(1) 東京地裁において、小沢元民主党代表の三人の秘書全員に有罪判決が下った。控訴・上告の制度があり、現時点で刑が確定したわけではないので、司法制度の下では当然のことながら推定無罪であるが、本質的な問題は政治資金規正法がザル法であるところにあると認識している。1994年に政党助成法ができて政党助成金が法制化された際、約束ではいずれ企業・団体献金を廃止するはずであったが、話題にも上らず放置されている。(政治資金の)扱いについても、その後度々問題が起き、領収書添付など透明化を図る動きはあったものの、結果としては(政治資金規正法が)ザル法であることが問題の本質だと考えている。
(2) 一票の格差是正の問題について、一部の与党幹部の間で若干話題に上っているのは一歩前進である。一方で、野党・自民党は、第3次補正予算が成立すれば解散総選挙を求めると発言している。野党が解散を主張することは、戦略上理解できなくもないが、(3月23日に最高裁で「違憲状態」との判決が出た中で、)一票の格差是正なくして解散総選挙になだれ込むことは、三権分立というこの国のガバナンスをないがしろにするものである。最高裁の司法判断からすでに半年が経っていることもあり、一票の格差是正を選挙区割りの改定という形で実施した上で、次の選挙に臨んでもらいたい。.
(3) 野田首相が(所信表明演説で)述べたポイントのひとつは、「成長と財政再建は車の両輪である」という点である。国会での質問が集中していることもあるが、復興債の財源や社会保障と税の一体改革の関連で増税の問題ばかりが取り上げられ、一部円高に関する議論を除いて経済成長や景気対策についての本格的な議論が出ていないことは、極めて問題だと感じている。第3次補正予算が通れば復興投資につながり、経済成長へのスプリング・ボードとして有効に働けば望ましいが、成長戦略をきちんと実行していくためには、改めて新成長戦略を見直すべきである。年内に見直すと約束されていたが、この動きが乏しいことを懸念している。
(4) 経団連と民主党幹部がTPPの議論をされたとの報道があり、11月のAPECで交渉参加の意思表明をして欲しいというのが経済界の要望である。一方で、TPPは完成度が高く、日本を含めると10ヶ国ということで、(参加が決まれば)一挙に貿易協定が進展する意味では望ましいが、米国の政治状況などを考えると、TPPだけにかけるのはリスクがある。何事もバックアップ・コンティンジェンシー(不測の事態への備え)を持っておくべきで、すでに予備交渉などで合意の可能性が見えているオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、EUなどとの二国間での経済連携協定を進展させるべきである。日本のTPPへの交渉参加が決まり、帰趨がはっきりするまでは、すべての経済連携協定の中から優先順位を付けつつ、同時並行的に真剣な対話を続けることが必要である。
長谷川代表幹事のコメントは、何時聞いてもなかなか明確、適格である。いいスタッフに恵まれていることもあると思うが、本人自身の政治、社会、経済に対する見方、考え方がしっかりとしているからだろう。経済界の代表という限界的立場はあるものの、その指し示す視点と方向性は日本全体にとっても有効だと思われる。
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