【外国為替市場フラッシュ:5月9日〜13日の週】
■1ドル=80円台半ばの小幅レンジでモミ合う展開
5月9日〜13日の週の外国為替市場で、ドル・相場は手掛かり材料難となり、1ドル=80円台前半〜81円台前半で小動きだった。
ドル・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末6日の海外市場では、米4月雇用統計で非農業部門雇用者数の増加が市場予想を上回ったため、一時1ドル=80円台後半に円が下落したが、ドルの買い戻し一巡後は1ドル=80円台半ばでモミ合った。そして週初9日の東京市場では、米4月雇用統計という重要イベントを通過して手掛かり材料難となり、概ね1ドル=80円台半ばの小幅レンジでモミ合う展開だった。
9日の海外市場では1ドル=80円10銭台に円が上昇した。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるギリシャ格付けの引き下げで、債務問題が意識されてリスク回避の円買いが優勢になった。10日の東京市場では、1ドル=80円台前半で膠着感を強めた後、ユーロを買い戻す動きがドル・円相場にも波及し、1ドル=80円80銭台に円が下落した。10日の海外市場ではリスク回避の動きがやや後退し、1ドル=80円台後半で、ややドル高・円安方向の展開だった。そして11日の東京市場では、手掛かり難で膠着感を強め、概ね1ドル=80円台後半でモミ合う展開だった。
11日の海外市場では、ややドル買いが優勢となって1ドル=81円30銭台に円が下落した。しかし米国株式市場や原油先物市場の下落で、リスク回避の円買いが優勢となり1ドル=80円60銭台に円が上昇し、その後は1ドル=81円近辺に戻した。その後12日は東京市場、海外市場ともに、手掛かり材料に乏しく、概ね1ドル=81円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だった。
13日の東京市場では、1ドル=81円近辺でモミ合った後、株式市場の下落やパキスタンでの自爆テロ発生などでリスク回避の動きが強まり、一時1ドル=80円40銭台に円が上昇した。与謝野経財相の「現在の為替相場は円高ではなくドル安」という発言も、協調円売り介入に対する警戒感の後退につながるとして材料視された。13日の海外市場では概ね1ドル=80円台後半でモミ合う展開だった。
米国の金融政策については、景気の回復が緩慢であるため早期利上げの可能性は低く、緩和的な金融政策が長期化するとの観測が優勢になっている。このためドル・円相場は、どちらか一方向に傾きにくい状況だが、欧州財政不安問題再燃によるユーロ売り、米国株式市場や商品先物市場の下落、報復テロへの警戒感などを材料視して、リスク回避の動きが強まるかどうかが、当面の焦点だろう。
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2011年05月14日