【概要・特色】 オンキヨー<6729>(JQ)は、音響機器メーカーの老舗。品質のよさには国内外ともに定評があり、AVレシーバーが英国のオーディオ誌などで最高レベルの評価を受けた実績がある。車載スピーカーやテレビのスピーカーなど他社製品に組み込まれている製品もあるが、CDプレーヤーやパソコンなどの消費関連品も作っている。
また、2008年9月にソーテック社(ヘラクレスに2008年7月まで上場)を子会社にしてからはパソコンにも参入している。それまでのソーテック社は10万円を切るパソコンを販売するなど、低価格路線で知名度は高かった。
反面、品質面でのクレームも多かった。オンキヨーらしく、オーディオ性能の高い製品を投入し価格面以外の訴求も行っている他、高性能の音楽編集ソフトを提供するなど、パソコン市場の開拓も積極的。
設立は終戦直後の1946年。大阪府寝屋川市に「大阪電機音響社」の社名でラジオなどを手がけた。現社名には1971年から。東芝との関係が深く、グループに入っていた時期もあり、解消された現在も製品の供給関係は続いている。2003年2月からジャスダックに上場。
【業績&株価推移】 売上は08年3月期が約590億円。09年3月期にはテクノエイトを傘下にしたことで850億円まで伸ばした。しかし、自動車などの加工を手掛けるテクノエイトは、昨年の自動車市場の低迷を受けて業績は苦戦。このためテクノエイトは4月に売却、10年3月期の売上550億円の見込みで08年水準に戻る。
また、09年3月期は消費の冷え込みの影響をまともに受け、08年3月期の営業利益17億3000万円は、09年3月期には19億3900万円の赤字となり、純益も赤字に転落している。
11月11日に発表した中間決算では、当初予想を上回り売上高230億2400万円、経常利益2億7300万円となっている。家庭で楽しむコンパクトシアターや再生機能に特化したCDコンポなどの新たな需要への取り組み効果があったことと、海外での売上が予想より好調だったため予想を上回った。
また、製品の差別化で粗利益率が向上したことや、原材料価格の低下や経費節減などで、当初赤字予想をしていた利益が黒字回復している。10年3月期の営業利益は5億円、純益は収支トントンの見通しで配当は無配。
株価は08年10月からは100円を割り込み、今年2月17日には上場安値の45円まで売られた。11月13日時点の株価は125円。9月1日に北米を中心に展開する、世界最大の家電量販店・ベストバイ社との取引開始の発表で株価は急騰。出来高も急伸し、9月8日に198円の年初来高値をつけた。その後は120円〜160円のボックス圏でモミ合っていたが、米国インテルグループへ転換社債型新株予約権付社債発行で買われ、18日には201円と高値を更新した。
【投資スタンス】 前期の赤字転落の影響で、今期は5円配から無配の見通し。中間決算で想定以上に健闘したとはいえ本格的な業績回復とは言い難い。
ただ、負担の大きい子会社の早期売却や販売戦略構築などの効果が出ており、通期業績を増額修正する可能性はある。特に、ベストバイ社との取引は、今期の業績には組み込んでいないものとみられる。さらに、米国インテルグループとの開発契約では、デジタル・オーディオシステム、モバイル・インターネット・デバイスなどが期待される。
人気面で弾みがついている。マーケット全体にも物色難から、一段高の可能性はある。ただし、あくまでも短期投資を割り切ることが大切。中長期投資には調整があるまで待ちたい。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:11
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