レアメタルというのは、非鉄金属のうち資源としての埋蔵量が少ない、あるいは技術的に抽出が難しい希少な金属の総称で、日本政府はリチウムやコバルトなど31種類をレアメタルに指定している。レアアースは、レアメタルの一種で17の元素の総称である。そしてレアメタル、レアアースともに、特定の地域に、産出や埋蔵が集中していることも特徴である。例えば、リチウムの埋蔵量は世界全体で1100万トンとされるが、南米の埋蔵量が8割を占め、中でもボリビアのウユニ湖畔で半分を占めるとされている。リチウムの生産は、最大手のチリのSQMなど3社で世界の7割を占めている。またレアアースについても、中国が世界の約97%を生産している。
これらのレアメタルは、次世代エコカーの製造に不可欠であり、安定的に調達できなければ次世代エコカーの量産はおぼつかない。新興国の経済成長に伴って、比較的豊富とされる銅や亜鉛などのベースメタルも、いずれ不足する可能性が指摘されている。一方でレアメタルを産出する発展途上国は、自国の金属資源を経済成長の原動力にしたいと考えている。中国も経済成長に伴い、レアアースの輸出を規制する姿勢を強めている。こうした状況を背景として、経済支援や軍事協力も絡め、各国が官民挙げて金属資源の確保に取り組み、各地で熾烈な資源獲得競争が繰り広げられている。
ベースメタル、レアメタル、レアアースともに、地政学リスクや投機マネーなどで価格が乱高下する可能性が高く、権益取得にはファイナンス面のノウハウも必要となる。このため、こうした金属資源の安定調達には、総合商社の存在が欠かせない。伊藤忠商事<8001>、丸紅<8002>、豊田通商<8015>、三井物産<8031>、住友商事<8053>、三菱商事<8058>は世界各地で金属・エネルギー資源の開発、権益取得に取り組んでいる。また非鉄金属セクターでも、三井金属<5706>、三菱マテリアル<5711>、住友金属鉱山<5713>、DOWAホールディングス<5714>などが、収益基盤強化に向けて権益取得を活発化させている。
豊田通商は、アルゼンチンでリチウムの開発権益を取得した。オーストラリアの鉱山会社との共同出資会社で2014年には、炭酸リチウムを年間1・5万トン(HV用電池に換算して年間300万台分)生産し、全量を豊田通商が引き取る計画だ。また中国でも現地企業と合弁で炭酸リチウムを製造する。
三井物産は、カナダの資源会社カナダリチウムが生産するリチウムを調達する権利を取得し、2013年から日本や中国などで販売する。住友商事は、カザフスタンの国営原子力公社と共同で、ウラン抽出後の鉱石からレアアースを回収する事業を始める。三菱商事は、ブラジルでレアアースの回収事業に参入する。さらに住友商事と三菱商事は、南米ボリビアでリチウムの開発権益取得を目指している。
大量に廃棄される使用済み家電や携帯電話、いわゆる「都市鉱山」からレアメタルを回収する動きも活発化している。日産自動車<7201>と住友商事は、EV用リチウムイオン電池のリサイクル事業で提携した。
大容量リチウムイオン電池用の正極材としては、現在はコバルト酸リチウムが主流だが、資源量が豊富なマンガン酸リチウムを使った開発も進んでいる。また、電池ベンチャーの米A123システムズは、電極材料にリン酸鉄リチウムを採用することでコストを抑えている。このように、今後はレアメタルを代替する新材料の開発も活発化するだろう。
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