[小倉正男の経済コラム]の記事一覧
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記事一覧 (03/13)【小倉正男の経済羅針盤】ウクライナ軍事介入はロシアの「ストーカー行為」
2014年12月13日

【小倉正男の経済羅針盤】原油価格急落=「デフレの時代」に突入か

■1バレル=60ドル台割れに急落した原油価格

小倉正男の経済羅針盤 原油価格の低迷が止まらない。ついには1バレル=60ドル台(NY原油先物市場)を割り込むといった事態となっている。今年最高値は1バレル=110ドル台(6月)だったわけだからほぼ半値に近い低落となっている。

 新年にはさらに下がり、「30ドル原油」、あるいは「40ドル原油」になるという予測も出ている。

 「石油ガブ飲み」といわれた中国経済が失速している。ユーロ圏経済も、ギリシャなど南欧諸国の低迷・混迷が続いており、大底からの脱出が遅れている。

 しかもOPEC(石油輸出国機構)とアメリカのシェールオイルとの競合関係が激化している。需給面でも供給過剰の傾向が顕著になっている。

■OPECが「骨身を切る戦略」に踏み切る

 これまではサウジアラビアなどOPEC諸国は、シェールオイルを無視するというか、ほとんど問題視しないできた。しかし、シェールオイルのシェア拡大に対して、OPECは戦略を一変させた。

 OPECは需要低迷に対応する減産は行わないことを決定した。

 OPECは、あえて原油価格の低迷を容認することで、シェールオイルの生産・供給拡大にストップをかける方針を打ち出したことになる。

 OPECとしては、原油価格低迷という「骨身を切る戦略」を採用し、アメリカのシェールオイルの生産・供給体制に打撃を与えるのが狙いである。

 OPECはれっきとしたカルテルの塊だ。そのOPECが皮肉にも、当面はカルテル体制を守るために、あえて競争に挑んだようなものである。

 OPECは、中長期では、世界の景気回復動向などを睨み、シェールオイルとの調整を進めて、再び原油価格の高騰を図るのが究極の意向とみられる。ただし、供給過剰が事実として判明している以上、原油価格が再上昇するかどうか、いまや不透明でしかない。

■第1次〜第2次オイルショックはOPECの勝利

 第1次オイルショックは、1970年代前半〜70年代央のことだが、原油価格が1バレル=3ドルから5ドルになり、ついには11ドル台に騰がったことで勃発した。

 日本では、店頭からトイレットペーパー、洗剤がなくなるような騒ぎとなり、インフレが加速された。まさに「狂乱物価」の時代だった。原材料価格高騰でコストは上昇したが、製品価格へのコスト転嫁が進んだ。

 第2次オイルショックは、1970年代末から1980年前半に原油価格が1バレル=18ドルから30ドル台に上昇したことによるものだ。

 原材料コストは上昇したが、製品価格には転嫁が進まなかった。企業は、「原材料高・製品安」の苦境に陥った。スタグフレーションが進行し、企業は不況にあえいだ。全体にモノ余りというか、供給過剰の時代に突入していたことによる。

 第1次オイルショックの勃発時には原油価格は1バレル=3ドルだったが、それ以前は1バレル=1ドル程度だった。それが30ドル台になった。OPECの圧倒的な勝利だった。

■本格的な「デフレの時代」が到来する

 2000年代になると原油価格は100ドル台に上昇した。これは「第3次オイルショック」というべきもので、「石油ガブ飲み」の中国経済が台頭したことが最大の要因だ。中東諸国の政治的な混迷も100ドル台といった原油価格に拍車をかけた。

 この超高騰価格は、OPECにはタナボタのお客が出現した恩恵だった。しかしその反面であまりの超高騰価格は、アメリカのシェールオイル開発・供給を促進させた。
これだけの美味しいマーケットに指をくわえて手を出すなというわけにはいかなかった。

 原油価格は、どこまで下がるのか。1バレル=30ドル〜40ドルに下がるとすれば、懸念されるのがデフレである。

 原材料価格の低下は、コストを低減する。最終製品価格が下がらなければ、利益が生み出される。しかし、世界全体が供給力過剰の状況にあり、原材料コスト低減は、製品価格を押し下げることになる。

 企業でいえば、売り上げが下がり、利益が下がることになる――。景気は悪化が避けられない。

 今回の原油価格の急低下は、「オイルショック」とまったく正反対、本格的な「デフレの時代」の到来をもたらすということになるのでないか。

(経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所刊)など著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 06:00 | 小倉正男の経済コラム
2014年11月02日

【小倉正男の経済羅針盤】崩壊しないから怖い中国のバブル

■「構造調整」を避けて崩壊しないからなお始末が悪い

小倉正男の経済羅針盤 中国経済、とりわけその「不動産バブル」、「バブル崩壊」については世界のあらゆるメディアが指摘している。

 経済成長率が7%台に低下し、不動産市況は低迷し、売買件数も減少――。その度に、「ついに」「いよいよ」とウォッチャー専門筋が、「バブル崩壊」に論及してきた。

 しかし、銀行倒産、取り付け騒ぎなど「バブル崩壊」現象は拡大をみせないで現在にいたっている。

 中国経済の「バブル」は、崩壊するのも怖いが、崩壊しないからなお始末が悪い・・・。

 経済は上がったり、下がったりで「変動」を伴う。しかし、中国はその「変動」を認めようとしない。

 いまのユーロ圏経済の「バブル崩壊」では、南欧諸国の財政緊縮化、欧州各国銀行の資産売却、人員整理などコスト削減、資本注入と「構造調整」が続行されている。

 ところが、中国は「バブル崩壊」をさせないのだから、「構造調整」もない。

 「構造調整」は、一時的には経済の減速、デフレの進行を伴い、失業が急増する――。悲鳴が上がる辛気臭い状況になる。だが、「構造調整」を経ないと「バブル」からの完治は果たせない。

 中国の「バブル崩壊」がなく「構造調整」がないのは、およそ恐ろしい現象ということなる。

■銀行は規制されており国有企業に限定して低利融資

 中国が抱えるあらゆる問題の根源は、ほとんど「社会主義市場経済」に帰結するのではないか。

 政治では共産党独裁を行っている。共産党高級幹部が権力と富を握り、その子弟たちが富の分配を享受する。経済は資本主義が採用され、富をむさぼることは肯定される。

 シャドーバンキング、すなわち「影の銀行」なども、その奇態な政治経済体制から廻りまわって生み出されたものにほかならない。

 中国の銀行は、「傾斜生産方式」というか、「社会主義」というか、国有企業に限定して融資を行っている。中国の銀行金利は規制されており、預金が3%、貸出は6%――。つまりは、融資も金利も自由化されていない。
国有企業は、共産党高級幹部の子弟達「太子党」の巣窟といわれている。中国の銀行は、規制されており、国有企業を優遇して融資するしかない。

■市場の実勢のニーズがシャドーバンキングを必要とした

 ところが、「太子党」や新興成金を含め、お金持ちはもっと高い預金金利を求める。利回り10%超の「理財商品」といった投資信託商品が出回るようになる――。シャドーバンキングとしても、融資には資金集めが必要だから「理財商品」をつくったわけである。

 お金持ちが不動産投資を行うにも銀行は貸出をしてくれない。銀行としては貸出金利が6%程度ではリスクが高すぎるから融資できないという面もある。

 国有企業以外の地方政府、企業も不動産・建設などへの資金需要はきわめて旺盛だ。銀行の低金利融資は、これらのセクターも受けられない――。15%内外の高い貸出金利でもかまわないから融資してくれ、という需要が発生する。

 市場の実勢、市場経済はおカネを求めている。「社会主義市場経済」の規制があるから、「影の銀行」=シャドーバンキングが必要になる。シャドーバンキングは、そうした市場ニーズの実勢から生み出されてきた。

 中国経済は、「社会主義市場経済」と「市場経済」に分裂している。

 「市場経済」は、闇市、あるいは自由市場のようなもので、よかれ悪しかれ実勢を反映している。「社会主義市場経済」の規制が、シャドーバンキングを急激に膨張させた。

 規制すればするほど「市場経済」が膨らむ――。中国は、胎内に膨張した「市場経済」によって、経済のみならず、共産党独裁といった政治体制まで巨大な「変動」に直面する事態をいずれ迎えるのではないか。

(経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所刊)など著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 21:57 | 小倉正男の経済コラム
2014年10月25日

【小倉正男の経済羅針盤】ユーロ金融危機の再燃はあるか

■ドイツ――南欧諸国の構造改革が最優先事項

小倉正男の経済羅針盤 ユーロ圏経済に失速の懸念が再燃している。

 ウクライナ危機でドイツ経済が減速――。ドイツ経済は、ユーロ安の恩恵を受けてきた。だが、ロシアへの経済制裁などが響いており、さすがに成長鈍化が避けられない様相に追い込まれている。

 アメリカは、ドイツがユーロ圏経済を牽引する需要拡大策を採ることを期待している。
しかし、いまのところドイツは大判振る舞いをする気など一切ない、というスタンスを崩していない。

 ドイツとしては、南ヨーロッパ諸国の構造改革こそが、ユーロ圏経済再生への不可避事項であるという立場だ。(日本の「金融危機」でも同様だったが)構造調整は、辛気臭い仕事で時間も膨大にかかる。しかし、避けては通ることはできない。

――ユーロ諸国は、とりわけ南ヨーロッパ諸国は、あくまで緊縮財政を継続し、構造改革を優先する必要がある。それを緩めてしまっては、ユーロ圏経済が抱える問題の根本的な解決にはならない――。

■「債務危機」が金融システムの危機に拡大

 ユーロ圏経済は、2010年の「ソブリン・ショック」(債務危機)から底入れを果たし、立ち直りを期待されていた。

 ソブリン債とは端的にいえば国債のことだ。2009年に隠蔽されていたギリシアの財政赤字が露呈したのが端緒だった。ギリシア国債は大暴落――。ポルトガル、スペイン、イタリアなどの国債にも不安が飛び火し、ユーロ圏全体が「債務危機」の連鎖に陥った。

 仮にギリシア国債がデフォルト(債務不履行)になれば、それを買い込んでいるイタリア、フランス、あるいはドイツなどの銀行が倒産の危機に見舞われる。「債務危機」が、ユーロ圏経済全体の金融システムの危機に広がることになりかねない――。

 こうなると、国も銀行も同じことで、緊縮財政で財務(赤字)を削減し、欧州中央銀行(ECB)がからんで膨大な融資支援を行い、資本増強するしか手はない。

■ユーロ圏の金融システムに危機再燃の懸念

 ユーロ圏は、金融システムの再生に取り組んできたわけだし、「債務危機」は、一応、終了とみられていた。

 しかし、ユーロ圏の金融システムは、まだまだ再生途上ということになるのだろうか。ユーロ圏の景気が低下すれば、金融危機の不安をぶり返しかねないところがある。

 ドイツの景気が減速ということになれば――、再生途上にあるというか、再生がそれほど進んでいない南ヨーロッパ諸国、すなわちギリシア、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの金融システムにも不安が燻りかねない。

 この先、金融システム不安が再燃すれば、欧州中央銀行(ECB)が国債買い入れなど「量的金融緩和」に進むのではないかという観測も出ている。
あまり考えたくはないのだが、新年にかけてユーロ圏が世界経済を揺るがす局面も想定する必要があるのではないか。

(経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所刊)など著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:57 | 小倉正男の経済コラム
2014年10月15日

【小倉正男の経済羅針盤】米中間選挙後、修正迫られるアベノミクス

■オバマの不人気で上院、下院とも共和党が圧勝の流れ

小倉正男の経済羅針盤 アメリカ中間選挙が11月4日と迫っている。上院(定数100議席)の3分の1、下院の全員(435議席)が選出される。あわせて州知事選挙も行われる。

 はっきりしているのはオバマ大統領の不人気だ。与党の民主党候補は、オバマ大統領の選挙応援は固辞し、「オバマ隠し」を選挙戦術にしている。ひたすらオバマ大統領との相違点をアピールしている。

 共和党も、極端なほどの「小さな政府」を追及して反発も強いティパーティ(茶会)系は後退――。主流派の、というかエスタブリッシュメント候補を揃えた模様だ。

 上院、下院とも共和党がかなり優勢とみられている。上院は民主党がなんとか過半数を維持するといわれてきたが、どうやらここも民主党の劣勢が免れない。

■オバマ大統領は中間選挙以前に「レイムダック」

 オバマ大統領は、イラク、シリア、ウクライナといった外交で何ひとつ成果を上げていない。

 戦略は採れず、戦術も後手に廻り中余半端――。「何もできない大統領」という評価がすっかり定着している。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:18 | 小倉正男の経済コラム
2014年10月03日

【小倉正男の経済羅針盤】消費税再増税、判断誤れば国が傾く

■増税ばかりでは元も子も失う

小倉正男の経済羅針盤 アメリカでは、税制改正(タックスリフォーム)というと「減税」を意味すると言われる。人々は、税制改正とは「減税」してくれるのか、というイメージで受け止めている。

 日本では、税制改正とは「増税」をやわらげて抽象化して伝える言葉になっている。

 世界では、相続税などは取りません、という地域や国が増加している。お金持ちを納税者として取り込みたいから、相続税はゼロにしているのである。

 その地域や国としては、相続税ゼロだから是非住んでくれ――、というわけだ。相続税は取らないが、お金持ちが移住すれば消費税や所得税は落ちる。

 地域、あるいは国が「減税」を武器に住民の呼び込み競争をしている。地域、国が、税制に知恵を絞り、生き残りを掛けている――。

 日本では、東京都など首都圏の庶民からも広く薄く相続税を取るというのだから、競争も生き残りも何もない。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:53 | 小倉正男の経済コラム
2014年09月06日

【小倉正男の経済羅針盤】Jリートと私募リート

■Jリートは12兆円マーケットに成長

小倉正男の経済羅針盤 Jリート(=上場不動産投資信託)は、高い利回りが得られるところが一般的な特色とされてきている。配当、すなわち分配金を得るために期末に狙うジャンルと思われてきた。

 しかし、このところインフレに強い金融商品という思惑から「期末だけの商品」(銘柄)ではなくなってきている模様だ。

 実際にインフレになっているとは思えないが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革への期待などが重なっている。実物の不動産を持つわけではなく、高い利回りを得られるということで運用先として脚光を浴びているわけだ。

 Jリートが、日本に登場したのが2001年というのだから、「リート後発国」というか、馴染みはまだまだである。

 それはともあれ、Jリートは現状40銘柄、12兆円のマーケットに成長を見せている。

 Jリートは、リーマン・ショック時などは不動産関連商品ということで酷い暴落を経験した。そんな経験もしながらだが、いまや12兆円マーケットと過去最高を記録しているというのである。

■非上場の私募リートにも情報開示を促す

 そんななかで私募リート(非上場不動産投資信託)も急成長している模様だ。私募リートは8銘柄、市場規模は7000億〜8000億円の現状と見られる。内外の機関投資家向けのマーケットである。

 リート専門の情報サイトを運営する東間大・ジャパンリート代表取締役は、「私募リートは(将来的には)20銘柄、6兆円規模のマーケットに拡大する」と見通しを語っている。

 私募リートは、Jリートとは異なり、株式市場の変動リスクを回避できるメリットがある。だが、私募リートはマーケットでの歴史も浅いだけに、情報面で「透明性」が不十分というネックがあった。

 私募リートは、情報開示に問題が残っている。「透明性が必要だ。情報をできるだけオープンにしていく」(東間氏)。情報がなければ、マーケットは大きくならない。東間氏としては、私募リートのサイトを新稼動させて、情報の「透明性」アップに挑戦するとしている。

■不動産はロケーション(場所)で価値が決まる

 不動産の価値は、その不動産が生み出す利回りで決まる――。これはリートという商品の根幹だが、「不動産バブル」以前の日本にはまったくなかった価値尺度だった。
 
 アメリカの不動産業界では、「不動産は第一にロケーション(場所)」といわれる。では、第二、第三には?「第二はロケーション」「第三はロケーション」というジョークがある。
結局、すべては「ロケーション」でそれぞれの価値が決定される。

 ニューヨークの五番街のオフィスビル、店舗、ホテル、マンションだから、高い賃料(利回り)が取れる。だから、価格が高い――。

 リートは利回り商品だから、それ自体が「不動産バブル」を回避する作用を持つ一面があるとされている。しかし、それでもリーマン・ショックのようなことが起こる。
妙な結びで恐縮だが、世の中、単純にはいかないということか・・・。

(経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営』(PHP研究所刊)など著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 15:49 | 小倉正男の経済コラム
2014年08月27日

【小倉正男の経済羅針盤】GPIFが直面する二つのガバナンス

■新浪剛史氏の「もの言う株主になれ」という提案

小倉正男の経済羅針盤 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資産は、2013年度末で126兆5771億円――。

 この126兆円超というおカネはなんと日本の実質GDPの四分の一に近い金額に匹敵する。もちろん、すなわちすべて国民から集めたおカネだ。

 運用資産額では、確かに世界断トツの「機関投資家」にほかならない。その存在感は相当に大きい。そのGPIFが株式への運用拡大をさらに促進する動きを見せている。

 新浪剛史・ローソン会長などは、GPIFの存在感を指摘して「GPIFはもの言う株主になれ」と提案している。
そう、GPIFは株主として大きい存在感を持っているのである。

 GPIFは、いま二つのガバナンス問題に直面している。ひとつは、日本の企業全体のコーポレート・ガバナンスである。

■日本企業のガバナンス欠如問題

 GPIFが株式への資産運用を拡大するなかで、投資する企業のガバナンスはかくあれと要求する――。あるいは、ガバナンスがある企業に投資する、と表明する――。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:54 | 小倉正男の経済コラム
2014年08月15日

【小倉正男の経済羅針盤】GPIF 株式への運用が劇的増加

■株式への運用が劇的に増加、国債は減少

小倉正男の経済羅針盤 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資金運用に変化が起こっている。端的にいえば、株式への資金運用が増加し、国債への運用が減少している。

 その変化たるや、顕著というか、むしろ「劇的」といってよいかもしれない。

 GPIFは現状129兆円の運用資産を持ち、「世界最大クラスの機関投資家」といわれる。

 それだけにその運用の劇的変化には、国内のみならずアメリカの株式市場などからも注目を集めている。

 GPIFの前2013年度の運用資産は126兆5771億円、収益は10兆2207億円(収益率8・64%)。2012年度に続いて大きな収益(利回り)を確保している。

 2013年度の運用内訳は、国内債券55・43%、国内株式16・47%、外国債券11・06%、外国株式15・59%――。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:38 | 小倉正男の経済コラム
2014年08月08日

【小倉正男の経済羅針盤】都市のソフト力全体の厚みとカジノ

■シンガポールのカジノ解禁

小倉正男の経済羅針盤 お堅いイメージのあるシンガポールだが、2011年にカジノを公認した。シンガポールのカジノは、中国などのお金持ち層旅行客の取り込みに成功したといわれている。

 シンガポールがカジノ解禁をしたのは、東京などのアジアの都市との「都市間競争」を意識したためとされている。「カジノも都市の魅力のひとつ」、と新しいメニューに加えたわけである。

 アベノミクスの「第3の矢」はどこにいったのか、ほとんど誰もいわなくなった。その代わりなのか、ここにきて日本もカジノ事業の解禁に踏み切りそうだ。

 「都市間競争」――、都市が旅行客に選ばれるのはよいことである。

 いま銀座の大通りを歩いていると、中国などのアジアの旅行客ばかりである。彼ら、彼女らにとって、東京や銀座ははたして魅力のある旅行地だろうか。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:53 | 小倉正男の経済コラム
2014年07月19日

【小倉正男の経済羅針盤】GPIF 「池のなかの鯨」になれるか?

■少しは「池のなかの鯨」らしくなった?

小倉正男の経済羅針盤 世界最大の年金基金といわれるのが、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)である。

 GPIFは現状129兆円の運用資産を持ち、運用資金規模でみれば「世界最大の機関投資家」だ。
とかくガチガチな保守的運用が特色だが、それをほんの少し転換する動きが出ている。GPIFが、運用方針を国債中心は変わらないが、株式を増加させる動きを採用しているというのである。

 GPIFの運用成績は、2013年度10兆2207億円の黒字(収益率8.64%)。過去2番目の黒字額だ。過去最高の黒字・利回りは、2012年度の11兆2000億円(収益率10・23%)。

 それまでは資金運用成績は目も当てられない散々な低空飛行が続いていた。ほとんど死んでいた株式市場が急活発化したことが、この様変わりの運用黒字を呼んでいる。

 アベノミクス発動(2012年12月)による株式上昇が大きく貢献しているのは間違いない。GPIFの資金運用といえば、誰も期待しないというか、噴飯ものというのが過去の定評だった。
 アベノミクスのおかげで、少しは「池のなかの鯨」らしくなった、というべきか。

■GPIF=日本国債の「受け皿」構造は不変か

 2013年度の運用資金は126兆5771億円――。その運用内訳は、国内債券55.43%、国内株式16・47%となっている。

 従来、基本ポートフォリオは国内債券60%、国内株式12%とされてきた。国内債券とは、すなわち国債のことだが、一目瞭然、国債が減り、株式が増加している。
この傾向はさらに強まっており、国内債券50%、国内株式20%になるとみられている。

 日本の国債金利は長期物でも1%を割っており、これを支えてきているのがGPIFの大量の国債買いである。GPIFは、日本国債の「受け皿」といわれている。

 GPIFの国債買いが、日本の公共投資資金となり、低金利=円安誘導の源泉となっている。おそらく、国内株式への資金運用が多少増えても、国債の「受け皿」構造は変らないのではないか。

■世界の年金基金=その運用方針

 世界の年金基金の運用方針だが、各国まちまちである。国債中心のところもあり、株式の比重が大きいところもある。

 アメリカでは、老齢遺族保険信託基金や傷害保険信託基金などはアメリカ国際(特別債券など)のみの運用だ。それでもよい時は10%を大きく超える利回りがあり、最低でも4〜5%の運用収益を上げている。
 ちなみに日本の国債金利では、こうした事態は考えられず、「日本国債の罠」にドップリはまっているようなものだ。

 アメリカでもカリフォルニア州職員退職年金基金、ニューヨーク州職員退職年金基金などは株式を中心に据えた資金運用を行っている。これらはアメリカ国債が30%内外に抑えられている。

 要はプロが運用しており、リーマン・ショックのように「株式の罠」、すなわちリスクがあれば運用方針を機敏に変えるのが基本だ。それでも穴が空く時は空く。資金運用リスクは避けられない。

 日本のGPIFの問題点は、まさにそこだ。「池のなかの鯨」どころか、「池のなかの蛙」よろしくいつまでも「天下り」の温床でぬくぬくと過ごす独立行政法人、というのはいまどき少し不届きすぎないか・・・。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:35 | 小倉正男の経済コラム
2014年07月07日

【小倉正男の経済羅針盤】「あまロス」症候群と岩手県

■「あまロス」にどう立ち向かうのか
 
小倉正男の経済羅針盤 昨年は、NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」に沸いた岩手県――。主演の能年玲奈の人気は爆発的だった。だが、さすがに「あまちゃん」ブームがずっと続くわけではない。

 「あまちゃん」の放送が終了した後、視聴者は「あまロス」症候群に陥ったといわれた。
天から降った「あまちゃん」ブームに救われた岩手県なのだが、こちらも深刻な「あまロ
ス」症候群に見舞われた模様――。

 そのテコ入れなのか、岩手県の達増拓也知事は物産、観光の情報発信特使に俳優・村上弘明氏を就任させた。村上氏は、岩手県陸前高田市出身で、地縁からの起用ということである。

 知事が、物産や観光などでトップセールスを行うのは、東国原英夫・前宮崎県知事が知られている。
こちらは口八丁手八丁の芸能人の手法であり、簡単には誰もマネのできないものである。

 岩手県の達増知事は、外務官僚、衆院議員からの転進であり、地道に物産・観光にテコ入れを図る方針を採用するしかない。
 岩手県としては、何とか知恵をめぐらしたのだろうが、はたしてこの成否はどうだろうか。

■パラダイムシフト=競争を意識しない地方は生き残れない

 地方自治体が、物産販売や観光客誘致で他の地方自治体と競争するのは悪いことではない。そのはしりが、各地方自治体の「ゆるキャラ」による地域興しキャンペーン、あるいは「ふるさと納税」などなのだろう。

 本来、地方自治あるいは地方分権とは、「うちの地方は税金が安くて住みやすい」、例えば「相続税や法人地方税、個人地方税が安いから、他の地方から移り住んでくれ」、ということである。
住民の福祉や選択の自由――、競争を意識しない地方は、生き残れない時代がいずれ到来するとみられる。

 地方自治体は、いまだに「独占事業体」でアグラをかいているが、競争原理が導入されていく必要がある。地方がそれぞれ競争すれば、住民は住みやすくて、納得できる地方を選ぶことができるようになる。

 税金を当たり前のようにむさぼる地方自治体には、耳が痛いことだが、住民から敬遠される。そうしたパラダイムの大転換が、地方に迫っている。

■物産、観光がとりあえず競争の主役

 岩手県は、ようやく大震災による沿岸部のガレキ処理が完了――。応急的な仮設住宅から恒久的な住宅に移れるような取り組みを進める段階にある。学校、病院といった社会的インフラの復旧・復興も加速させていかなければならない。

 「岩手県がいまどうなっているのか、強力に情報を発信・展開していく」と達増知事。岩手県としても大震災の風化が深刻に懸念されており、それと闘う必要がある。

 恐縮ながらその昔の田中角栄内閣による列島改造時代――。私の新人記者時代だが、盛岡市の県庁で、当時の千田正・岩手県知事(故人)に単独でインタビューしたことがある。
千田正知事は、弁舌がなんとも面白い、人気のある名物政治家だった。当時は、地方は工業団地などを整備して、製造業=工場を誘致するのがメインのアジェンダだった。

 いまや製造業はグローバル展開で、地方に工場はなかなか建たない。物産販売、観光がとりあえずの競争の主役に変わっている。いまの岩手県の使命・立ち位置は、大震災からの復興もあるが、地域経済を盛り立てなければならない。

 おざなりな地域興しイベントや記者会見でお茶を濁して地方をPRするような手法では、地方が生き残れない時代に入ろうとしている。

 各地方自治体には、天地が引っくり返るようなパラダイムシフト=コペルニクス的展開になるが、「競争」というものを深く認識すべきである。      
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 08:32 | 小倉正男の経済コラム
2014年06月30日

【小倉正男の経済羅針盤】セクハラ野次」事件の安易な顛末

■「セクハラ野次」事件のすっきりしない顛末

小倉正男の経済羅針盤 どうでもよいといえばそうなのだが、少しすっきりしない。例の東京都議会の塩村文夏・都議(みんなの党)の演説時に発せられた「セクハラ野次」事件である。

 野次った鈴木章浩・都議(自民党)は、野次られた塩村・都議に直接頭をさげて謝罪した。「早く結婚したほうがいい」――。鈴木・都議が吐いた野次はそうした内容だった。

 メディアはこぞって、「セクハラ野次」事件を女性蔑視、男尊女卑と批判。
外国人記者クラブなど海外メディアもこの事件を取り上げた。そんなところから、TVなどは「世界が日本の女性蔑視、男尊女卑を批判」と相次いで発言している。

 自戒もあるが、メディアというのも少し薄っぺらなものだ。
『スタップ細胞』ではわかりもしないのにワーワーと取り上げ、雲行きがおかしくなると手のひらを返して叩きまくった。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:33 | 小倉正男の経済コラム
2014年06月23日

【小倉正男の経済羅針盤】『プロ野球16球団制』のボトルネック

■「第3の矢」どころか、出てくるのはスマホ税、パチンコ税

小倉正男の経済羅針盤 「第3の矢」、すなわちアベノミクスの眼目になるはずの経済成長戦略だが、はたして期待できるものはあるのか。
 法人税の実効税率低減、カジノの規制緩和による新稼動、燃料電池車への補助金などプランが積み上げられている。

 またしても期待外れに終わるのか。いや、もう期待している向きのほうが少ないのだから「外れ」はないか。
 本質的に新産業を育成し、人々に仕事をつくっていくような切り口が見当たらない。

 法人税見直しなどはやらなくてはならない事案である。ただ、これを成長戦略にカウントするのは筋違いではないか。

 その一方でケイタイ電話税=スマホ税、パチンコ税と新増税のプランは次々に出てくる。自民党の知恵やアイディアはどうにも新増税に尽くされているようだ。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:37 | 小倉正男の経済コラム
2014年05月26日

【小倉正男の経済羅針盤】中国―経済高成長の「予定調和」とその終焉

■バブれる者久しからず・・・

小倉正男の経済羅針盤 「買うから騰がる、騰がるから買う」――。不動産・住宅、あるいは株式でもバブルとはそうしたものである。

 日本の1980年代後半のバブル期にも、そうしたことが語られたものである。

 そこにいる人たちが全員とも、「これは騰がる」と買ってしまえば、その全員が潜在的には売り手に変わる。

 次の買い手がいなくなれば、「売るから下がる、下がるから売る」になる。かくて市場から熱狂は去り、バブル崩壊ということになる。

 人間、わかってはいるが、聖人君子ばかりではないのだから、やってしまう。奢れる者久しからず、いやいやバルれる者久しからず――。

 しかし、バブらざる者また久しからず、である。世の中、人も企業も、あるいは国も大きく新陳代謝し、盛衰を繰り返していく。

■高成長の「予定調和」とその終焉

 中国の不動産・住宅市場が急激に低迷している、と報道されている。
 5月初旬のメーデー連休の中国54都市の新築住宅売買件数が前年同期比47%減に落ち込んだというのである。

 中国経済の先行きには、1年以上前から、悲観的な分析・観測が語られている。今回も、中国経済のウオッチャーたちからは、「いよいよ・・・」「ついに・・・」と分析・観測が加えられている。

 「鬼城」(=ゴーストタウン)、人が住んでいない高層マンションの林立――。近隣地域に大工場が建設される、そうであるならば大量の労働者が寄り集まってくる、そして人々はマンションを購入するはずだ――。

 経済高成長が無限に続くとすれば、マンションへの投資は高い利益を産む。しかし、高成長が止まれば、その「予定調和」は失われる。

■バブル処理・制御で、はじめて大人の資本主義になる

 中国は資本も設備も、そして技術・ノーハウも外資企業にすべて依存――。安い労働力だけを武器に経済高成長を遂げてきた。「徒手空拳」とは、まさにこのことにほかならない。

 上部構造は共産党独裁の官僚支配、下部構造は資本主義という極端なネジレを起こしながら世界ナンバー2の大国にのし上がった。

 上部構造と下部構造を貫くものは「拝金主義」――、経済の好循環時は官僚などへのワイロなども高成長のテコに作用してきた。ワイロのおカネが住宅投資に回るといった具合で、ともあれ資金が循環していたわけである。

 共産党独裁下で現代資本主義に付き物のバブルとその崩壊現象に突き進もうとしているかに見える。歴史も進んだというべきか、関西弁でいうケッタイな事が起こるものである。

 バブルとその崩壊処理、いわば現代資本主義に付きまとう危機管理(=ダメージ制御)をこなせてはじめて大人の資本主義になる。これは日本(=1990年代のバブル処理に失敗)であれ、中国であれ、言えることである。

(経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』(PHP研究所刊)など著書多数)
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 07:32 | 小倉正男の経済コラム
2014年04月28日

【小倉正男の経済羅針盤】日米首脳会談――外交に非礼は禁物

■TPPは「お疲れ様」交渉

小倉正男の経済羅針盤 日本の企業社会では、いつからか「お疲れ様」という言葉が乱用されるようになっている。仕事からの帰りはもちろん「お疲れ様」――。最近ではそれだけではない。社内の廊下などでのすれ違いの挨拶も「お疲れ様」。ほとんどあらゆる局面で、「お疲れ様」が使われている。

 ところで日米首脳会談、なかでもTPP(環太平洋経済連携協定)はなんともいえないものになった。徹夜の攻防、という交渉になったというのだが、その中身は判然としない。

 進展があったと見る向きもあるが、実質何もなかったという見方もある。手ぶらで帰したのか、お土産はあったのか。中身はともあれシゴトはした、ということか。まさに、「お疲れ様――」交渉である。

■「お・も・て・な・し」どころか「ぶ・ち・こ・わ・し」
 
 おまけに麻生太郎副総理など、「オバマが国内でまとめきれる力はないだろ。協議がまとまったとしても米国の議会で通る保証はない」と解説――。この談話は、オバマ大統領が、韓国に向けて飛び立つ直前、まだ日本に滞在中に出された。

 これでは、「お疲れ様」というか、なんといったらよいか。そう、「台なし」である。
 せっかく安倍晋三総理や皇室までお鮨や抹茶アイスで、「お・も・て・な・し」をしたというのにまるで「ぶ・ち・こ・わ・し」ではないか。

 これが翌日、韓国でのオバマ大統領の「慰安婦」についての発言につながったという憶測はもちろんのことまったく根拠がない・・・。

■ドゴールへの「侮り」

 だが、外交に非礼は禁物である。

 1966年、ドゴールはフランス軍をNATOの統合軍事指揮下から撤収させた。ドゴールはアメリカへの極度の依存を嫌い、ついには独自の核抑止力を持つ決断をした。NATO軍司令部は、パリを追われる事態になった。

 これには伏線があった――。ドゴールが、以前に訪米した時に、「禍根」を残したといわれている。

 ドゴールが、はじめてアメリカに着いた時にアイゼンハワー大統領が空港に出迎えなかった。代理で出迎えたのは若いニクソン副大統領だった――。これがドゴールの矜持を痛く傷つけたというのである。

 些細なことにも見えるが、少なくともドゴールには些細なことではなかった。
 ドゴールは、NATO、つまりはアメリカの核抑止力に頼っていることが、この「侮り」の根源だと判断した。軍事力を他国に頼っているから、こうした侮辱を受けることになる、と。

 取り越し苦労かもしれないが、あえて指摘しておくことにする――。
 外交で非礼をすると、とんでもないことになりかねない。TPP交渉の中身や結末がどうあれ、些細なことが「禍根」を生むようでは何のための首脳会談か、ということになるのではないか・・・。

(経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』(PHP研究所刊)など著書多数)
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 07:44 | 小倉正男の経済コラム
2014年04月14日

【小倉正男の経済羅針盤】「日銀が泣いている」という心境か・・・

■「銀が泣いている」、阪田三吉ではないが・・・

小倉正男の経済羅針盤 「(ワテの)銀が泣いている」、将棋界の鬼才・阪田三吉が大一番で残したといわれるセリフである。

 「進むに進めず、引くに引かれず――」、攻めに強い銀も打ち方を誤るとにっちもさっちも行かなくなる。

 このセリフが出た関根金次郎(後に名人)との大勝負では、最終的に阪田三吉が勝った。阪田三吉は泣きを入れたが、銀はしぶとく活かされた、ということだ。

 対局している相手の駒の陣形配置と、そして自分の駒の陣形や動き、つまり全体の攻防のなかで、銀が活きたり死んだり、そして泣いたりする。

 強い駒である銀も使いようである。使い時を間違うと、何にもならない。

 いまそんな心境にあるのは、あるいは日銀の黒田東彦総裁かもしれない・・・。

■第3の矢=構造改革が見えない

 日銀・黒田総裁は、昨2013年4月に「異次元」といわれる量的・質的な金融緩和を行った。為替は円安に大きく振れ、株価は一気に上昇した。その効果は絶大で、「日銀バズーカ」と評された。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:03 | 小倉正男の経済コラム
2014年04月07日

【小倉正男の経済羅針盤】振り返れば「財政の崖」――オバマの内向き行動

■見て見ぬ振りでクリミア編入を黙認?

小倉正男の経済羅針盤 ロシアのクリミア半島の事実上の支配・制圧に対して、アメリカもNATOもさほどでもない経済制裁を行うのみである。

 アメリカもNATOも、「ウクライナやクリミアに軍事支援・介入も辞さない」といった牽制すら行わなかった。
オバマ大統領は、「アメリカはウクライナで軍事行動に関与しない」と早々に表明――。

 冷静にというか客観的に言えば、これではロシアのクリミア編入=軍事支配を「黙認」したに等しいのでないか。

 ロシアは、ウクライナを威嚇するように国境沿いに大軍団を集め、長々と軍事演習を行っている。しかし、一方でプーチン大統領は当初から「ウクライナへの軍事介入は望まない」としてきた。

 いま世界は見て見ない振りをしているようなものだ。
クリミア問題の長期化――、暗黙のうちにロシアのクリミア編入で手打ち、事実として「休戦」状態に入ったということになる。

 アメリカ、EU、そしてロシアもそうだがカタストロフィは避けたい――。無理もないのだが、株式、為替といった世界の金融マーケットも大破局・大混乱を嫌った。そうした経過から直近のNYダウは史上最高値圏に上昇を果たしている。
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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 07:27 | 小倉正男の経済コラム
2014年03月23日

【小倉正男の経済羅針盤】ウクライナが嫌悪する「ロシアのくびき」

■「タタールのくびき」

小倉正男の経済羅針盤 1236年の東欧、モンゴル帝国(ジョチ・ウルス=チンギス・カーンの長男の後裔)が、キエフ大公国から分裂したルーシ(ロシアの旧名)諸国を襲った。

 勝敗はバトゥが率いるモンゴル帝国の大勝、ルーシ諸国の完敗――。征服は悲惨を極め、ルーシは人口の多くを失った。

 モンゴルは征服後、ルーシ諸国を臣従させた。モンゴルの支配は、その地域に直接配置する人員が極めて少なく、ルーシ諸国に委任する間接的な形態――。宗教の自由などは許して比較的寛容だったといわれる。いわゆる「タタールのくびき」である。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:50 | 小倉正男の経済コラム
2014年03月18日

【小倉正男の経済羅針盤】「第1の矢」だけでは限界、黒田・日銀総裁のジレンマ

■第二弾の金融緩和に踏み込む

小倉正男の経済羅針盤 日銀の黒田東彦総裁は、現行の量的・質的金融緩和について、「必要あれば調整を行う」と発言――。さらに、「その調整に限界があるということはない」と。

 これは日銀総裁に就任してちょうど1年を経過するに当っての抱負を語ったものだ。黒田総裁は「調整」、すなわち第二弾の金融緩和を行う腹だなと素直に受け取ってよい。

 4月には消費税が上がる。消費税増税をテコにした先食いの仮需が一巡する。つまり、4月を境に消費や設備投資が大きく低迷するのは確実である。

 そうなれば第二弾の量的・質的金融緩和に踏み込むタイミングということになる。その時期は5〜6月頃になるのではないかとみられる。

 黒田総裁は、昨年4月に異次元といわれる金融緩和を行った。2年後をメドにマネタリーベースを2倍に拡大、消費者物価を2%上昇させる、という野心的なものだった。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:42 | 小倉正男の経済コラム
2014年03月13日

【小倉正男の経済羅針盤】ウクライナ軍事介入はロシアの「ストーカー行為」

■プーチンの「梟雄」ぶり

小倉正男の経済羅針盤 ウラジーミル・プーチン――KGB出身のロシア大統領であり、やり口を見ていると「梟雄」そのものだ。
 
 大統領職は、2度目である。1999年エリツィン大統領のもとで首相、2000〜2008年に大統領(2期連続)の座にいた。その後、首相に降りたが、権力を実体として握り続けていささかも離すことはなかった。

 2012年に再び大統領に戻った。権力争いがシビア極まりないロシアで、この経歴を見るだけでエグいな、と思わせるものがある。
 このしたたかさには、いまの世界のどの政治家でも太刀打ちできないところがある。

 シリア内戦介入の秒読み寸前で、アメリカのオバマ大統領は、プーチン大統領の提案を受けて爆撃回避を行った。
 プーチン提案とは、シリアの化学兵器を国際管理するというものだった。オバマ大統領としては「借り」をつくってしまったわけである。

 ロシアのウクライナへの軍事介入でも、アメリカ,EUは動けないと足元を見られたのではないか。プーチンにとっても、軍事介入はいかにも苦し紛れの下策だが・・・。
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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR at 07:16 | 小倉正男の経済コラム