2014年02月04日

【鈴木雅光の投信Now】投資家が直販ファンドを買うワケ

鈴木雅光の投信Now 「直販ファンド」をご存じだろうか。直販というのは直接販売の略称で、証券会社や銀行などの金融機関を通さず、投資信託会社が自社運用ファンドを直接、投資家に販売するものだ。

 現在、直販ファンドで最も運用額が大きいのはさわかみ投信で、それに次いでセゾン投信、レオス・キャピタル・ワークスとなっている。

 私自身は、直販ファンドが成功するか否かに、日本の投資信託の未来が掛っていると思っている。なぜなら、証券会社や銀行などの販売金融機関に依存した販売体制を持つ、大半の投資信託会社では、本当の意味で長期投資が出来る投資信託を設定・運用するのが難しいからである。

 現在、日本の投資信託が設定されてから償還されるまでの平均年数は7年弱。さらに、投資家が保有している平均年数は2.4年と言われている。これが意味するものは何かというと、販売金融機関が手数料を稼ぐため、ひたすら回転売買を勧めているということだ。

 これでは、本当の意味で長期投資が出来るファンドが育つはずもない。でも直販ファンドが定着すれば、日本でも長期投資のファンドが本格的に定着する可能性が出てくる。

 先般、直販ファンドでは2番目の規模を持つセゾン投信が、ファンドの保有者2402名からのアンケート調査の回答を得た。その内容を見ると、いくつか興味深い点が見られる。

 たとえば「セゾン投信を選択した理由」として、長期・分散・ローコストというコンセプトに対して共鳴したことを理由に挙げた保有者が多数を占めた。あるいは、「投資信託を購入する際に留意する点」として、運用成績が上位に来るのは当然だが、販売手数料や信託報酬等の手数料がそれを上回り、さらに他の要因として、ファンドの規模や経営者の姿勢を問うという回答も上位に来た。

 単純に金融機関の勧めに応じてファンドを選ぶのではなく、保有者が自主的に選んでいる、何よりの証拠だ。そして直販ファンドが広まれば広まるほど、投資信託業界は正常化に向かうだろう。その希望が感じられるアンケート結果だった。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:55 | 鈴木雅光の投信Now
2014年01月20日

【鈴木雅光の投信Now】MRFの純資産残高に注目!

鈴木雅光の投信Now MRFという投資信託をご存じだろうか。コールやCD、あるいは短期国債といった短期金融商品だけを組み入れて運用する公社債型投資信託で、預貯金に近い元本安全性を持っている。

 この純資産残高が、昨年12月末にかけて大幅に増加した。前月比1兆4132億6800万円増で総額は11兆1789億6200万円となった。

 12月だから年末要因とも考えられる。MRFは預貯金金利よりも有利で、かつ元本割れリスクも非常に低いので、なかには預貯金代わりとして、MRFにお金を置いておく人もいる。特に12月はボーナス時期ということもあるので、その資金をMRFに入れておこうという動きも、当然のことではあるが起こる。実際、MRFの設定額を月次で追っていくと、例年、12月は他の月に比べて多くなる傾向が見られる。

 ただ、多いといっても、12月の設定額は2〜3兆円程度のものだ。それが昨年12月に限っていえば、設定額は6兆2867億8800万円にも達した。12月でこれに準じる設定額があったのは、2005年12月の7兆6813億6800万円と、2006年12月の5兆1602億7400万円くらいだ。

 今回、ここまで設定額が多く、結果的に純資産残高が11兆円に乗せたのは、年末要因だけでなく、昨年限定の特殊要因があったからだ。

 今年1月から証券優遇税制が無くなり、値上がり益などへの税率が、それまでの10%という軽減税率から、本則の20%に戻った。そのため、すでに利益が出ている株式や投資信託を保有している個人の中には、税率が10%のうちに売却して利益を確定させようという動きも広まっていた。結果、株式や投資信託の売却資金が、MRFに流れ込み、純資産残高の大幅増加につながったと見るのが妥当だろう。

 今後の注目点は、このままMRFの純資産残高が高水準を維持するのか、それとも減少するのか、ということだ。大幅に減少すれば、それはMRFから再びリスク資産に資金が還流している可能性が高いことを意味する。逆に高水準を維持していたら、リスク資産への資金シフトはまだ先という判断が成り立つ。

 この数字は投資信託協会のデータコーナーで簡単に取ることができるので、定期的にチェックしておくと良いだろう。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:36 | 鈴木雅光の投信Now
2014年01月06日

【鈴木雅光の投信Now】堅調に推移するJ−REIT市場、3つのポイント

鈴木雅光の投信Now 2013年の大納会、J−REIT市場は堅調に推移し、東証REIT指数は1515ポイントで取引を終えた。年初からの上昇率は32%にもなった。

 2014年のJ−REIT市場はどうなるのか。いくつかポイントを挙げておきたい。

 第一のポイントは長期金利の動向。J−REITは金利上昇に弱い。2013年12月30日の長期金利は0.74%。今後、アベノミクスが目論見通り、年2%の物価上昇率を実現すれば、長期金利の水準も相応に上昇する。ちなみにJ−REIT全銘柄の12月30日時点の平均分配利回りは3.63%で、長期金利との間には2.89%の利回り差がある。この程度の利回り差が確保されていれば、J−REITを物色する動きは変わらない。が、仮に長期金利が上昇し、利回り差が2%、1%と縮小すれば、J−REITから長期国債に資金をシフトさせる動きも出てくるだろう。

 第二のポイントは賃料の動向だ。仮に長期金利が上昇したとしても、J−REITが保有している物件の賃料が上昇すれば、分配利回りを上昇させる余地が広がる。昨今、オフィスビルの空室率が低下している。景気回復によって、賃貸オフィス物件に対する需給がタイトになっている証拠だ。さらに需給がタイトになれば、賃料引き上げの動きが出てくる。J−REITにはオフィスビルや商業施設、物流施設、ホテル、住居などが組み入れられているが、そのなかでもオフィスビル特化型や、多少なりともオフィスビルを組み入れたJ−REITについては、今後、オフィス賃料がどうなるのか、注目しておく必要がある。

 第三のポイントは金融緩和の動きだ。第一のポイントで長期金利上昇について触れたが、瞬間的な金利上昇はあっても、それが定着するには相応の時間が必要だ。

 まずは2015年に向けて、安定的に年2%の物価上昇率を維持できるかどうかが問われるが、その前に、消費税率引き上げの問題がある。仮に消費税率引き上げで景気の先行きが厳しくなれば、更なる金融緩和も考えられる。金融緩和期待は、J−REIT市場にとってポジティブ要因になる。

 願わくば、長期金利の水準は現状のままで、賃料が上昇するというシナリオが、J−REIT市場にとっては理想的だ。2014年、J−REITに投資する場合は、長期金利と賃料の動向に注意を払っておこう。(鈴木雅光=証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 11:45 | 鈴木雅光の投信Now
2013年12月16日

【鈴木雅光の投信Now】魅力高い太陽光REITに注目

鈴木雅光の投信Now 日本取引所グループは2015年に、インフラファンド市場を創設する動きを見せている。インフラファンドとは、たとえば太陽光発電などの再生可能エネルギー施設や、公共施設の使用権を組み入れて運用するファンドのことだ。

 従来、太陽光発電施設などは、不動産に該当するものかどうかという点が微妙だったため、J−REITの投資対象には含まれていなかった。それが、2014年春に予定されている投資信託法の改正によって、J−REITを通じて再生可能エネルギー施設への投資が可能になる。太陽光発電施設に投資するファンドが、J−REITに区分されるのか、それとも新しく登場するインフラファンドに区分されるのかは、現時点では分からないが、投資家にとっては魅力的な投資対象になる可能性がある。

 それは、再生可能エネルギーに関して適用されているFIT(フィードインタリフ:固定価格買取制度)によるものだ。たとえば太陽光発電の場合、2013年度価格では今後20年間にわたり、1キロワットアワーにつき37.8円での買取価格が適用されている。これは、20年間という長期にわたって国が買取価格を保証しているので、見方によっては、国が利払い保証をしている20年国債と同等のクレジット価値を持つことを意味する。

 太陽光発電を行うには、発電施設を造る必要がある。そのコストに対して、20年間にわたって適用されるFITから得られる収益のリターンは、年利回りベースで8〜9%程度。対して20年国債の年利回りは1.6%程度だ。FITで得られるリターンが、太陽光発電施設に投資する太陽光REITの配当利回りと同じで、かつ20年国債と太陽光発電のFITが同じクレジット価値を持つと仮定すれば、太陽光REITの配当利回りは、20年国債の利回りに近接するはずだ。

 もし、太陽光REITの配当利回りが、20年国債の利回りである1.6%に近接したら、太陽光REITの価格は大きく上昇する。これから到来するであろうインフレ時代を乗り切るための投資対象として注目したい。(鈴木雅光=証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:42 | 鈴木雅光の投信Now
2013年12月04日

【鈴木雅光の投信Now】基準価額の高いファンドは割高か?

鈴木雅光の投信Now 昨年11月から、日経平均株価は80%近く値上がりした。当然、日本株を組み入れて運用している投資信託の運用実績も好調で、なかには基準価額が2万円を超えているものも散見される。

 多くの投資信託は、運用開始時の基準価額が1万円なので、それが2万円に値上がりすると、どうしても割高という印象が強まる。結果、基準価額が着実に上昇しているにも関わらず、徐々に資金流入が細り、運用そのものに支障を来すことになる。「基準価額が高いファンドは割高」という誤解が、ファンドの寿命を縮めてしまうのだ。

 このような誤解が生じるのは、恐らく基準価額を株価と同じように見做しているからだろう。でも、投資信託の基準価額は、株価と似て非なるものである。

 株価は、市場参加者の需給関係によって上下する。したがって、その企業が持つ本質的な価値に期待や失望が加味されて、株価が形成される。期待感が強まれば、株価は割高になるし、失望感が強まれば割安になる。

 これに対して基準価額は、ファンドに組み入れられている株式や債券の時価総額を、受益権口数で割って求められるもので、そこに需給は介在しない。つまり、そのファンドを買う人がいくら増えたとしても、基準価額が需給を反映して値上がりすることはないのだ。

 もちろん、ファンドに組み入れられている株式の全てが割高と評価される水準まで買われ、結果的に基準価額が上昇すれば、そのファンドは割高ということになるだろう。が、その状態を放置したままにするファンドマネジャーはいない。ファンドに組み入れられている株式が割高になれば、それを売却し、他の割安な銘柄に入れ替えているはずだ。そして、入れ替えた銘柄の一部が割高になれば、またそれを売却して、割安な銘柄に入れ替える。これを繰り返して、徐々にファンドの資産価値(=純資産残高)が積み上がり、基準価額も上昇していく。

 つまり基準価額は、組入資産の値上がり益や配当金などを積み上げた成果であり、ファンドを購入、解約する人の需給を反映したものではない。したがって、基準価額が1万円であろうが、2万円であろうが、割高、割安という概念とは全く無縁なのだ。(鈴木雅光=証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:57 | 鈴木雅光の投信Now