「総理が本日の朝、日銀総裁に電話をいたしまして、為替動向を含む現在の経済・金融情勢等について意見交換を行ないました。今後とも、政府・日銀の間で、緊密にコミュニケーションをとっていくことが極めて重要であるという認識で一致したところでございます。総理が日銀総裁に直接お会いして話をさせていただくということについても、今後検討をしてまいりたいと考えております」
記者会見場は、一瞬、どよめいたという。失望感からである。電話会談とは何事であろうか。お互いに車で20分もかからないところにいて、このように緊急にして重要な話しを電話で済ますとは。多分、会っても大したメッセージを発信できないから、それなら失望感を最小限に抑えるため、電話会談に留めておこうという、経済官僚の小賢しい『進言』を首相サイドが受け入れたのだろう。あるいは、日銀サイドが金融政策にツケをまわされても困る、ここは一番、政治がしっかりオモテに出て、アメリカと経済協議をする環境を整えてくれなければ、とでも言って逃げたのかもしれない。いずれにしても、現政権の体たらくを象徴する『珍事』であった。市場は早速反応し、『失望売り』を浴びせかけた。
そして午後には政府・民主党首脳会議が党本部で開かれ、政府側から菅総理(代表)、仙谷官房長官、玄葉内閣府特命担当大臣が、民主党側からは枝野幹事長、樽床国会対策委員長、輿石参院議員会長が出席。古川、福山両官房副長官、柳田参院幹事長、羽田参院国対委員長が陪席したという。大層なことだ。こんな会議をわざわざ持つなら、日銀総裁と会ったほうが余程有益というものだ。そして、会議の模様を福山官房副長官は次のように語った。
会議では総理から経済対策・円高対策について研究しながら行っていきたいとの意向が示され、同日、日銀総裁と電話会談し、緊密な連携をとっていくことを確認したとの報告があった。また、政策調査会で玄葉大臣を中心に26日までに経済対策の提言をまとめていく方向であることを踏まえ、総理および政府側からは、そのことをしっかり受け止めて対応していきたいとの姿勢が示された。さらに、国会と官邸と政調とが緊密に連携をとっていこうとの提案が繰り返しなされ、法案をどうするか等も含めて国会と官邸と政調の連絡が必要だとして、そのことについてはどういう形がいいのかお互いに認識を共有していこうということで一致した。
何という詰まらない、緊張感のない内容か。菅首相は今回の円高、株安に関して「状況を慎重に見守っていきたい」と、再三述べていたが、これはなにもしない、いや、出来ないという政治的メッセージと同じである。確かに、経済動態は政治の及び得ない領域を多く抱えている。だとしたら、経済当事者の動きやすいように仕事がしやすいように「環境」を整えるのが政治の役割であろう。今の民主党政権は、その最低限の政治の果たすべき勤めをも『投げ捨てて』しまったかのようである。政治家は理念を語ると共に、時に応じては具体的に、極めて有効的に「現状」に対して動かなければならない。
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