
最近ようやく口を開きだした消費者金融業界であるが、それでも相手が監督官庁では思った事も言えないようである。弁護士会や司法書士会による懲戒処分に始まり、国税局による脱税行為の摘発、警察による業務上横領での逮捕、あげくの果てには多重債務者の二次被害がNHKや民放で放映されるなど、一部の弁護士や司法書士のあくどさなど、過払い金返還請求ビジネスの現状が明らかになってきた。そこで、いわゆる「コード71」問題についても、改めて本質を見直す必要があるようだ。
■「コード71」については以下のような経緯があった 当時の金融庁、金融会社室室長の市川健太氏の「利息制限法に引き直しを求めただけなのに債務整理というのはちょっと違うのではないのかと、債務整理とはまた性質が違うのではないのかというご判断があるということも承知しておりますが、これもグレーゾーン金利というものがあったことに若干起因するわけでございますが、業者側がそれを登録する一つの彼らなりの言い分としては、利息制限法引き直しを求めた方というのは利息制限法でないと貸してはいけないんだろうと、そういう人というものを知るためには利息制限法引き直しの場合にも何らかのマーキングというのが必要なのではないのかということになるのかと思われます。」という理論で作成されたものだ。
確かに過払い金返還請求に対する歯止めの効果はあったようだが、業法改正による総量規制となれば借り手の置かれる立場はコード71がどうであれさほど変わりはない。
そのコード71が、強制的に信用情報機関のデータベースから消される運びとなったのだが、先日発売された情報誌によれば、「信用情報機関が認可制に移行するのに伴い廃止論が浮上し、どこで誰が決めたのかよくわからないが金融担当大臣の一声で決まった」とされている。
一方でコード71の付与行為は金融庁の権限外のことであり、実際に正式文章など記録に残るものは発せられていないと言う情報もある。
過去に東京地裁では「情報項目の定義については登録機関に裁量権が認められるべき性質のもの」とされ、当初は金融庁もコード71の存在を認めていたようであり、政府の規制改革会議草案でも「金融庁が信用情報としての有用性が無いことを実証しない限りは、指定信用機関が過払金返還請求の履歴を管理することを制限すべきではない、とされていた」と言う情報もある。
ここに至り改めてコード71が与信管理上必要な情報であることが解り、各社自社情報を保有し対応しているものの他社情報を有効に活用する事を止められた形になってしまった。
利用者を多重債務に陥らせないための情報を情報機関が集積してはならないという事を誰が決めたのか、「どこで誰が決めたのかよくわからない」のではなく誰が決めたかを言えない状態だというところだろう。
■ここまでごり押しするには何か訳があるのでは? 問題を提起した時点での金融庁担当者は、「多重債務者救済のためだと信じた」と抗弁できるかもしれないが、いまこの段階でこの決定を下した人間はその言い訳は出来ない。クレサラ系弁護団もはじめに振っていた旗と今振っている旗とでは「正義」と「悪」ほどの違いがあると感じているに違いない。
貸金業制度に関するプロジェクトチームと言う会議では、「多重債務広告と任意整理のあり方に関する決議」と題した配布資料で、異常なまでの過払い金返還請求ビジネスへ苦言を呈している。
「彼らは消費者金融が多重債務者を生み出し自殺問題にまで発展したと言うが、消費者金融側のデータでは貸付金が不良債権となったのは5%に過ぎない。利用者の95%が正常に利用しているのである。子供が考えても分かる事だが、無担保貸付で利用者が返済不能の状態となるのを願うはずは無い。」
「担保の田畑をとるために返済不能に落とし込むというヤミ金のイメージとダブらせる事によって、攻撃しやすい消費者金融を目標に定めたのであろう。こうした姑息な情報操作によってもたらされたものは、ヤミ金の笑顔である。」
「真の問題がどこにあるか改めて考えなくては、利用者が利用したいときに消費者金融はなく、冷たい銀行とホットなヤミ金だけが残っている惨状となる。それ以上に消費者金融問題が日本経済に及ぼす影響は計り知れない。」
■この様な状況の中で早々にコード71廃止を決定したい者は誰か 過払い金返還請求ビジネスに奔走する弁護士くらいに思えるのだが如何か?そして、弁護士数を増加させ認定司法書士制度をおき、弁護士報酬の上限を取り払い多額の費用がかかる広告まで自由化された業界が、「上限金利を決められ、過去の売り上げまで経費を無視して取り上げられ、貸し渋りを諌められ、貸したお金を返すように言うな、とまで言われている業界」を食い物にするために必要なアイテムを与えているのは何者か。
脱税、業務上横領、はては暴力団への資金提供までささやかれているいま、少なくとも警察官僚を経験した大臣ではないと信じるが、金融庁がアイテムを提供しているならばその責任は回避できない。
いずれにせよいかなる理由があってアイテムを与えたのか理解できない。少なくともそこに大義は見えない。
■瀕死の状態の消費者金融業界から国家賠償の話もあるようだ 監督官庁の指導にそって営業を行ってきた業者が最高裁判所により突然その営業行為を違法とされ、過去の利益どころか収益全てを取り上げられては存続できるはずが無い。監督官庁は救済どころか首を絞めるような方向性をだしている。なぜこのような事態に陥っているのか職を失った従業員のためにも国家賠償おおいに行えばいい。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:25
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