【外国為替市場フラッシュ:5月9日〜13日の週】
■1ユーロ=115円台後半〜116円台前半で推移
5月9日〜13日の週の外国為替市場で、ユーロ・円相場は、週末に1ユーロ=113円台まで円が上昇した。ECB(欧州中央銀行)による追加利上げ観測の後退、ギリシャの債務再編問題などで、ユーロ売りが優勢の展開となった。
ユーロ・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末6日の海外市場では、一時1ユーロ=115円台前半まで円が上昇した。ECBによる追加利上げ観測が後退したことに加えて、ギリシャがユーロ圏離脱の可能性を示唆しているとのニュースが伝わり、欧州の財政不安問題が意識されてユーロ売りが加速した。そして週初9日の東京市場では、ややユーロが買い戻されて1ユーロ=115円台後半〜116円台前半で推移した。
9日の海外市場では1ユーロ=115円近辺に円が上昇した。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、ギリシャ格付けを2段階引き下げたため、ギリシャの債務再編問題が意識されてユーロ売りが優勢だった。10日の東京市場でも一時1ユーロ=114円90銭台まで円が上昇したが、その後1ユーロ=116円近辺までユーロが買い戻された。10日の海外市場では、ギリシャの債務問題に関する報道が交錯し、1ユーロ=115円台後半でモミ合った後、1ユーロ=116円台半ばにユーロが買い戻された。そして11日の東京市場では、ギリシャの債務問題に対する過度な警戒感が後退し、1ユーロ=116円台でモミ合う展開だった。
11日の海外市場では1ユーロ=116円台でモミ合った後、ギリシャの債務再編問題を意識したユーロ売りが加速し、1ユーロ=114円50銭台まで円が上昇した。12日の東京市場では概ね1ユーロ=115円台前半で推移した。そして12日の海外市場では、リスク回避の動きが強まり一時1ユーロ=114円台前半まで円が上昇したが、その後は株式市場の上昇や利上げ観測などでユーロを買い戻す動きが優勢となり、1ユーロ=115円台半ばに円が下落した。
13日の東京市場では、1ユーロ=115円台前半でモミ合った後、株式市場の下落やパキスタンでの自爆テロの発生などでリスク回避の動きが強まり、一時1ユーロ=114円台半ばに円が上昇した後、ユーロの買い戻しで1ユーロ=115円台前半に円が下落した。13日の海外市場では1ユーロ=115円台前半で推移した後、ギリシャの債務問題でリスク回避の動きが強まり1ユーロ=113円50銭台に円が上昇した。
ユーロ・円相場については、5月5日のECB理事会での金利据え置きは想定どおりだったが、理事会後の記者会見でトリシェ総裁が、次回理事会での追加利上げに言及しなかったため、継続的追加利上げ観測が後退している。そしてギリシャの債務再編問題が浮上し、アイルランド、ポルトガル、スペインなどの財政不安問題の再燃も意識されているため、当面はユーロ売り圧力が予想される。さらに商品先物市場の急落などで、世界的なリスク回避の動きが円買いにつながる可能性もあるだろう。
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2011年05月14日