[小倉正男の経済コラム]の記事一覧
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記事一覧 (01/22)【小倉正男の経済コラム】日立製作所・資生堂などが進める「ジョブ型雇用」とは何か?
記事一覧 (01/09)【小倉正男の経済コラム】「新しい資本主義」分配=賃上げの多難とその行方
記事一覧 (12/18)【小倉正男の経済コラム】岸田首相の「新しい資本主義」は「昭和の資本主義」
記事一覧 (12/11)【小倉正男の経済コラム】「賃上げ」経済界の抵抗で中身はほとんど希薄化
記事一覧 (11/21)【小倉正男の経済コラム】中国、市場経済への介入で変調という変数
記事一覧 (10/24)【小倉正男の経済コラム】中国の不動産バブル崩壊、成長鈍化が顕在化か
記事一覧 (10/10)【小倉正男の経済コラム】「四半期決算見直し」はディスクローズでは大きな後退
記事一覧 (10/02)【小倉正男の経済コラム】岸田新総理:長期政権か短期で終わるかの分岐点
記事一覧 (09/18)【小倉正男の経済コラム】自民党総裁選:政治は怨恨・感情(ルサンチマン)で決まるのか
記事一覧 (09/05)【小倉正男の経済コラム】総裁選:「ガバナンス改革」が序盤戦の趨勢を決めた
記事一覧 (08/23)【小倉正男の経済コラム】「菅首相は1日でも長く続いて欲しい」という戦術
記事一覧 (08/10)【小倉正男の経済コラム】「説明責任」=ガバナンスを果たさない日本の政治
記事一覧 (07/13)【小倉正男の経済コラム】機械受注:先行指標・設備投資に回復の兆し
記事一覧 (07/04)【小倉正男の経済コラム】米国経済:雇用者数は85万人増に回復加速
記事一覧 (06/13)【小倉正男の経済コラム】米国CPIは5%上昇、インフレは「一時的」か否か
記事一覧 (06/06)【小倉正男の経済コラム】米国雇用統計:緩やかな回復、日本はまだ混迷
記事一覧 (05/22)【小倉正男の経済コラム】「コロナ敗戦」「ワクチン難民」発生という混迷
記事一覧 (05/05)【小倉正男の経済コラム】「半導体製造装置を中国に売っている」という短絡的批判の危うさ
記事一覧 (04/10)【小倉正男の経済コラム】『見えない化』――「企業内失業238万人」を含む失業問題の実体
記事一覧 (04/06)【小倉正男の経済コラム】コロナ禍:支援・助成手続きが煩雑過ぎるという困難
2022年01月22日

【小倉正男の経済コラム】日立製作所・資生堂などが進める「ジョブ型雇用」とは何か?

■日立が「ジョブ型雇用」に踏み込む

kk1.jpg 日立製作所が、「ジョブ型雇用」を全社員に広げる方針を明らかにしている。ジョブ型雇用では管理職、一般社員とも、事前に職務に必要なスキルが明らかにされ、その執行が要求される。資生堂などもジョブ型雇用にシフトを進めている。生産性の改善を目指す動きといわれている。

 一般に日本の企業では、「終身雇用×年功序列」を前提に総合職型の運用が行われている。幅広い仕事を経験して徐々に地位・報酬が上がっていく。「就職」ではなく、いわば「就社」が慣行として定着している。ジョブ型雇用は、そうした「メンバーシップ型雇用」と根本的に異なる。報酬・賃金は、職種を基本にしてスキル、経験、需給などを加味して決められる。

 日立としては、ジョブ型雇用への移行に周到に時間をかけて地ならしをしてきたようだ。人事制度は、管理職、一般社員とも、機微に触れる問題だけに拙速には踏み込めない。よくよくのことだが、これを避けては企業として環境変化に対応できないという思いがある模様だ。

 組織というのは、制度の枠組みと運用の妙で決まる。人事制度は管理職、一般社員とも直接的に利害関係にあるのは言うまでもない。ジョブ型雇用には、「会社が新しいことをやるときは何か思惑がある」「スキルがない場合は退社に追い込まれる」「これから年功序列の恩恵に預かる時期なのに全てがパーになる」と警戒論、否定論が多数を占めている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:57 | 小倉正男の経済コラム
2022年01月09日

【小倉正男の経済コラム】「新しい資本主義」分配=賃上げの多難とその行方

■「ヒヨコにお湯を飲ませる」というやさしさ

kk1.jpg 記者・編集者をやっていた頃に山本七平氏(故人)に山本書店で何度か取材させていただいた。その山本氏だが著書のなかで、「日本人のやさしさは厳寒期にヒヨコが寒くてかわいそうだとお湯を飲ませるようなところがある」と触れている。

 結局、ヒヨコはお湯を与えられて一時は暖かい思いをするがその後に冷えて死んでしまうことになる。善意でやさしいのだが、もたらさせる結果では、善意でもなく、やさしいわけでもない。

 岸田文雄首相の「新しい資本主義」、すなわち分配=賃上げにもそうした傾向がみられる。「計画経済」「社会主義」といった批判は気にしている模様だ。しかし、それでも「分配=賃上げはコストではなく、未来への投資だ」と賃上げムード醸成に懸命である。

 一般論としては、賃上げは誰もが必要だと思っている。新聞社などメディアの方々が、一昨年前半に新型コロナ感染症が勃発した頃、「今年の賃上げもまたダメか」と嘆いていたことを覚えている。岸田首相の賃上げへの音頭取りは、これまでにない現象といえるが、賃上げが実現するものかどうかは不透明である。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:55 | 小倉正男の経済コラム
2021年12月18日

【小倉正男の経済コラム】岸田首相の「新しい資本主義」は「昭和の資本主義」

■株式マーケットにはずっと敵対的スタンス

kk1.jpg 岸田文雄首相の「新しい資本主義」というのは、いまだに中身は定かではない。

 「新しい資本主義」は、曲がりなりにも岸田首相の看板政策である。店舗で例えると、やたら看板ははっきりしている。しかし、何の店舗なのか、どういう店舗で何を売っているのか、さっぱりわからない。

 衆院予算委員会で立憲民主党議員が、自社株買いについて「企業が利益を株価上昇にばかりに使うのは問題だ」と質問。岸田首相は「ガイドラインか何かは考えられないだろうかとは思う」と応じた。いわば、同調してみせた。そのやり取りで株式は一時急落した。

 野党の立憲民主党は相変わらず不勉強だが、それに同調めいた発言で軽々に対応した首相も首相である。現状では、自社株買いに規制を入れることを検討しているわけではないようだが、岸田首相は株式マーケットにはずっと敵対的なスタンスにみえる。

 岸田首相は、所信表明でも四半期決算を見直すといった演説を行っている。経営者が四半期決算によって短期的な利益に走っていると思い込んでいる模様だ。これも具体的にどうするということではない。だが、ディスクローズ(情報開示)軽視とみられる発言を軽々にしている。では思いつきなのかといえば、どうやらこのスタンスは身に付いたもののようだ。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:02 | 小倉正男の経済コラム
2021年12月11日

【小倉正男の経済コラム】「賃上げ」経済界の抵抗で中身はほとんど希薄化

■「新しい資本主義」と仰々しいが中身は・・・

kk1.jpg 中国が、自国について「質の高い民主主義を創造して実践している」「専制は民主のためである」と主張している。新疆ウイグル、香港などでの圧政ぶりからみて、何を言っているのかと首を傾げざるを得ない。

 これとほとんど同程度といっては申し訳ないが、岸田文雄首相の「新しい資本主義」というのも首の傾げがなかなか元に戻らない。何か画期的な政策が行われると期待していたわけではない。それにしても打ち出しは仰々しいが、内容はといえばあまりにも乏しいものになっている。

 「新しい資本主義」というが、その中身は企業に賃上げを促す優遇税制を実施するというものだ。賃上げを行う企業には大企業で30%、中小企業で40%まで法人税額から控除する。従来から大企業20%、中小企業30%を最大控除率とする優遇税制が行われている。それを拡大するというわけである。

 優遇税制の要件は、大企業で(ボーナスを含む)給与支給額3%超、4%超、中小企業で1・5%超、2・5%超など「段階」を設定している。国は企業経営サイドに内部留保、配当だけではなく、正規社員におカネを廻せと注文を付けている格好だ。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 21:53 | 小倉正男の経済コラム
2021年11月21日

【小倉正男の経済コラム】中国、市場経済への介入で変調という変数

■中国経済に変調の兆し

kk1.jpg 先日、駆動系の機械機器メーカーを取材した。その会社の経営者から、「中国からの受注に変調が出ている」という話があった。

 今年前半には、「中国からの受注の回復が凄まじい。対応できないほどの勢いだ。需要が旺盛で、下期についても腰折れなどないとみている」と楽観的な見通しを語っていたものだ。
新型コロナ禍一巡で、中国経済はきわめて順調な再開ぶりをみせていたわけである。

 しかし、「いまは不安材料がいくつか出てきている」としている。「中国の受注は低下している。工作機械、成形機向けなど需要が軟化している。ただ、豊富な受注残があり、これを消化するので現状は問題ない。ただ、来期については懸念材料になる」、と。中国経済にこれまでにない変化が現れている模様だ。

 中国については他にも問題が出ている模様だ。「電力の供給制限が行われており、中国の工場では生産に遅れが生じている」「石炭など燃料不足、環境問題などで当局から突然の電力供給制限命令、あるいは制限要請で10〜15%減産となっている」。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:58 | 小倉正男の経済コラム
2021年10月24日

【小倉正男の経済コラム】中国の不動産バブル崩壊、成長鈍化が顕在化か

■バブル崩壊でソフトランディングを狙う

kk1.jpg 中国の不動産大手企業・恒大集団の債務不履行(デフォルト)危機が続いている。恒大集団の負債総額は33兆円超というのだから凄まじい。

 中国が不動産バブル、そしてバブル崩壊の過程にあることは間違いない。恒大集団のデフォルト危機は、ほとんどその一端でしかなく不動産関連企業の多くが債務危機に直面しているとみられる。

 中国金融当局は、日本の不動産バブル、そしてその崩壊について学習を重ねてきたといわれている。「総量規制」、利上げなど急激な金融引き締め策で日本のバブルは崩壊した。三重野康・日銀総裁(当時)は、メディアから「平成の鬼平」と賞賛されたものだった。しかし、日本はその後「失われた20年」どころか、「失われた30年」というデフレ経済に見舞われている。

 中国からしたら、大失敗の見本、あるいはそうならないための手本にほかならない。中国は日本のような酷い事態を回避してソフトランディング(軟着陸)を策するというのだが、そんなスマートな対応が可能なのだろうか。

■角(バブル)を矯めて牛(経済)を殺した日本

 資本主義にはバブル、それにバブル崩壊は付きものである。日本は1980年代まで繁栄してきたが、バブル&バブル崩壊との“付き合い方”で大きな失敗をしてしまった。中国はいまや米国と並ぶ大国に成長し繁栄を遂げている。その中国は、日本の失敗を手本に社会主義市場経済でバブル崩壊を制御するという“名人芸”に挑戦する模様だ。

 日本のバブル崩壊では1997年に山一証券、北海道拓殖銀行などが破綻した。金融機関が破綻したのだから、バブル崩壊も後半段階かと“誤認”したものである。しかし、それは後半どころか、まだとば口でしかなかった。その後に「金融恐慌」めいた状況に突入し、さらにバブル崩壊は長期化をたどっていった。

 「総量規制」が行われたのは1990〜1991年のことだが、そこから日本のGDP(国内総生産)はいまに至るまで30年の長きにわたり低成長となっている。“バブル潰し”に闇雲に注力し過ぎて、日本経済そのものを潰してしまった。角を矯めて牛を殺したわけである。日本のバブル&バブル崩壊を本当に学習しなければならないのは、中国ではなく日本にほかならない。

■中国経済に陰りが出れば日本の製造業にも痛手

 中国のこの7〜9月のGDP成長率は4・9%(前年同期比)である。4〜6月の前四半期は7・9%(前年同期比)であり、7〜9月は前期比0・2%と横ばいになっている。前期比で横ばいになったのは半導体不足、原材料高騰、電力供給制限などが影響しているといわれている。

 「中国経済は成長減速」と報道されたが、不動産バブル崩壊の影響が本格化してくるのは10〜12月あたりからとみられる。中国金融当局は、時間をかけながらソフトランディングを図るというのだが、経済成長には徐々にマイナスの影響が波及していく可能性が高い。

 不動産・建設需要は、中国においても内需の柱であり、バブル崩壊は中国経済にとって大きな痛手になりかねない。もちろん、中国経済の成長に陰りが出れば、中国の需要に依存を高めている日本の製造業にとっても痛手であるのも現実である。

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営〜クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:35 | 小倉正男の経済コラム
2021年10月10日

【小倉正男の経済コラム】「四半期決算見直し」はディスクローズでは大きな後退

■「四半期決算」と長期的利益は相関性がない

kk1.jpg 岸田文雄新総理が所信表明を行った。そのなかの「新しい資本主義の実現」の部分で、「分配戦略」を第一の柱として演説している。

 「企業が長期的な視点に立って、株主だけでなく、従業員も取引先も恩恵を受けられる“三方よし”の経営を行うことが重要です」

 これに続いて語られたのが、「非財務情報の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備を進めます」というフレーズである。「そのための」というのは、企業が長期的な視点で株主、従業員、取引先の“三方よし”の経営を行うためということだ。

 違和感を持ったのは、「四半期開示の見直し」と企業が長期的な視点で経営を行うということの相関性である。

 四半期決算だからということで、企業が利益を出すのに汲々としている――。あるいは四半期決算だから、賃上げをしない、下請けなど取引先イジメをしている、という相関性は一般の企業経営者から聞いたことがない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:15 | 小倉正男の経済コラム
2021年10月02日

【小倉正男の経済コラム】岸田新総理:長期政権か短期で終わるかの分岐点

■TV局は総裁選=「権力闘争」をライブ中継

kk1.jpg 自民党総裁選だが、岸田文雄新総裁という結果となった。100代目の総理大臣が決まったわけである。

 「総裁選」は、3週間にわたりワイドショーを筆頭に報道・情報番組を席巻した格好である。TV局各社は、ほとんどコストをかけることなく視聴率を稼げるコンテンツを得たことになる。

 「総裁選は学級委員の選挙とは訳が違う。総裁選という名を借りた権力闘争であることを腹に収めてほしい」

 これは麻生太郎前財務相の言である。総裁選に臨む麻生派緊急総会での発言である。

 いわば、総理大臣を選ぶという「権力闘争」を擬似的ながらライブで視聴できるのだから、これ以上面白いコンテンツはなかなかない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:25 | 小倉正男の経済コラム
2021年09月18日

【小倉正男の経済コラム】自民党総裁選:政治は怨恨・感情(ルサンチマン)で決まるのか

■派閥の親分のルサンチマン

kk1.jpg 政治は政策が基本というか、政策で決まるものと思いたいが、そうともいえない模様だ。自民党の総裁選でみていると、「感情」が無視できない要因となっている。感情というか、会社などでいえば、「人間関係」ということになるかもしれない。

 石破茂氏(元幹事長)が、安倍晋三前首相、麻生太郎財務相に極端に嫌われているのは過去のいきさつにある模様だ。

 安倍前首相の場合は「モリカケ問題」、麻生財務相の場合は麻生内閣末期、ともに窮地にある時に石破氏から「鉄砲を撃たれた」、といわれる問題があったとされている。そんないきさつから石破氏は不倶戴天の敵、許しがたい存在になっているとされている。

 哲学用語の「ルサンチマン」(怨恨・怨念)が近いのか、あるいは仏語の「ル・サンチマン」(感情)のほうなのか。派閥の親分が過去のいきさつから、あいつと手を組むなら許さないとタガをはめたり排除したりということになっている。

 何ともそういうもので総裁が決まり、結果として日本の総理大臣が決まっていくという現実が少なからずある。“自主投票”とはいうものの水面下で派閥の強烈な締め付けが強まる気配が強い。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:09 | 小倉正男の経済コラム
2021年09月05日

【小倉正男の経済コラム】総裁選:「ガバナンス改革」が序盤戦の趨勢を決めた

■権力にはチェック・アンド・バランスが必要

kk1.jpg 菅義偉首相が、総裁選へ出馬を断念した。総理を退陣することになったことになる。新型コロナ感染症対策、経済政策で混迷をみせ、支持率は低迷に低迷を重ねた。追い詰められた菅首相は、二階俊博幹事長など党役員の総取り替えという人事に走った。だが、この人事が悪手となり自滅した格好である。

 総裁選の序盤戦で決定的だったのが岸田文夫氏(前政調会長)の「自民党のガバナンス改革」にほかならない。

 岸田氏は総裁選出馬会見で、「総裁を除く党役員は1期1年連続3年までとする」という党改革案を明らかにした。「権力の集中や惰性を防ぐ」と発言して、「チェック・アンド・バランスを考えれば、任期に制限を付けるのはあっていい」と。

 これは「ガバナンス」の本質を突いている表明だった。権力にはチェック・アンド・バランスがないと危険だというのが、「ガバナンス」の基本的な考え方だ。
 
 「三権分立」「医薬分業」、――なんでもそうだが権力が集中し過ぎるとロクなことがない。権力の分立=チェック・アンド・バランスは、中世から近代に至る人類の知恵のようなものである。

 提示された「ガバナンス改革」では、権力の集中と惰性を自らの手で縛るというわけである。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:44 | 小倉正男の経済コラム
2021年08月23日

【小倉正男の経済コラム】「菅首相は1日でも長く続いて欲しい」という戦術

■野党側は「菅首相は選挙の相手には持ってこい」と踏んでいる

kk1.jpg 横浜市長選だが、野党側が推薦する山中竹春氏が圧勝した。選挙開票のかなり前というか、投票が締め切られると同時に「当確」が報道された。

 敗北した与党側候補の小此木八郎氏(前国家公安委員長)は、政界から「引退」を表明した。菅義偉首相としては、お膝元の事態であり衝撃は小さくない。

 ところで野党側は、「菅首相は1日も早く辞めて欲しい」ではなく、「管首相は1日も長く続いて欲しい」に戦術を変えてきている。野党にとっては、菅首相が総裁選を勝って、総選挙となるのが理想的とみている。

 野党は、菅首相が相手のほうが絶対に有利と踏んでいる。野党にとって「ガースーの風は選挙に持ってこい」ということになる。

 菅首相は、長崎市の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に遅刻した。野党側は「トイレは仕方ない」といつになく大人の態度を示した。「コロナ感染を最優先」という菅首相の言い違いも問題にされずスルーされている。菅首相を支持しているのは、(何も与党だけではなく)野党であることになる?
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:14 | 小倉正男の経済コラム
2021年08月10日

【小倉正男の経済コラム】「説明責任」=ガバナンスを果たさない日本の政治

■金メダルの高揚感があっても支持率は低下

kk1.jpg 「東京2020」、オリンピック・パラリンピックということだが、オリンピックが終わった。

 その途端に朝日新聞社の世論調査が発表された。同調査では、菅義偉内閣の支持率は28%と昨年9月の発足以来はじめて30%を割り込んだということである。

 新型コロナ感染は増えるばかりであり、酸素投与が必要な患者も入院がままならない状態にあるのが現実だ。相当に危機的な状態である。

 ところが、「説明責任」が果たされていない。菅首相が「重症患者以外は自宅療養」と唐突に方針を表明したわけだが、曖昧な結論だけ語ったにすぎない。どうしてそのような結論なのかといった説明はまったくない。これでは危機感など伝わるわけがない。

 「説明責任」を果たすのが基本だが、スピーチも原稿棒読みどころか、原稿読み飛ばしと、こちらも基本はないがしろである。金メダルの高揚感があっても支持率は28%というのだから、普通にいえば総裁選、総選挙のメドは立たないのではないか。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:47 | 小倉正男の経済コラム
2021年07月13日

【小倉正男の経済コラム】機械受注:先行指標・設備投資に回復の兆し

■機械受注は回復に好転

kk1.jpg 機械受注の動向だが、5月は総額ベースで2兆7547億円(前月比9・8%増)となった。4月の18・2%増に続いて回復傾向となっている。政府の新型コロナ感染対策の混迷や失態が経済の足を引っ張っているが、設備投資の状況を示す機械受注では低迷から回復に転じている。

 内訳でいうと、外需が1兆3563億円(前月比11・4%増)と牽引している。経済再開が早かった中国などからの半導体関連製造装置、工作機械などへの旺盛な需要が続いている。民需が9965億円(同8・5%増)、官公需は2652億円(同3・1%増)となっている。

 景気の先行指標である民間需要(規模が大きく不規則な船舶・電力を除く)では、5月は8657億円(同7・8%増)、4月の0・6%増から大きく好転している。市場予想は2・4%増だったから、民間需要は市場予想を大きく上回る伸長をみせている。

 製造業は3901億円(同2・8%増)だが、4月は10・9%増だったわけだから高い水準を維持しているといってよい。非製造業は4532億円(同10・0%増)で、4月の11・0%減から反転している。新型コロナ禍で低迷に直撃されていた非製造業に復活の動きがみられるようになったことは前向きな変化だ。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:54 | 小倉正男の経済コラム
2021年07月04日

【小倉正男の経済コラム】米国経済:雇用者数は85万人増に回復加速

■雇用は順調に回復

kk1.jpg 米国の非農業部門雇用者数は、6月は前月比85万人増と事前予想(70万人増)を上廻るものだった。5月の非農業部門雇用者数は55万9000人増だったが、雇用回復はさらに着実に加速されている。米国の雇用は、順調に回復している。

 ただし、失業率は5・9%(事前予想5・7%)と前月の5・8%から悪化をみせている。僅かとはいえ失業は増加していることになる。人種間、すなわちマイノリティ、あるいは女性の失業問題などは、ほとんど解決していないという見方もなされている。

 現状は新型コロナ感染の発生以前に比べて、670万人分の雇用がまだ埋められていない。接客、レジャー産業が雇用回復を引っ張っているが、依然としてまだ人手不足の状態となっている。新型コロナ感染の懸念が残存しており、飲食など接客業は回避される傾向が解消できていない。

 週300ドル(3万3000円)の失業給付上乗せ措置が、失業者には心地よすぎて“就労意欲”を後退させているということも争点となっている。共和党知事の州では、9月上旬の期限前に失業給付上乗せ措置を打ち切る動きが表面化している。

 失業給付上乗せは、もともとトランプ前大統領が採った政策だが、いまやバイデン大統領の政策に成り代わっている。バイデンVSトランプというか、民主党と共和党のバトルはここでも続いている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:44 | 小倉正男の経済コラム
2021年06月13日

【小倉正男の経済コラム】米国CPIは5%上昇、インフレは「一時的」か否か

■消費者物価は4月4・2%、5月5・0%上昇

kk1.jpg 10日に発表された5月の米国消費者物価指数(CPI)だが、前年同月比5・0%上昇というものだった。4月は前年同月比4・2%増だったから、2カ月連続で上昇率は異例の高さを示している。

 前年の同時期は、新型コロナ蔓延で経済がドン底期にあったわけで、当然ながらその反動もある。しかも、この4,5月は、バイデン大統領の直接給付追加など大型景気浮揚策に加えて、ワクチン接種の広がりもあって経済再開が加速されている。

 消費者物価の上昇から、「インフレ懸念」が騒がれるのも無理はないところである。

 半導体不足の影響で新車供給に問題が発生して、中古車価格が30%上昇したなどという報道もされている。旅行需要の急回復でレンタカーが不足している、新型コロナ禍から一般の人々が電車など公共交通機関を使うのを嫌って、クルマを購入しようとしているなどの需要が沸き起こっている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:33 | 小倉正男の経済コラム
2021年06月06日

【小倉正男の経済コラム】米国雇用統計:緩やかな回復、日本はまだ混迷

■米国の5月就業者数は55万9000人増

kk1.jpg 米国の雇用だが、新型コロナに対するワクチン接種の浸透もあって、事前には好調な回復が予想されていた。消費者物価などのインフレ懸念も強まっており、雇用回復が顕著になれば、テーパリング(金融緩和策の縮小)が促進される可能性があるとされていたわけである。ドルが買われ、米国債金利が上昇する気配が強まっていた。

 4日に米国雇用統計が発表され、5月の非農業部門の就業者数は前月比55万9000人増という結果だった。4月の就業者数は27万8000人増だったから、4月に比べると大幅な回復にみえる。

 ただ、事前の市場予想は65万人増であり、雇用統計発表の直前にはそれを大きく上廻るかとみられていただけに回復トレンドは緩やかと受け止められている。発表後はドルが売られ、米国債金利が下げに転じた。NY株式、ナスダックとも金融緩和策の縮小は当面ないとみて上昇している。

 宿泊、飲食などが就業者増を引っ張っているが、それでも接客関連などには十分に戻りきれていない状況である。需給のミスマッチが起こっているということだ。失業給付の手厚い上乗せ補償も就業意欲を後退させており、就業を躊躇させているとみられる。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:13 | 小倉正男の経済コラム
2021年05月22日

【小倉正男の経済コラム】「コロナ敗戦」「ワクチン難民」発生という混迷

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■「ワクチン難民」発生の混迷

 新型コロナワクチン接種券というものが届いたが、現状はそれだけのことであり配られただけである。

 予約センターには電話、メールともつながらず、接種の予約はまったくできていない。地域の掛かり付けの病院に連絡したら、受け付けているのだが「反響が大きすぎて、順番は10月頃になる」という話である。

 気長に待つしかないというわけだ。国、自治体はいかにもワクチン接種が大規模に進んでいるような発言をしている。接種が進んでいる一部自治体もあるのだろうが、「ワクチン難民」も相当出ているのではないか。

 コロナも怖いが、国、自治体の手際の悪さもかなりのものだ。「ワクチン難民」問題もおそらく3カ月程度はかかるだろうから、落ち着くのはかなり先の話になる。

 しかも、今回のワクチン接種は1回目であり、2回目の接種が必要である。となるとワクチン接種の完了は、下手をすると年内一杯程度はかかるとみられる。もちろん、予想外に接種が進む可能性もあるが、「自助」で頑張るとしても限界がありそうだ。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 18:39 | 小倉正男の経済コラム
2021年05月05日

【小倉正男の経済コラム】「半導体製造装置を中国に売っている」という短絡的批判の危うさ

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■米中軋轢は「半導体戦争」に進化

 米中貿易戦争が開始される1年前の2017年、この時も半導体不足が騒がれていた。中国が「中国製造2025」をスタートさせ、半導体製造装置、半導体など電子部品の輸入を活発化させていた。日本国内では、「半導体をつくれといわれても、半導体製造装置用の半導体が足りない」(商社筋)といわれていた。半導体不足で半導体製造装置がつくれない、という皮肉めいたユーモアが電子部品業界で語られていたわけである。

 2017年当時では、日本からの半導体製造装置は、中国、韓国、台湾企業に売られていた。もう少し詳細にいうと、中国、韓国、台湾の中国工場向けに輸出されていた。中国は、先行きを睨んで遅れていた半導体製造の自国化を進め、次世代通信5Gなどでも世界の先頭を目指すという野心を明らかにしていた。

 2018年にトランプ前大統領による米中貿易戦争が始まり、米国は中国製品に高関税を課すようになった。さらには米国を中心にデカップリング(切り離し)も行われ、ファーウェイ(華為技術)などへの半導体輸出に規制がかけられることになった。

 米中貿易戦争は、もともと中国の米国への過剰な鉄鋼輸出から始まったものである。トランプ前大統領は、米国の鉄鋼産業衰退による失業者増加を問題にしたわけである。だが、いまや米中軋轢は半導体をめぐる闘いに変わっている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:15 | 小倉正男の経済コラム
2021年04月10日

【小倉正男の経済コラム】『見えない化』――「企業内失業238万人」を含む失業問題の実体

■企業内失業者238万人という凄さ

kk1.jpg 『日本経済2020〜2021』(内閣府―感染症の危機から立ち上がる日本経済−)、ミニ経済白書といわれる文書だが、そこに「企業内失業者」の推移が分析・表示されている。

 企業内失業者とは、企業が社員の雇用を継続しているのだが、仕事を与えられていない状態を指している。同白書では、企業の「雇用保蔵」という言葉が使われている。これは雇用しているが、社員に仕事を与えられず、保蔵している状態のことである。

 同白書によると2020年の企業内失業者は、4〜6月646万人、7〜9月379万人、10〜12月238万人になっている。新型コロナ禍の直撃がそのまま現れているわけだが、何とも半端ない数字だ。製造業もそうだが、今回はサービス産業で企業内失業者が増加している。

 企業による雇用維持の背景には、雇用調整助成金、持続化給付金、家賃支援給付金などに加えて、無利子・無担保融資などの企業支援策の取り組みがあると書かれている。とりわけ、雇用調整助成金の上限を1日当たり1万5000円に引き上げたことが奏功しているとしている。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:53 | 小倉正男の経済コラム
2021年04月06日

【小倉正男の経済コラム】コロナ禍:支援・助成手続きが煩雑過ぎるという困難

■支援・助成手続きを断念する店舗

kk1.jpg 新型コロナ禍への支援金、助成金だが、「手続きが煩雑過ぎて諦めた」といった声が少なくない。

 時々、音楽ソフトのお店に伺うのだが、「持続化支援金はもらえませんでした」とご主人は嘆いている。そのお店は売り上げが大きく減らなかったが、利益が大きく低下した。しかし、持続化支援金は売り上げの大幅減が基準なので、支援の対象外になったというのである。

 お店のご主人は、家賃などの助成金も面倒すぎて「断念した」としている。スマホ、パソコンなどを使いこなすデジタル技術力が相当ないと対応できない。用意する書類などが多い。結局、支援は何も得られない。それでもご主人はお店を何とか継続させている。

 あまり政治などに意見、あるいは文句などを言わない人たちまで苛立ったり、怒ったりすることが表面化してきている。これは取材というより、街で感じる“空気”である。支持率については、「一喜一憂しない」というのが政府・与党のお決まりだが、「一喜一憂しない」と大変なことになりかねない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:07 | 小倉正男の経済コラム