
ドライルーブ(固体皮膜潤滑剤)は、二硫化モリブデンやフッ素樹脂などの潤滑物質を配合した機能性皮膜である。自動車、デジタル家電、デジタルカメラなどの機器・部品の駆動伝達部で、オイルやグリースなどの液体潤滑剤を使用できない部位に、摩擦や摩耗により発生するエネルギー伝達ロスを削減するコーティング皮膜として使用される。
今期(13年6月期)連結業績見通しは、売上高が前期比10.1%増、営業利益が同28.6%増、経常利益が同50.0%増、純利益が同27.6%増としている。日系自動車メーカーの中国での減産の影響がマイナス要因となるが、自動車給排気系新規量産部品の立ち上げやデジタルカメラ向けの好調に加えて、タイ工場の受託生産量増加に伴う収益改善も寄与する模様だ。通期会社予想に対する第1四半期(7〜9月期)の進捗率は売上高が24.3%、営業利益が25.1%、経常利益が23.4%、純利益が18.7%であり、概ね順調な水準だった。ベトナムにドライルーブ・コーティング加工事業を行う連結子会社を設立することを発表しており、アセアン市場への本格展開が中期的な収益拡大に繋がるだろう。
株価の動きを見ると、1000円〜1100円近辺でのボックス展開から上放れて強基調の展開となり、1月7日には昨年来高値となる1397円まで上昇している。11日の終値1350円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS230円35銭で算出)は5〜6倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.2%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS3645円00銭で算出)は0.4倍近辺である。
1000円〜1100円近辺でのボックス展開から上放れた後は、日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の展開である。また12年3月と4月の戻り高値1250円を突破したことで上昇トレンも確認した形だろう。今期好業績見通しに加えて、指標面での低PERと低PBRも支援材料であり、11年3月の震災前高値1509円が視野に入りそうだ。(本紙・シニアアナリスト水田雅)