【外国為替市場フラッシュ:2011年1月4日〜7日の週】
■週前半はドル高・円安方向に反転したが、週末の海外市場では円が強含みの動き
11年1月4日〜7日の週の外国為替市場で、ドル・円相場については、昨年末に一時1ドル=80円台後半までドル安・円高方向に振れた流れが一転して、ドル高・円安方向に振れた。そして週後半には一時1ドル=83円50銭台まで円が下落した。米国の景気回復期待が高まり、ドルを買う動きが優勢になった。ただし週末7日のニューヨーク市場では円が強含んだ。
ユーロ・円相場は、週前半に一旦はユーロ高・円安方向に振れたが、EU(欧州連合)域内諸国の財政不安問題への警戒感は根強く、再びユーロが弱含む動きとなり、週後半には1ユーロ=107円台〜108円台に円が上昇した。
東京市場が休場だった3日に、海外市場ではドルを買う動きが優勢となり、ニューヨーク市場では、ドル・円相場が1ドル=81円台後半まで円が反落した。昨年末に1ドル=80円台後半までドル安・円高方向に振れた流れが、一転してドル高・円安方向に流れを変えた形である。年末商戦の好調などで米国の景気回復への期待が高まり、ドルを買う動きが優勢になった。
そして4日の東京市場も、3日の海外市場の流れを引き継ぐ形となった。ドル・円相場では、ドル買い・円売りの動きが優勢となり、1ドル=82円20銭台まで円が下落した。さらにユーロ・円相場でも、ユーロを買い戻す動きが優勢となり、1ユーロ=109台後半まで円が下落した。昨年末の円を買う動きは、年末を控えたポジション調整だったとの見方もある。
5日の東京市場は小動きとなり、ドル・円相場は概ね1ドル=81円90銭〜82円10銭近辺のレンジで推移した。商品市況の下落などでリスク回避の動きが見られ、円は対ドル、対ユーロともにやや強含みとなった。
6日のドル・円相場は、1ドル=83円10銭台まで円が下落した。前日5日のニューヨーク市場で1ドル=83円台に円が下落した流れを引き継いだ。米国では5日、米雇用サービス関連会社のADP(オートマチック・データ・プロセッシング)が発表した全米雇用リポートが市場予想を上回り、米ISM(サプライマネジメント協会)の10年12月の非製造業景況感指数が4カ月連続で前月比上昇したため、景気回復期待で10年物国債利回りが3.46%まで上昇し、外国為替市場でもドルを買う動きが優勢だった。
7日のドル・円相場は、一時1ドル=83円50銭台まで円が下落した。米国の景気回復期待でドル買い・円売りが優勢となった前日までの流れを引き継いだ形である。ただし10年12月米雇用統計の発表を控えて、様子見ムードも広がった。ユーロ・円相場については、EU域内の財政不安問題が再び意識されてユーロ売りが優勢となり、1ユーロ=108円台前半に円が上昇した。
なお、7日のニューヨーク市場では、ドル・円相場が1ドル=83円10銭近辺、ユーロ・円相場が1ユーロ=107円30銭近辺に、いずれも円が上昇した。一時は円・ドル相場で1ドル=82円80銭台、ユーロ・円相場で1ユーロ=106円90銭台まで円が上昇している。ドル・円相場については、7日発表の10年12月米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったため失望感を誘い、ドル売り・円買いの動きが優勢になった。ユーロ・円相場については、EU域内の財政不安問題が再び意識されている。
ドル・円相場は引き続き、米国の長期金利および日米の金利差の動向を睨みながらの展開である。米国では、景気回復期待と財政悪化懸念の両面で長期金利が上昇しやすい状況にあるため、ドル買い・円売りの動きが強まるとの見方が増えているが、米FRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和策が長期化するとの観測も根強く、1ドル=80円台突破のドル安・円高方向を予想する見方も再び目立ち始めている。そして今後は、米FRBによる国債買い取りが11年6月末で終了するのか、出口戦略に向かうのか、量的緩和策を継続するのか、追加緩和策があるのかなど、米FRBの金融政策に対する見方が最大の焦点になる。波乱に対する警戒は必要だろう。
ユーロに関しては、EU域内の財政不安問題に対する警戒感が根強い。ポルトガルやスペインの国債大量償還が控えており、再びユーロ売りが広がる可能性も予想され、引き続き波乱要因として注意が必要になる。中国の金融政策については、11年末までに3〜4回の利上げとの見方が大勢となっている。現時点での市場への影響は限定的のようだが、今後の追加利上げのペース次第では波乱要因として注意が必要だろう。
◎日刊株式投資情報新聞(無料)登録受付中!
2011年01月09日