請けなど取引先イジメをしている、という相関性は一般の企業経営者から聞いたことがない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:15 | 小倉正男の経済コラム
2021年10月02日

【小倉正男の経済コラム】岸田新総理:長期政権か短期で終わるかの分岐点

■TV局は総裁選=「権力闘争」をライブ中継

kk1.jpg 自民党総裁選だが、岸田文雄新総裁という結果となった。100代目の総理大臣が決まったわけである。

 「総裁選」は、3週間にわたりワイドショーを筆頭に報道・情報番組を席巻した格好である。TV局各社は、ほとんどコストをかけることなく視聴率を稼げるコンテンツを得たことになる。

 「総裁選は学級委員の選挙とは訳が違う。総裁選という名を借りた権力闘争であることを腹に収めてほしい」

 これは麻生太郎前財務相の言である。総裁選に臨む麻生派緊急総会での発言である。

 いわば、総理大臣を選ぶという「権力闘争」を擬似的ながらライブで視聴できるのだから、これ以上面白いコンテンツはなかなかない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:25 | 小倉正男の経済コラム
2021年09月18日

【小倉正男の経済コラム】自民党総裁選:政治は怨恨・感情(ルサンチマン)で決まるのか

■派閥の親分のルサンチマン

kk1.jpg 政治は政策が基本というか、政策で決まるものと思いたいが、そうともいえない模様だ。自民党の総裁選でみていると、「感情」が無視できない要因となっている。感情というか、会社などでいえば、「人間関係」ということになるかもしれない。

 石破茂氏(元幹事長)が、安倍晋三前首相、麻生太郎財務相に極端に嫌われているのは過去のいきさつにある模様だ。

 安倍前首相の場合は「モリカケ問題」、麻生財務相の場合は麻生内閣末期、ともに窮地にある時に石破氏から「鉄砲を撃たれた」、といわれる問題があったとされている。そんないきさつから石破氏は不倶戴天の敵、許しがたい存在になっているとされている。

 哲学用語の「ルサンチマン」(怨恨・怨念)が近いのか、あるいは仏語の「ル・サンチマン」(感情)のほうなのか。派閥の親分が過去のいきさつから、あいつと手を組むなら許さないとタガをはめたり排除したりということになっている。

 何ともそういうもので総裁が決まり、結果として日本の総理大臣が決まっていくという現実が少なからずある。“自主投票”とはいうものの水面下で派閥の強烈な締め付けが強まる気配が強い。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:09 | 小倉正男の経済コラム
2021年09月05日

【小倉正男の経済コラム】総裁選:「ガバナンス改革」が序盤戦の趨勢を決めた

■権力にはチェック・アンド・バランスが必要

kk1.jpg 菅義偉首相が、総裁選へ出馬を断念した。総理を退陣することになったことになる。新型コロナ感染症対策、経済政策で混迷をみせ、支持率は低迷に低迷を重ねた。追い詰められた菅首相は、二階俊博幹事長など党役員の総取り替えという人事に走った。だが、この人事が悪手となり自滅した格好である。

 総裁選の序盤戦で決定的だったのが岸田文夫氏(前政調会長)の「自民党のガバナンス改革」にほかならない。

 岸田氏は総裁選出馬会見で、「総裁を除く党役員は1期1年連続3年までとする」という党改革案を明らかにした。「権力の集中や惰性を防ぐ」と発言して、「チェック・アンド・バランスを考えれば、任期に制限を付けるのはあっていい」と。

 これは「ガバナンス」の本質を突いている表明だった。権力にはチェック・アンド・バランスがないと危険だというのが、「ガバナンス」の基本的な考え方だ。
 
 「三権分立」「医薬分業」、――なんでもそうだが権力が集中し過ぎるとロクなことがない。権力の分立=チェック・アンド・バランスは、中世から近代に至る人類の知恵のようなものである。

 提示された「ガバナンス改革」では、権力の集中と惰性を自らの手で縛るというわけである。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:44 | 小倉正男の経済コラム