【株式市場フューチャー(2011年1月11日〜14日)】
■米国景気回復期待で堅調な展開を予想だが調整局面の意識も必要
11年の世界の株式市場は好スタートとなった。そして前週(1月4日〜7日)の日本の株式市場も大幅に反発した。日経平均株価は6日に12月SQ値(1万420円74銭)を突破して、約8カ月ぶりに1万500円台も回復した。米国の景気回復に対する期待が膨らみ、買いが優勢になった。外国為替市場でドル高・円安方向に振れたことや、米国の株式市場が堅調だったことも下支え要因だった。
ただし相変わらず日中の値幅は小さく、寄り付きの買いが一巡した後は膠着感の強い展開となっている。また前週末7日には、3連休(1月8日〜10日)を控えた週末要因に加えて、10年12月米雇用統計の発表を控えて様子見ムードを強めた。
来週(1月11日〜14日)の日本の株式市場については、米国の景気回復に対する期待が高まっているため、引き続き堅調な展開が予想される。国内では主要な経済指標など新たな材料に欠けるが、米国では主要企業の10年10〜12月期の決算発表が本格化するため、半導体大手インテルなど主要企業の業績動向と、それに対する米国株式市場の反応が注目点となるだろう。
またチャート面で見ても、日経平均株価(225種)、TOPIXともに、週足ベースの一目均衡表で雲を上抜けた形となり、先高観を強めている。
ただし、一方的に楽観視できない状況でもある。前週末7日のニューヨーク外国為替市場のドル・円相場で、円が強含みの動きとなったため、3連休明けのスタートとなる11日は、日本市場が休場となる10日の海外市場の動向次第だろう。
さらに、依然として高水準の騰落レシオ(25日移動平均)に対する警戒感は、引き続き根強いだろう。そして、ほぼ一本調子の上昇が続いた米国の株式市場についても、主要企業の10年10〜12月期決算発表を機に、調整局面が警戒され始めるだろう。
1月下旬から本格化する日本企業の10年10〜12月期決算発表も控えており、11年1〜3月期や12年3月期の業績動向を見極めたいとして、上値を追う動きは限定的となる可能性も考えられる。また、1月限の日経平均オプションSQ算出での波乱を警戒する見方もあるだけに、株価指数先物の仕掛け的な動きにも注意が必要となる。市場関係者の間では全体として強気見通しが増えているだけに、調整局面への意識も必要になるだろう。
来週の注目スケジュールとしては、国内では11日に11月景気動向指数、12日に11月経常収支、12月景気ウォッチャー調査、13日に11月機械受注などがあり、米国では12日に米ベージュブック(地区連銀経済報告)、米住宅ローン・借り換え申請指数、13日に米新規失業保険申請件数、14日には12月米小売売上高、12月米鉱工業生産・設備稼働率、11年1月米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などがある。EU(欧州連合)関連では13日のECB(欧州中銀)理事会が注目されるだろう。
また米国では、10年10〜12月期の主要企業の決算発表が本格化する。10日の米アルミ大手のアルコアを皮切りに、13日には米半導体大手のインテル、14日には米銀行大手のJPモルガンチェースが決算発表を予定している。特にインテルの決算発表では、11年1〜3月期について、どのような見通しを示すかに注目が集まる。インテルの決算発表を機に、株式市場全体の流れが反転する傾向を強めているため、今回も注意が必要だろう。
世界的な過剰流動性に加えて、米国の景気回復期待が高まっており、株式市場や商品市場など、リスク資産へのマネーシフトを予想する見方が優勢になっている。日本の株式市場についても先高観は強い。ただし年初の段階では、世界的な景気回復に対する確信が持てない状況であり、株式市場が調整色を強める可能性にも注意しておきたい。EU域内諸国の財政不安問題の広がりや、中国の金融政策の動向についても、足元では過度な警戒感が後退しているが、引き続き波乱要因として注意が必要だろう。
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2011年01月08日