【外国為替市場フューチャー(2011年1月11日〜14日)】
■ドル・円相場は80円台〜84円台でモミ合いを予想
前週(11年1月4日〜7日)の外国為替市場でドル・円相場は、昨年末の流れが一転してドル高・円安方向に振れ、週後半には一時1ドル=83円50銭台まで円が下落した。米国の景気回復期待が高まり、ドルを買う動きが優勢になった。ただし週末7日のニューヨーク市場では、ドル・円相場は1ドル=83円10銭近辺に円が上昇した。一時は1ドル=82円80銭台まで円が上昇している。7日に発表された10年12月米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったため、ドル売り・円買いの動きが優勢になった。
ユーロ・円相場については、一旦はユーロ高・円安方向に振れたが、EU(欧州連合)域内諸国の財政不安問題への警戒感は根強く、再びユーロが弱含む動きとなった。週末7日のニューヨーク市場では、1ユーロ=107円30銭近辺に円が上昇し、一時は1ユーロ=106円90銭台まで円が上昇している。
来週(1月11日〜14日)の外国為替市場は、日本市場が休場となる週初10日は、前週末7日のニューヨーク市場の流れを引き継いで、円が強含む形でスタートする可能性が考えられる。このため3連休(1月8日〜10日)明けの11日の日本市場は、10日の海外市場の動向次第だろう。
米国の景気回復に対する期待が高いだけに、一方的にドル売り・円買いの動きとなる可能性は低いだろう。しかし1ドル=84円台になると、日本の輸出企業のドル売り・円買い需要が膨らむ。したがって当面のドル・円相場は、米国の長期金利の動向を睨みながら、1ドル=80円台〜84円台でモミ合う展開が予想される。
ユーロ・円相場については、EU域内のポルトガル、スペイン、イタリアで国債入札が予定されている。入札結果が低調になれば、再びユーロ売りの流れが加速する可能性を警戒しておきたい。
来週の注目スケジュールとしては、国内では11日に11月景気動向指数、12日に11月経常収支、12月景気ウォッチャー調査、13日に11月機械受注などがあり、米国では12日に米ベージュブック(地区連銀経済報告)、米住宅ローン・借り換え申請指数、13日に米新規失業保険申請件数、14日に12月米小売売上高、12月米鉱工業生産・設備稼働率、1月米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などがある。EU関連では13日のECB(欧州中銀)理事会と、トリシェECB総裁の記者会見が注目されている。
また米国では、10年10〜12月期の主要企業の決算発表が本格化する。10日のアルミ大手のアルコアを皮切りに、13日に半導体大手のインテル、14日に銀行大手のJPモルガンチェースが決算発表を予定している。
ドル・円相場は引き続き、米国の長期金利および日米の金利差の動向を睨みながらの展開が基本となる。米国では、景気回復期待と財政悪化懸念の両面で長期金利が上昇しやすい状況にあるため、ドル買い・円売りの動きが強まるとの見方が増えている。しかし一方では、米FRB(連邦準備制度理事会)による金融緩和策が長期化するとの観測も根強い。足元では日米ともに長期金利上昇の一服感を強めており、1ドル=80円台突破のドル安・円高方向を予想する見方も再び目立ち始めている。
当面は米国の長期金利の動向を睨みながら、1ドル=80円〜84円でモミ合う展開が予想されるが、米FRBによる国債買い取りが11年6月末で終了するのか、出口戦略に向かうのか、量的緩和策を継続するのか、追加緩和策があるのかなど、米FRBの金融政策に対する見方が最大の焦点になる。したがって経済指標で米国の景気回復ペースを見極めることが重要となり、景気回復を示す指標が続けば米国長期金利上昇、ドル高・円安の展開だが、逆に景気指標が市場予想を下回る内容になれば米国長期金利低下、ドル売り・円買いの動きが加速する。
ユーロに関しては引き続き、EU域内の財政不安問題に対する警戒感が根強い。欧州版IMF(国際通貨基金)となる「欧州安定メカニズム(ESM)」の創設合意や、中国によるEU域内の財政危機国に対する支援方針表明などで、財政危機国の格付け引き下げなどに対する過度な警戒感は後退したが、ポルトガルやスペインの国債大量償還が控えており、再びユーロ売りが広がる可能性も予想され、引き続き波乱要因として注意が必要になる。
中国の金融政策については、11年末までに3〜4回の利上げとの見方が大勢となっている。現時点での市場への影響は限定的のようだが、今後の追加利上げのペース次第では波乱要因として注意が必要だろう。
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2011年01月09日