
5社は90年代後半以降、リスク・リターン管理の経営手法を導入した。そして、投資基準や撤退ルールの厳格化によるリスクマネジメントの強化、成長分野の優良資産への入れ替えによる事業ポートフォリオの最適化、川上から川下までのバリューチェーン構築、財務体質の強化などを基本方針として、収益基盤の強化を推進してきた。その成果として、売上総利益の増加だけでなく、受取配当金の増加や持分法投資損益の増加が収益拡大に貢献するなど、収益基盤は着実に強化されてきた。
■直近の業績は好調
直近の業績も好調である。11年4〜9月期の連結純利益は、5社のうち三菱商事<8058>が前年同期に計上した大口の一過性利益の反動で減益となったが、他の4社は大幅増益となった。伊藤忠商事<8001>は上期として過去最高益を更新した。
12年3月期通期の連結純利益見通しについては、11年4〜9月期業績発表時に住友商事<8053>が上方修正し、他の4社は据え置いた。
しかし、12年3月期通期純利益の会社公表見通しに対する11年4〜9月期実績の進捗率を見ると、通期見通しを据え置いた伊藤忠商事<8001>は2400億円に対して66%、丸紅<8002>は1700億円に対して61%、三井物産<8031>は4300億円に対して53%、三菱商事<8058>は4500億円に対して55%である。いずれも高水準であり、上振れの期待が高まっている。通期見通しを上方修正した住友商事<8053>は、上方修正後の通期見通し2500億円に対しても61%と高水準であり、再度の増額修正の期待が高まっている。
・【特集:2012年を読む】「総合商社」銘柄の動向(2)〜株価に割安感強く上昇余地
・住友商事は指標面で見れば依然として割安感の強い水準
・三菱商事は信用倍率やや高水準だが上昇余地は大きい
・三井物産は中期的に収益基盤が一段強化で収益は拡大基調
・丸紅は通期では期初計画の3000億円を上回る見込み
・伊藤忠商事は2年合計で1兆円まで増額する可能性も
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