
セグメント別に見ると、エネルギー、金属、電力・インフラ、食料、化学品などが大幅増益だった。原油、銅、石炭などの商品価格が高水準に推移したことが追い風となった。チリのエスペランザ銅鉱山など、持分法投資損益の増加も寄与した。
12年3月期通期については、欧州債務危機問題の影響などを考慮して見通しを据え置いたが、通期連結純利益見通し1700億円に対する11年4〜9月期実績の進捗率は61%に達しており、上振れの可能性が高いだろう。
新規投融資に関しては、金属分野ではチリ銅権益取得拡大、穀物分野では中国、ブラジル、アルゼンチンの現地大手企業との連携強化などを、積極的に推進している。海外IPP発電関連も安定収益源に成長した。11年4〜9月期には、米国ナイオブララ・シェールオイル開発プロジェクトへの参画(30%権益取得)、インドネシアの石炭火力発電事業への参画、米国の自動車販売金融会社への出資など、グロス1200億円(資源関連450億円、インフラ関連250億円、環境生活その他500億円)の新規投融資を実行した。通期では期初計画の3000億円を上回る見込みとなっている。
さらに8月には、中国のシノグレイン油脂および山東六和集団との3社共同で、中国全土で飼料合弁事業を展開することで合意した。11月には、中国石炭輸入最大手のウィンズウェイ・コーキングコールと共同で、カナダの炭鉱運営会社グランド・キャッシュ・コール社に対しTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。買収総額は総額約765億円で丸紅は40%を出資し、12年1月をめどに全株取得を目指す。12月には、世界有数の銅生産会社であるチリのアントファガスタ社と、同社が保有するアントコヤ鉱山プロジェクトについて3.5億ドルを拠出し、権益30%を取得することで合意した。エスペランザ鉱山などに次ぐ5つ目の共同プロジェクトで、日本企業トップクラスの銅の持分権益量を保有することになる。中期的にも収益基盤が一段と強化され、収益は拡大基調だろう。
11年の株価を見ると、2月15日に年初来高値675円を付けた後は、上値下値を切り下げる展開となり、10月5日には年初来安値373円まで下落する場面もあった。その後は安値圏から反発して戻り過程だが、26週移動平均線が上値抵抗線の形となって、足元では400円台後半でのモミ合い展開となっている。しかし予想PERは4倍台、予想配当利回りは4%台と、指標面で見れば割安感の強い水準となっている。上昇余地は大きいだろう。
・【特集:2012年を読む】「総合商社」銘柄の動向(1)〜基盤強化で収益拡大基調
・【特集:2012年を読む】「総合商社」銘柄の動向(2)〜株価に割安感強く上昇余地
住友商事は指標面で見れば依然として割安感の強い水準
三菱商事は信用倍率やや高水準だが上昇余地は大きい
三井物産は中期的に収益基盤が一段強化で収益は拡大基調
伊藤忠商事は2年合計で1兆円まで増額する可能性も
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