[ドクター箱崎の健康増進実践法]の記事一覧
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記事一覧 (07/15)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング実現の三本柱
記事一覧 (06/08)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】健康寿命の延伸のロコモ・サルコペニア・フレイル
記事一覧 (05/13)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】帯状疱疹のワクチンによる予防
記事一覧 (04/12)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】認知症における自動車運転危険度判定
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記事一覧 (10/14)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】終末期医療の意思決定
記事一覧 (09/14)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】突然の急変時への対応について
記事一覧 (08/08)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】肺炎球菌ワクチンの最新の投与スケジュール
記事一覧 (07/14)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】肺炎後の廃用症候群とは
記事一覧 (06/14)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】自分はあと何年生きられるのか?
記事一覧 (05/12)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】健康寿命推定プログラムの活用
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記事一覧 (02/14)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)達成への社会参加の重要性
記事一覧 (01/15)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)への具体的適応
記事一覧 (12/16)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)への適応条
記事一覧 (11/17)【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)について
2017年07月15日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング実現の三本柱

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 平成25年8月から「健康寿命を如何に延伸させ認知症にならない」を色々な角度から記述してきました。今月号で私の健康コラムは終了致します、長らくお付き合い頂き深謝致します。

 現在、慢性期病院で多くの高齢者患者さんを診察しています。100歳で少し認知機能低下がありながら大きな声で病棟内を動き回る患者さんから、70歳でも認知症で寝たきりの患者さんなど、年齢に関係なく健康寿命が大きく異なるのを多々経験します。この違いは何故なのか、90歳・100歳になってもどうすれば認知機能が保たれるのかなど日々自問自答しています。残念ながら明確な答えは見いだせませんが、90歳以上で元気な方(殆ど女性)は前向きで知識欲旺盛なのが印象的です。特別な運動や脳トレでの認知症予防は困難ですが、生活習慣病の積極的な治療や生活習慣の是正は、認知症の発生予防や進行を遅らせている可能性が示唆されています。ぜひ今からでも、糖尿病・高血圧・高脂血症などを定期的にチェックし是正し、喫煙や多量飲酒も今一度見直して下さい。

 サクセスフル・エイジング『大きな疾患や障害がなく、高い身体・認知機能を維持し、社会貢献を行える』の実現には、運動、蛋白質を多く含む十分な栄養摂取と社会参加の三本柱が重要です。有酸素運動(ラジオ体操、散歩、ジョギング、自転車、水泳)の強度は会話可能で、10〜30分(週に3〜5日)が目安です。社会的活動は、同窓会や町内会活動だけでなく読書、旅行、家事、釣りなどの実施、さらに創造力を要する音楽、美術、ダンス、手芸などが推奨されています。定年後殆ど家で過ごす私の同級生がいますが、出来るだけ誘い出すようにしています。皆様も自分自身だけでなく、周囲の人も巻き込んで楽しく社会へ飛び出して下さい。

 健康コラムの執筆で、私も良い勉強になりました。本当に暖かいご意見有り難うございました。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:31 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2017年06月08日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】健康寿命の延伸のロコモ・サルコペニア・フレイル

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 わが国は高齢者(65歳以上)が4人に1人以上の超高齢社会を迎え、医療環境の整備や栄養状態改善などでさらに加速していきます。高齢者を表現する言葉として、「ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)」「サルコペニア」「フレイル」がしばしば使用されます。

 フレイルは、加齢や慢性疾患の積み重ねにより、心身ともに脆弱によって自立生活が損なわれやすい状態です。この究極の状態が「老衰」です。(1)歩行速度低下:1m/秒、(2)筋力低下:握力男<26s、女性<17s、(3)疲れやすさの実感(自己申告)、(4)活動力低下[1週間で300kcalのエネルギー(1万歩)消費未満]、(5)体重減少:年間>5s、の3項目以上でフレイルと診断されます。75歳以上の健康診断では、がん検診や慢性疾患予防とともに、まずフレイル予防の検診が大切です。

 フレイルの一部で運動器が障害された状態がロコモです。運動器とは、骨・関節・靱帯、脊椎・脊髄、筋肉・腱、末梢神経など、体を支え(支持)動かす(運動・移動)役割をする器官の総称です。ロコモは日本整形外科学会が平成19年に新たに提唱した概念です。「人は運動器に支えられて生きている。運動器の健康には、医学的評価と対策が重要であることを日々意識してほしい」というメッセージが込められています。

 サルコペニアは、加齢・活動/栄養低下・疾患によって筋肉量・筋力・身体機能が低下し、寝たきり・嚥下障害・呼吸障害となります。慢性的な低栄養状態はサルコペニア進行の要因となり、サルコペニアが進行するとさらに筋力低下が進む、という悪循環に陥ります。この予防には定期的な運動と、運動後の30分以内に蛋白10g(例:牛乳250ml)摂取や分岐鎖アミノ酸(マグロ赤身、牛肉、卵に多く含まれる)の摂取が推奨されています。

 「主観的健康感が保たれ、要介護2以上の認定を受けていないこと」が健康寿命と定義されます。健康寿命を延伸のためにも日々サルコペニア・フレイル予防を意識しながら過ごして下さい。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:57 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2017年05月13日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】帯状疱疹のワクチンによる予防

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 今月は、最近高齢者の方々で問題となっている帯状疱疹についてお話します。小児期に水疱瘡(水痘)を発症しても殆ど自然に治癒しますが、その後も原因となる「水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)」は知覚神経節(神経の根元)に潜伏し続けています。高齢や抗がん剤治療などで抵抗力が低下すると、潜伏しているVZVが再活性化して帯状疱疹を引き起こします。

 高齢者での帯状疱疹では、肝臓や膵臓を巻き込んで全身に拡大し重篤化したり、眼神経が侵され失明することもあります。最も頻度が高く深刻となるのは、帯状疱疹後神経痛が数週間から数ヶ月間も持続することです。さらにこの神経痛から全身が衰弱し、死に至ることもあります。

 2014年小児期の水痘ワクチン定期接種化以降、小児における水痘流行は減少し患者数は激減しています。生涯で約15〜30%の人が帯状疱疹に罹りますが、近年帯状疱疹の患者数はさらに増加しています。先日、美智子皇太后も罹患したとの報道もありましたが、高齢化が最も高い要因とされています。しかし成人では知らず知らずのうちに水痘患児との接触で、VZVに対する免疫が活性化(ブースター効果)して帯状疱疹に罹らなくなっています。

 米国では、ワクチン定期接種による小児の水痘患者の減少で帯状疱疹の患者が90%も増加したことが報告されています。帯状疱疹患者数の増加は高齢化だけでなく、小児の水痘減少も大きく関与しています。

 我が国でも、2016年3月水痘ワクチンを用いた帯状疱疹予防が承認され、帯状庖疹は予防しうる疾患となりました。しかし、水痘ワクチンによる帯状庖疹予防効果は100%ではありません。何年ごとに追加ワクチンを接種するのが効果的かも不明です。しかしワクチン接種にて、重症化や帯状庖疹後神経痛を半減させる効果は明らかです。

 家族や友人に帯状庖疹後神経痛の経験者がいる方は積極的に接種を希望されています。60歳以上の方は、ぜひ今の元気なうちに水痘ワクチン接種をして下さい。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 14:48 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2017年04月12日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】認知症における自動車運転危険度判定

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 欧州連合(EU)では、臨床的認知症尺度(CDR)によって運転危険度を判定しています。中等度記憶障害のCDR2(点数2)と重度CDR3(点数3)は即運転中止、軽度のCDR1(点数1)は運転中止が勧告されます。CDR0は正常、CDR0.5は疑いとなります。認知障害による以前の状態からの衰退で採点していきます。CDR2とCDR3は、基本的には記憶力での点数であり比較的簡単に判定出来ます。点数0.5(疑い)と中止勧告1点との違いが認知症専門医にとっても難しく、CDRが判断基準になります。

1.記憶:軽度の物忘れ(0点)。常に軽度の物忘れ、出来事を部分的に思い出す(0.5点:良性の物忘れ)。最近の出来事を忘れて日常生活に支障(1点:中等度)。重度の記憶障害で十分に学習したことのみ保持し、新しいことは直ぐに忘れる(2点:高度)。断片的記憶のみ残存(3点:重度)。
2.見当識(自分の置かれている場所や日時の認識能力)障害:なし(0点)。時間的関連の軽度の困難(0.5点)。地誌的失見当(1点)。
3.判断力と問題解決:日常問題を解決し,仕事や金銭上の問題を十分処理できる(0点)。問題解決,類似点や相違点の軽度障害(0.5点)。中程度の困難(1点)。
4.地域社会活動:仕事、買い物、ボランティア、社会集団において通常レベルの自立した機能(0点)。前述活動の軽度障害(0.5)。自立して機能できない(1点)。
5.家庭と趣味:家庭生活、趣味、知的関心が十分保たれている(0点)。軽度障害(0.5点)。難しい家事は放棄し、複雑な趣味は放棄(1点)。
6.介護状況:セルフケアは完全にできる(0点、0,5点)、促しが必要(1点)。

⇒記憶 0点時:他2項目以上が0.5以上ならCDR0.5、1項目以下なら0とする。0.5点時:3項目以上が1以上ならCDR1、2項目以下ならO.5にする。1または2つの他項目が記憶と同点ならば記憶のCDRとなる。

⇒記憶以外の3項目以上が同点の場合:記憶と同じ点数なら記憶点数となる。記憶点数よりも1ランク大きい(小さく)時は、記憶以外の3つ以上の項目が点数となる。記憶以外の残り2項目が記憶点数よりも1ランク大きい(小さく)時は、記憶の点数となる。

 詳細はhttp://dementia.umin.jp/Form_lisence.pdfなどでご確認下さい。自動車運転にかかわらず、一度は認知度を自らチェックしてみて下さい。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:40 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2017年03月14日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】高齢運転者の対策が強化

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 最近、高齢者の「1日中記憶がなく運転していた?」「高速道路を逆行」など、驚愕する報道が多くあります。高齢運転者は交通事故発生率が若者に次いで高く、スイス・ポルトガルなどでは70歳を超える運転免許保有者は2年ごとの医学的評価を義務付けています。日本では有効期間の短縮はありませんが、70歳以上の人は運転免許更新時に高齢者講習を受ける必要があります。

 この2月12日には改正道路交通法が施行され、リスクの高い高齢運転者への対策が強化されます。75歳以上の方での信号無視、通行区分違反や一時不停止などの違反行為では、その都度「臨時認知機能検査」を受ける必要があります。認知機能低下が危惧されたなら、個別指導と実車指導の「臨時高齢者講習」を受講しなければなりません。認知症専門医が少ない現状では、この検査・診断に大幅な時間がかかり臨床現場が大変混雑することが危惧されています。

 欧米では、認知症患者の運転危険度を見るのに臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating; CDR)を推奨しています。CDR2およびCDR3は即運転中止、CDR1は運転中止を勧告しています。簡易法にてぜひ自己診断を試みてください。記憶力、見当識障害、判断力と問題解決力、地域社会活動、家庭と趣味、介護状況の6項目で判断します。基本的には記憶力で判断します。

 【記憶力】0点:記憶障害はないが、時に軽度の物忘れあり。0.5点:常に軽度の物忘れをし、出来事を部分的に思い出す「良性」の物忘れ。1点:中等度記憶障害、特に最近の出来事を忘れ日常生活に支障をきたす。2点:重度の記憶障害、十分に学習したことのみ保持し、新しいことは直ぐに忘れる。3点:重度記憶障害で、断片的な記憶のみ残存している。

 従来の認知症診断に類似していますが、来月号で詳細を説明します。認知症を周囲から少しでも疑われる方は、自ら申請して運転免許の取り消し(自主返納)を行うのが良いと考えます。しかし、私の故郷でも車がないと生活が出来ませんので、周囲のサポートが不可欠です。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:12 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2017年02月10日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】世界の平均寿命この35年で10年延長、健康寿命延長が課題

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 「高齢者定義の見直し(65歳から75歳へ)」を取り上げていますが、世界的に権威ある英国医学雑誌ランセットの最新版(Lancet 2016:388;1459−1544)でも、2015年時点の世界人口の平均寿命は71.8歳で、1980年の61.7歳から10年以上延びたことが報告されました。男女別の平均寿命は、1980年男性59.6歳/女性63.7歳から2015年には69.0歳と74.8歳に延長されています。

 男女とも世界第1位はアンドラ公国(81.2歳、88.4歳)、日本は男性が8位(79.9歳)、女性は2位(86.4歳)でした。2015年での死因の70%は、非感染性疾患(虚血性心疾患や脳卒中、糖尿病、慢性腎臓病、認知症、アルコールを含む薬物使用障害など)が原因でした。この延長の主な要因として、最近10年間で世界ではHIV/エイズ、マラリアや下痢性疾患などの感染性疾患による死亡率低下が考えられています。

 しかし、健康寿命(心身共に自立し、健康的に生活できる期間)は、2015年時点で世界では男性60.9歳/女性64.9歳で2005年時と比べ2.9年、3.5年延びただけでした。日本での健康寿命は男性71.54歳/女性76.28歳でした。平均寿命と健康寿命の差は大きく、男性は約8年、女性で10年間も健康上の問題を抱えながら生活しなければなりません。

 2015年の世界での死因トップ10は、虚血性心疾患、脳卒中、肺炎、早産、下痢性疾患、新生児脳症、エイズ、交通事故、マラリア、慢性閉塞性肺疾患の順でした。誰しも健康寿命と平均寿命を近づけたいと願っていますので、日本では自己管理可能な虚血性心疾患、脳卒中、肺炎、慢性閉塞性肺疾患を予防できればその差は短くなります。虚血性心疾患/脳卒中は血圧やコレステロール値の管理、肺炎は日頃からの手洗い・うがいと共に肺炎球菌ワクチンの積極的な接種、慢性閉塞性肺疾患では禁煙が最も基本的な予防法です。さらに1日5000〜8000歩の歩行を日々意識しながら行動すれば「平均寿命=健康寿命」が達成に近づきますので、今日からでも頑張ってください。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:25 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年12月11日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】現在の高齢者は5〜10歳は若返っている

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 最近よく「人生90年」を耳にしますが、日本も含め欧米先進国では「65歳以上が高齢者」と定義されています。多くの人達の実感は、高齢者の定義はもう少し年齢を重ねているのではないでしょうか。

 2014年内閣府の高齢者に関する国民意識調査では、「70歳から」を高齢者と自覚、あるいはその年齢に達していなくてもそう捉える人が増加していることが報告されています。古稀の由来の杜甫「人生七十古来稀なり」がありますが、現代日本では稀ではなく当たり前に年を重ねる年齢になっています。

 実際の医療現場でも、75歳以上の方々が「高齢者」に特徴的な心臓疾患、脳血管疾患、気管支肺炎、転倒・転落に伴う骨折などの合併が増加します。人の種々の生理的機能は30歳前後がピークですが、75歳では腎臓機能60%、肺機能40〜50%、心機能30%、神経機能20%低下するとも言われています。腎臓・肺・心機能は75歳からは平行線か緩やかな低下傾向を示しますので、機能維持のためにも75歳からでも日々の血圧や血糖などの維持管理が大切です。最近の栄養状態や環境衛生の改善によって、各機能低下も10%は改善していると考えられています。例えば食べられる能力に大きく関与する「歯数」は、昭和の65歳と現在の80歳前後に相当します。

 我が国では現在65〜74歳を「前期高齢者」、75〜89歳を「後期高齢者」、90歳以上を「超高齢者」と定義しています。今後は75歳以上を「前期高齢者」、85歳以上を「後期高齢者」と総称する時代が来るかもしれません。65歳から74歳はまだまだ「盛年」であり、新たなネーミングが必要とされています。

 古来中国では70歳にして事を致す(官職を辞す)ことを「致仕(ちし)」としていましたが、70歳でも社会参画を促し「生涯現役」を目指す現在の日本社会です。しかし高齢者の就業継続が、若年者の就業や高齢者自身の生き方の多様性などへの影響も考える必要もあります。いずれにしても、日々健康でいるためにも何らかの形で社会との繋がりは大切にして下さい。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:42 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年11月10日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】嚥下訓練:最期まで自分で食べる

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 現代医療は医療経済の観点が重視され、最短、安全で効率的な医療が望ましいとされ、治せない医療である慢性期医療はレベルが低いとする風潮があります。急性期と慢性期医療の両者を経験すると、慢性期のほうが総合的には困難な事が多く難しい医療と感じます。

 急性期医療では、胃潰瘍出血例では止血手技的な困難さはありますが、目標は「止血」と明確です。禁飲食で内視鏡下で止血を図りますが、止血時の達成感は非常に高いものです。しかし長期の禁食で高齢者では、全身の筋肉量が減少し「サルコペニア」になり自力では食べれなくなります。急性期では14日間の入院期間の縛りがあり、後は自宅で食べれるようにすることが求められます。急性期の多くの医師は、目標が達成すればその後の日常生活には余りにも無関心です。

 慢性期では、自ら食べれなくなった患者さんが色々な経路から入院してきます。経鼻胃管や胃瘻などの人工栄養を選択しますが、患者さんの多くは認知機能低下も伴っています。人生最期まで自分で食べることが出来れば、認知機能もある程度保たれ、ご本人だけでなくご家族も満足感が高いと思います。

 日本摂食嚥下リハビリテーション学会などから、多くの嚥下(えんげ)訓練法が紹介されています。「嚥下体操」は、(1)口すぼめ深呼吸,(2)首回旋運動,(3)肩上下運動,(4)両手を頭上で組んで体幹の左右側屈,(5)頬を膨らませたり引っ込めたりする,(6)舌の前後の出し入れ,(7)舌で左右の口角にさわる,(8)強く息を吸い込む,(9)パ,タ,カの発音訓練、などを実施する。「嚥下おでこ体操」も有用で、額に手を当てて抵抗を加えおへそをのぞきこむように強く下を向くようにします。のど仏の下の筋肉に力が入っているのが分ります。最近むせることがある方は、ぜひ今から嚥下訓練を試みては如何でしょうか。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:02 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年10月14日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】終末期医療の意思決定

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 9月号では、DNAR(do not attempt resuscitate;救命の可能性が低いので心肺蘇生を差し控える)の歴史的経緯や我が国での現状を説明させて頂きました。現在私が診ている90歳の認知症患者さんで殆ど意思疎通が出来ない方は、ご家族の希望で中心静脈栄養(太い静脈に針を留置)を継続しています。もしご本人の認知機能が正常であれば、中心静脈栄養、胃瘻や経鼻経管チューブからの人工的な栄養摂取での延命治療は望まないだろうと、想像しながら医療を行っています。一方、80歳脳梗塞で寝たきりの方で、ご家族は口から食べられなくなったら一切の医療処置を拒否され、医師としてもう少し何らかの治療をしてあげられないのか無力感に陥ります。

 患者本人さんが治療を自己決定できない場合に、多くの場合決定するのはご家族です。家族間でも微妙に考えに違いがあり、医療現場が混乱することもあります。患者さんに代わって、生死に関わる治療を選択するご家族の精神的ストレスは非常に大きいと常々思っています。どの医療処置が正解や誤りではなく、その時点でご家族と一緒に悩むのが終末期医療の意思決定と考えます。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:31 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年09月14日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】突然の急変時への対応について

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 先日大変お世話になった方とのお別れ会に出席し、改めて急変時や終末期の医療処置をどこまで実施するのか、ご本人さん含め周囲の方々の急変時対応の困難さを痛感しました。私自身が現在常に直面している「終末期現場での混乱」を説明させて頂きます。

 1960年代に終末期患者に対する心肺蘇生の有用性が明らかになりましたが、回復の見込みのない患者へのむやみな心肺蘇生実施が問題となりました。この反省から患者にとって無益な処置は実施しない "do not resuscitate"(DNR;心肺蘇生を実施しない)の概念が浸透してきました。最近では『米国心臓病協会 ガイドライン 2000』を契機に、「救命の可能性が低いので心肺蘇生を差し控える」というDNAR(do not attempt resuscitate)という概念が一般的になっています。

 現在多くの病院では、高齢者や重篤な基礎疾患を有する患者の入院時には、患者や家族の意思に基づいて、この患者さんは『DNAR』であり「急な心臓や呼吸停止時には処置はしない」で急変時に対応しています。しかし『DNAR』の解釈が統一されていないために、『DNAR』は通常治療までも差し控える医師がいます。先日も認知症と慢性心不全の80歳代後半の患者が、誤嚥性肺炎を発症しました。週末に対応した当直医はカルテに『DNAR』の記載をみて、抗菌薬投与を含めた全ての治療は望んでいないと解釈し抗菌薬の投与も実施しませんでした。週末明けに主治医が、慌てて抗菌薬の投与を指示し肺炎を無事乗り越えました。

 近年、回復が望めない患者やその家族が人工呼吸器装着や胃瘻増設などを希望しないのが一般的になっています。そのために『DNAR』も心肺蘇生だけでなく、拡大解釈され通常治療も実施しないという意味が含まれがちです。どこまでが通常治療なのかの線引きも難しく、医療現場で混乱がみられるのも実情です。終末期の患者の関係者の方は、事前にかかりつけ医と急変時に具体的な医療行為を確認しておくことをお勧めいたします。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:25 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年08月08日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】肺炎球菌ワクチンの最新の投与スケジュール

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 「肺炎後の廃用症候群」は本当に恐ろしい病気です。現在我が国では、肺炎の原因細菌で最も多い肺炎球菌には2種類の肺炎球菌ワクチン接種が可能です。今月は最新の推奨されている投与スケジュールを解説させて頂きます。

 この冬に「肺炎後廃用症候群」になられたご家族から、かかりつけ医からは従来型の23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23、ニューモバックス)の説明はあったが、新しい13価肺炎球菌統合型ワクチン(PCV13、プレベナー)を教えてくれなかったと苦情を受けたことがあります。2種類のワクチンは免疫に働きかける作用が異なり、プレベナー接種でより長期的に優れた予防効果が期待できます。

(1)ワクチン未接種で65歳,70歳と5歳間隔の方は、地方自治体の助成があり助成対象かどうか確認して下さい。まず助成を利用されてのニューモバックス接種をお勧め致します。1年以上経過してからプレベナー接種を受けて下さい。そして最初のニューモバックス接種から5年以上経過していますと、再度ニューモバックスを接種して下さい。

(2)5歳間隔の谷間の未接種の方は、上記の投与方法か、最初にプレベナー接種後の6ヶ月〜4年以内にニューモバックス接種を受けるスケジュールもあります。

(3)既にニューモバックスを接種された方は、5年以上経過していますと再度ニューモバックス接種の選択肢があります。まだ明確な科学的根拠は明示されていませんが、ニューモバックスから1年以上経過された方はプレベナー接種がより有効と報告されています。

 高齢者の方の肺炎は、いったん負のスパイラルに陥ると元の状態に回復するのは非常に困難です。肺炎を発症してしまってからでは遅いので、元気なうちに肺炎球菌ワクチン接種を受けて下さい。予防が最大の防御です。特に糖尿病や喘息などの基礎疾患のある方は肺炎発症のリスクが高いので、早めに接種を考慮なさって下さい。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:58 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年07月14日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】肺炎後の廃用症候群とは

■高齢者は肺炎入院で寝たきりなど負のスパイラルリスク、肺炎球菌ワクチンの積極的接種を

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 現在私は高齢者の方を中心に診療していますが、今冬から春にかけて多数の肺炎患者さんを診療しました。「肺炎後の廃用症候群」の恐ろしさを、改めて実感しました。高齢者の方は免疫力が低下し肺炎リスクが高く、抗生物質でいったん治癒しても飲み込むことが困難となる嚥下機能の低下、さらに心肺機能や認知機能などの低下が起こります。肺炎による入院では、寝たきりへの負のスパイラルに陥りやすく認知症の発症リスクが約2〜3倍となります。これが『肺炎後の廃用症候群』と称される病態です。病気は治ったが要介護状態になり、ご家族が「病院はなんで廃人になるまで手をこまねいていた?」と主治医に不信感を抱くことになります。

 すべての65歳以上の方、特に慢性呼吸器疾患(喘息や慢性閉塞性肺疾患など)や糖尿病、心疾患などの基礎疾患をお持ちの方は健康寿命を延ばすためにも、基礎疾患の治療だけでなく肺炎予防を重視して下さい。1年中、外出から帰宅したら手洗いやうがいはしっかり実践して下さい。今から冬の肺炎流行期に備えて、予防ワクチン接種を考慮して下さい。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:11 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年06月14日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】自分はあと何年生きられるのか?

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 4、5月号で米国の健康寿命推測ツールを紹介しました。6月4日には世界的に権威ある英国医学雑誌ランセット(Lancet 2015年6月4日電子版)に、新たな健康寿命推定ツールが発表されました。この研究は37〜73歳の英国人約50万人の喫煙習慣,歩行速度などの655個の健康や生活習慣に関するデータを解析し、死亡予測を男女別に評価したものです。別の集団3万5,810人で正確性を確認した点で、他のツールより信頼性が高いと評価されています。

女性11項目,男性13項目の質問
(1)年齢
(2)性別
(3)自家用車を何台保有しているか
(4)同居家族の人数は
(5)家族構成は
(6)現在喫煙中か,
(7)過去に喫煙習慣はあったのか
(8)全般的な健康状態は良好か
(9)糖尿病はあるのか
(10)癌を診断されたことは
(11)心筋梗塞や脳卒中などがあったのか
(12)精神的や経済的問題はあるのか,
(13)介護手当,障害者年金の受給や観光ガイド資格を保有しているのか。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:33 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年05月12日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】健康寿命推定プログラムの活用

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 4月号で米国リー博士の健康寿命期間を推測する研究を紹介しました。この健康寿命推定研究は、年齢、病気の有無や日常生活活動度の12項目をスコア化して4年後の生存率を推定します。12項目のスコアは、(1)年齢(60〜64歳;1点,65〜69歳;2点,5歳毎に1点加算、85歳以上は7点)、(2)性別(男性2点)、(3)糖尿病(1点)、(4)癌(2点)、(5)慢性肺疾患(2点)、(6)心不全(2点)、(7)数週間前までの喫煙(2点)、(8)BMI(体重kg/身長m2)25以下(1点)、(9)1人で入浴出来ない(2点)、(10)500m〜1km歩行不能(2点)、(11)金銭管理が困難(2点)、(12)椅子や小机などを動かせない(1点)と規定されています。

 合計点数で4年後の死亡率は、1点では2%、3点では4%、5点では8%、7点では15%、9点では20%、10点では28%、12点では44%、13点では59%、14点以上では64%と推計されます。

 今後この推計プログラムをもとに、各種検診を受診すべきなのか、脂質異常症(高コレステロール改善薬)の治療継続が必要なのかなどが参考になります。例えば、喫煙/心不全有り、入浴/歩行/金銭管理が困難な75歳男性のスコアは、16点になり4年後の生存率36%と推測されます。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:33 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年04月13日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング達成への残された生存期間は?

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 多くの方から「あとどれくらい健康寿命があるのか?」との問いがありますが、非常に難しくデリケートな問題です。健康寿命が推定できれば、サクセスフル・エイジング達成に重要な社会的貢献にも参加しやすいと話されます。

 健康寿命期間を推測する多くの研究がありますが、最も信頼されているのが米国医師会雑誌(JAMA 2006 15;295:801−8)のリー博士の指標です。この米国の研究では、自宅で自立生活している11,701人(平均年齢:67±10歳)、57%女性が対象でした。4年間の追跡調査で、経過観察中に1,361人(12%)が死亡しました。手術歴や入院回数など健康寿命に関連する予測因子として41項目を選択し、統計解析で最終的に12項目が選択されました。

 スコアは、年齢(60〜64歳;1点,65〜69歳;2点,5歳毎に1点加算、85歳以上は7点)、性別(男性2点)、糖尿病(1点)、癌(2点)、慢性肺疾患(2点)、心不全(2点)、数週間前までの喫煙(2点)、BMI(体重kg/身長m2)25以下(1点)、1人で入浴出来ない(2点)、500m〜1km歩行不能(2点)、金銭管理が困難(2点)、椅子などを動かせない(1点)と規定されました。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:36 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年03月15日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】『社会貢献』はサクセスフルエイジング達成の重要な因子

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 「サクセスフル・エイジング」は、身体・精神的問題だけでなく、経済・社会的に健全であり、家族・友人・近隣との良好な相互関係によって構築されると、以前より欧米の考え方をご紹介しました。我が国でもサクセスフル・エイジングの条件として、同様の報告があります。紫田博先生(桜美林シナジー・4:1−14・2005)は、(1)長寿:病気や障害の回避としての「健康」、(2)高い生活の質:生活満足度、(3)高いProductivity(社会貢献)を必要3条件としています。

 嵯峨座先生(保健の科学・3:157−162・2013)は、高齢期への発達課題にうまく適応した人は、4条件(健康・長寿・社会的活動・満足度)が満たされる度合いが高くなると報告しています。健康・生活への満足度は従来からよく言われていますので、多くの方がいろいろな方法で取り組んでいるかと思います。

 高い社会貢献の達成では、隣近所との関係が希薄な現代社会では自らが積極的に社会貢献活動としての仕事やボランティア活動に取り組んでいく必要があります。私の周囲でもマンションの管理組合や町内会活動に関与している人は、生き生きと活動状況を話されていています。多くの患者さんに、サクセスフル・エイジング達成の重要な因子ですので、多少面倒でも社会活動に出来るだけ参加され長く続けて下さいと伝えています。
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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:21 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年02月14日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)達成への社会参加の重要性

■社会的接触が認知症リスクを低下させ幸福感も得られる

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 「サクセスフル・エイジング」は、身体・精神的問題だけでなく、経済・社会的に健全であり、家族・友人・近隣との良好な相互関係によっても構築されます。1月号でも達成するための適応条件を記述しましたが、1987年に米国ロウエ博士は、@ 病気や障害のリスクが低いこと、A 高い精神的・肉体的機能、B 人生への活動的なかかわり、C 主観的な幸福感が、4項目を提唱しています。4項目でも特に、社会参加や余暇活動の積極的な参加は、認知予備能を増やすことでサクセスフル・エイジングに必要不可欠と述べています。

 スウェーデンでの研究でも、社会的接触が認知症リスクを低減させ幸福感を達成できると報告されています。ストックホルム在住75歳以上の1,203名を3年間観察し開始時には全員健康で認知症はありませんでしたが、終了時には176名(15%)が認知症と診断されました。認知症リスクは、独身・独居で1.9倍、子供なしで1.4倍、友人・親戚なしで1.6倍に増加したとの結果でした。「独身・独居・子供なし・友人なし」の社会的接触が乏しい人たちは、「結婚・同居人あり・子どもが毎週会いに来る・友人多数」の人々に比べて認知症リスクが8倍との結果でした。千人あたりの認知症の年間発症数は、社会的接触や交流が乏しい人では156.9人、やや乏しい人では69.4人、中程度では49.5人、充分な人では19.0人でした。この結果からも、生涯にわたり社会への参加・貢献が必要です。

 我が国でも東京大学の秋山弘子教授のグループが、1987年から高齢者約 2,000人を追跡調査の結果を報告しています。5年後の健康度と強く関連する要因は、「喫煙, 食事, 運動, いきがい」でと報告しています。性別の特徴として、男性では団体・グループヘの参加、女性では精神的な自立が健康度と強い関連が認められました。この報告からも男性は精神的自立が下手で、女性に比べ積極的な社会的参画が必要と思われます。男性で退職後に1日中自宅で過ごす方は、最もサクセスフル・エイジング達成が困難な方です。退職後もぜひ社会的参加で貢献を意識してお過ごし下さい。(元気会横浜病院々長、元・自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:35 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2016年01月15日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)への具体的適応

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 先月号で、1987年米国カーン博士の「サクセスフル・エイジング達成には、大きな疾患や障害がなく、高い身体・認知機能を維持し、社会貢献を行える」との提唱を紹介しました。この達成には65歳以下の方でも6項目に適応することが大切とされています。少し具体的に個人的見解を述べさせて下さい。

(1)肉体的な力と健康の衰退に適応する:健常な65歳の方で、列車の出発に合わせて駅の階段を2段飛びで急いで登っていましたら転倒して、膝の皿を骨折した事例がありました。若い人でも起こるかもしれませんが、今までも身体能力を過信しないことです。特に75歳以上の後期高齢者では、転倒・転落は命取りです。

(2)隠退と収入の減少に適応する:結構難しいですが、長寿社会では90歳までの生活を念頭に置く必要があります。

(3)配偶者の死に適応する:特に男やもめの方は奥様の家事分担がのしかかり、高齢者うつ病・アルコール依存所などに陥りやすいです。週に2回程度、家事を助けてくれる人を探して下さい。

(4)自分の年ごろの人々と、明るく親密な関係を結ぶ:同窓会などに積極的に参加してみては如何でしょうか。私自身も還暦を過ぎて、同級生で海外の第一線で活躍しているのを実際に見たり聞いたりすると、多くの刺激を受けます。

(5)社会的・市民的義務を引き受ける:町内会役員は少し大変かもしれませんが、出来るだけ前向きに引き受けてみて下さい。地域児童の登校の見守りや高齢者施設の掃除でも良いとされています。

(6)健全な生活を満足に送れる:お酒やギャンブルに依存しないことが重要で、特にお酒には注意して下さい。1日日本酒3合以下、週に1回は必ず休肝日を厳守して下さい。

 新年早々、あまり楽しい話ではありませんが、ぜひ皆様の日常生活をもう一度見直して、上記6項目に出来るだけ適応するように努めてみて下さい。(元気会横浜病院々長、元・自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:01 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2015年12月16日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)への適応条

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■体力の衰退、収入の減少など6項目に適応を

 サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)の基本的な考え方は、紀元前からあることを11月号でお話しました。近年先進国では急速に高齢化がすすみ、サクセスフル・エイジングはアンチエイジング(老化の進行を人為的に制御)から発展した考え方です。基本にあるのは、1)高齢期でも発達可能である、2)高齢者の人生はすべてが衰退ではなく知能低下や病気などは努力によって回避可能である、などの高齢者の生き方への考えの変化です。高齢者がこの考え方を生活の中に取り込み、前向きな生き方を目指すのがサクセスフル・エイジングです。

 1987年カーン博士が「サクセスフル・エイジング達成には、大きな疾患や障害がなく、高い身体・認知機能を維持し、社会貢献を行える」と提唱しました。この達成には、身体・精神的問題だけでなく、経済・社会的に健全であり、家族・友人・近隣との良好な相互関係によっても構築されると報告しています。具体的には、@肉体的な力と健康の衰退に適応する、A隠退と収入の減少に適応する、B配偶者の死に適応する、C自分の年ごろの人々と、明るく親密な関係を結ぶ、D社会的・市民的義務を引き受ける、E健全な生活を満足に送れる、の6項目に適応することが重要視されています。さらに、ハヴィガースト博士は3条件として、@パーソナリティが強靱である(人柄)、A社会環境が支援的である(環境)、B身体が強健である(身体)を推奨しています。

 人柄・環境・身体と少し難しい課題かもしれませんが、皆様方も健康な今から準備が必要かもしれません。まずは、肉体的な強靱さを常に意識し「毎日40分は歩く!」を心掛けて下さい。男性はB配偶者との離別後には家事負担が倍増し非常に脆弱になりがちですので、積極的に上記6項目に適応するようになさって下さい(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元・自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 10:28 | ドクター箱崎の健康増進実践法
2015年11月17日

【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)について

■加工肉摂取制限はサルコペニア(筋肉量低下による身体機能低下)のリスク増す

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 10月号では、大腸癌の危険因子に赤身肉・加工肉(ソーセージやハムなど)があると報告しました。その後、世界保健機関(WHO)から、肺がんの喫煙と同様のリスクが「加工肉摂取と大腸がんリスク」でもあると報告されました。しかし、日本人の摂取量では赤身肉・加工肉を全く摂取しない大腸がんリスク軽減より、タンパク質を摂取しないためのサルコペニア(筋肉量の低下による身体機能低下)などのリスクが上回ると考えられます。

 サクセスフル・エイジング(以下S.E.)達成には、何事もバランスが大切かと思います。「S.E.とは」の質問がありましたので、再度説明をさせて下さい。

 S.E.の良い日本語訳はありません。「幸せな老い」「上手な年の取り方」などがありますが、私は患者さんに「華麗なる老い」と話しています。近年、アンチエイジング(老化の進行を人為的に制御)より、『健康寿命を延ばして高い生活の質、高い生産性(社会貢献)を満たす』S.E.の達成が重要視されています。

 1960年代米国では高齢者の増加により高齢者の生き方への考えが変化し、この概念がでてきました。ローマ時代の著作家キケロ(BC106〜43)が、S.E.を論じた先駆者とされています。キケロは著書『老年について』は、「老年を謳いあげた最初の書物」として知られています。この著書なかで、84歳のローマ大政治家カトーが2人の青年に語りかける形式で、高齢者を擁護する主張を展開しています。仕事、健康、情熱、死の4つを取り上げ、老境が決して惨めなものではないと反論し、高齢者の前向きな生き方を推奨しています。紀元前から老いに関する議論がなされていることに驚きます。今後どんなに医学が進歩しても人生90年は大きく延長することはなく、未来永劫S.E.達成が人生の宿題かと思います。次号からS.E.達成についてもう一度整理したいと思います。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元・自衛隊中央病院消化器内科部長)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:45 | ドクター箱崎の健康増進実践法