■米・イラン停戦延長見送りで供給不安、インフレ・金利上昇にも波及
国際原油価格が再び騰勢を強めている。18日の取引では北海ブレント原油先物が一時1バレル=91.49ドル、米WTI原油先物も85.37ドルまで上昇した。前日17日の清算値はブレントが2.65%高の90.87ドル、WTIが2.55%高の84.50ドル。価格は刻々と変動しているものの、中東情勢を巡る供給不安が原油相場を再び押し上げている。
背景には米国とイランを巡る緊張の再燃がある。恒久的な停戦に向けた協議が停滞するなか、米国側は一時停戦の延長を否定し、イラン側もより攻勢的な軍事姿勢に転じる方針を示した。原油輸送の要衝であるホルムズ海峡ではタンカー航行の低迷が続いており、正常化への道筋も見えていない。供給減少への懸念に加え、海上輸送や保険などのコスト上昇も原油価格を押し上げる要因となる。
■日本は中東依存度高く、原油高と円安の重なりに警戒
ホルムズ海峡を巡る緊張は日本経済にとって無視できない。日本は原油調達の多くを中東に依存しており、同海峡の物流停滞が長引けば、ガソリンや電力、物流、化学製品など幅広い分野にコスト増が波及する。円安が重なれば円建て輸入価格はさらに上昇し、企業収益だけでなく家計の購買力を圧迫する可能性もある。
株式市場が警戒するのは、原油高がインフレ再燃を通じて金利上昇につながる構図だ。18日は米国の30年国債利回りが一時5.321%と2007年以来の高水準に上昇。原油高による物価圧力への警戒も債券市場の重荷となった。日本を含むアジア株にも売りが波及し、原油相場が商品市場だけでなく、金利と株価を左右する重要なマクロ材料となっている。
■資源株には追い風、コスト負担業種との選別色強まる
一方、原油高は日本株すべてに逆風ではない。資源開発、鉱業、石油・石炭製品などには市況上昇による収益拡大期待が働きやすい。反対に、空運、陸運、化学、食品、小売など燃料費や物流費の比重が大きい業種では、価格転嫁が進まなければ利益率低下への警戒が強まる。指数全体を見るだけでなく、「原油高の恩恵を受ける企業」と「原油高をコストとして負担する企業」を選別する視点が重要になる。
今後の焦点は、米・イラン関係とホルムズ海峡の航行正常化である。原油市場には需要鈍化や在庫増といった価格抑制要因もあり、一方向の上昇を前提にはできない。ただ、外交交渉が進展せず供給不安が続けば、原油高は物価、金利、為替を通じて日本株に影響を及ぼす。AI・半導体主導で上昇してきた相場でも、当面はエネルギー価格を軸にした業種選別の重要性が一段と高まりそうだ。
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 20:02
|
コラム