今こそ『曲がり屋に向かう』戦法で行こう 日経平均が2008年3月の安値を割り込み、下げがきつい。下値のメドの見極めも重要だが、同時に現在の日経平均の位置をどのように捉えておくべきか、これも大切である。
@日経平均の位置確認 ザラ場(終値ではなく取引中についた値段)ベースでの日経平均は2003年4月の安値7603円から、2007年2月の高値1万8300円まで上昇。上昇期間3年10ヶ月、上昇幅1万697円、同率2.4倍。
現在位置は1万1373円、高値からの下落率は37.8%。ボトムからピークまでの上げ幅1万697円に対し、「3分の2押し」水準は1万1169円。
A上げた理由、下げた理由【上げた理由】ひとことで言うなら小泉政権の不況対策。当時の日本はバブル崩壊で、今のアメリカのように金融不安の嵐。失業者が増加、「なんとかしてくれ」の声だった。財政赤字の「政府部門」と、生活不安の「個人家計部門」には期待できない。結局、規制緩和等で「企業部門」に頑張ってもらう政策。「1円でも会社が創れる」ことで、起業とIPO(株式上場)が活発化した。こうした、内需刺激に、オリンピックに備えた中国の投資が活発となって新興国ブームから日本からの輸出が大きく増加した。景気拡大の前半3年は「内需型」、後半3年は「輸出型」だったといえる。
【下げた理由】新興国の経済発展は資源価格の高騰を招いた。ガソリンの高騰に代表されるように、物価高が日本の家計を直撃。節約志向からGDPの主役「消費部門」が減少。そこへ、アメリカのサブプライム問題発生による米欧の景気後退、新興国のスピード調整も加わって、好調だった「輸出部門」が減少に転じた。しかも、日本には「少子高齢化」の構造的な需要減少要因がある。一方、老舗企業には、戦後からの「作れば売れる」、供給優先の体質が残ったままで、老舗企業の相次ぐ不祥事を招き、消費縮小に追い打ちをかけている。また、政治面においても、小泉政権の「勝ち組政策」に対して、動反動の原則で、勝ち組許さずの不満が出る。いわゆる「格差問題」に対し、適切な政策が取れていないことも社会不安を高めることとなっている。
B見通し 日経平均の1万1000円台は、2003年の不況から、なんとか脱出した2005年当時の水準。しばらくモミ合っていた。「本当にこのまま良くなるのだろうか」と、迷いの出た時期でもある。景気腰折れ論が出て、日経平均は2005年5,6月には24ヶ月線を割る心配も出ていた。現在は、ちょうど当時の水準まで下げてきた位置である。
【投資心理@】 日経平均1万円〜1万1000円は居心地の良い水準という心理
投資家心理として1万円はよりどころ。サイフに1000円札が10枚あるより1万円札があると、妙に安心する。2003年の7603円は日本にとって「異常」だったとの思いがあり、1万円以下は下げすぎ。1万円なら買いたいと思う個人投資家は増えるはず。
【投資心理A】 「3分の2押し」は底値という心理
昔から、上げ幅の3分の1押し、半値押し、3分の2押しが下値のメド。最も深い押しの「3分の2押し」では中長期買いのチャンスとされる。その3分の2押しは1万1169円。上げ幅に対し「黄金分割」で当てはめると1万1689円。1万1000円台ハフシ。
【投資心理B】 『曲がり屋に向え』の心理
勝負の世界は『当たり屋につけ、曲がり屋に向え』が基本。非情な世界。これまでの勝ち組は、言うまでもなく外国投資家。しかし、今は、本国で会社自体が消滅の危機に見舞われ、明らかに負け組み。負けた外国投資家が投げてきたところが絶好の買い場。日本の個人投資家には願ってもない場。数10年単位のタネ玉として仕込めるチャンス到来である。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:49
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