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2011年12月17日

【株式市場を検証】手掛かり材料難、手控えムードが強く方向感に乏しい展開

【東証1部市場の売買代金は5営業日連続で1兆円を割り込む】

■日経平均株価は小幅反発だが、TOPIXは4営業日続落

 16日は、日経平均株価(225種)が前日比24円35銭(0.29%)高の8401円72銭と4営業日ぶりに小幅反発したが、TOPIXは前日比1.46ポイント(0.20%)安の723.56で小幅に4営業日続落した。日経平均株価は前日まで3営業日続落した反動に加えて、前日の米国株式市場の上昇を好感した。ただし週末要因もあって戻りは限定的だった。東証1部市場の売買代金は9269億円となり5営業日連続で1兆円を割り込んだ。

 前日15日の米国株式市場で、ダウ工業株30種平均株価は前日比45ドル33セント(0.38%)高の1万1868ドル81セントと4営業日ぶりに反発した。前日比144ドル36セント高まで上昇する場面もあったが、徐々に上昇幅を縮小した。S&P500株価指数は前日比0.32%高、ナスダック総合株価指数は前日比0.07%高と、いずれも4営業日ぶりに反発した。前日まで3営業日続落した反動に加えて、スペインの国債入札が順調だったこと、良好な米主要経済指標が相次いだことを好感した。米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数は9.53となり11月の0.61から大幅改善して市場予想も上回った。米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は10.3となり11月の3.6から大幅改善して市場予想も上回った。米新規失業保険申請件数は36.6万件となり前週改定値38.5万件から減少して市場予想以上に改善した。一方で米11月鉱工業生産は前月比0.2%減少となり11月の前月比0.7%増加から悪化して市場予想も下回った。

 この流れを受けて日経平均株価は前日比38円84銭高と買い先行でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き380万株の売り越しだった。寄り付きの買い一巡後は、週末要因もあって手控えムードが強く、日経平均株価は8400円台を巡る攻防となった。主力銘柄の戻りが鈍く、TOPIXは前日比マイナス圏に転じた。格付け会社フィッチ・レーティングスが欧米大手7銀行の格付けを引き下げたことや、アジアの主要株式市場の上昇が小幅にとどまったことも弱材料視された。

 午後に入ると、手掛かり材料難で一段と膠着感を強めた。欧米株式市場の動向を見極めたいとして手控えムードが強く、日経平均株価8400円近辺の狭いレンジでモミ合う展開が続いた。終値で8400円台を回復したものの、大引けにかけてはやや弱含みとなり、結局この日の安値圏で取引を終了した。日経平均株価の日中値幅は42円20銭にとどまった。

 東証1部市場の騰落銘柄数は値上がり銘柄495(全体の30%)、値下がり銘柄1000(全体の60%)だった。薄商いで主力銘柄の戻りが鈍い中、セクター別には、ガラス・土石、非鉄金属、自動車、商社、不動産などが軟調だったが、タイ洪水復旧需要が期待される工作機械関連、前日に売り込まれたSNS・ソーシャルゲーム関連の上昇が目立った。個別で見ると、売買代金1位の三井住友FG(8316)、2位のトヨタ自動車(7203)、5位のコマツ(6301)、7位のネクソン(3659)、9位のオリンパス(7733)などが下落した。一方で6位のディー・エヌ・エー(2432)、8位のファーストリテイリング(9983)、13位の商船三井(9104)などの上昇が目立った。

 ユーロ圏債務危機問題、欧米やアジアの株式市場の動向、そして外国為替市場など、海外要因に神経質な地合いに変化はない。一段と売り込む動きは見られないが、日経平均株価の戻りは鈍く、TOPIXは4営業日続落し、手控えムードが強く方向感に乏しい1日だった。当面はユーロ圏主要国の国債利回りの動向や、中国・上海株式市場の動向などに注意が必要だろう。

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