■日経平均株価は2週ぶりの上昇、TOPIXは3週連続の上昇、下値固めの展開

ユーロ圏債務危機問題に関する今週の動きを整理すると、9日の独仏首脳会談で、英国を除くEU26カ国で合意した財政規律を強める新条約について、3月1日のEU首脳会議までに署名できるとの見通しが明らかになったが、特に材料視されなかった。
10日には、格付け会社フィッチ・レーティングスが「今年中のフランスの格下げ見通しはない」との見解を示したことが安心感につながった。
11日には、イタリア民主社会党がユーロ圏およびEUからの離脱を要請したとの一部報道、フランスが格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)から格下げの通告を受けたとの噂に加えて、ドイツが10〜12月期実質GDPについて前期比0.25%のマイナス成長見通しを示したこと、ギリシャの債務再編協議が難航していること、格付け会社フィッチ・レーティングスが「欧州債務危機やユーロ安対策としてECB(欧州中央銀行)が重債務国の国債購入拡大など一段の追加措置を講じなければユーロが崩壊しかねない」との見解を示したことなどが弱材料視された。一方でドイツがESM(欧州安定メカニズム)への拠出増額を示唆したことは好感された。
12日には、イタリアとスペインの国債入札で、いずれも平均落札利回りが前回を大幅に下回るなど順調な結果となった。流通利回りも低下して安心感につながった。ECB理事会は政策金利を据え置き、想定どおりとして市場の反応は限定的だった。
13日には、イタリアの長期債入札で発行額が目標額上限に達して落札利回りも低下したが、応札倍率が12日に比べて見劣る結果だったと受け止められた。さらに、格付け会社S&Pが13日中にドイツを除く複数のユーロ圏諸国の国債格付け引き下げを発表するとの観測報道や、国際金融協会(IIF)がギリシャとの債務再編協議を休止するとの発表に対して警戒感を強めた。
こうした流れを受けて外国為替市場ではユーロ売り圧力が継続した。ユーロ・円相場は、週初9日の海外市場と週末13日の海外市場で、一時1ユーロ=97円20銭近辺に円が上昇した。ドル・円相場は概ね1ドル=76円台後半で推移した。米12月雇用統計を通過して手掛かり材料難となり、ユーロの動向に関心が集まったが結果的には狭いレンジで小動きに終始した。週末13日の海外市場で終盤は1ユーロ=97円50銭〜60銭近辺、1ドル=76円90銭〜77円00銭近辺だった。
米国の主要経済指標では強弱感が交錯する週となった。9日には、米11月消費者信用残高が前月比204億ドル増加となり、10月改定値の同60億ドル増加に比べて市場予想以上に増加した。取引終了後に10〜12月期決算を発表した米アルコアは、12年の世界アルミ需要が7%成長するとの強気の見方を示した。11日には、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動が緩やかに拡大しているとの見解が示された。12日には、米12月小売売上高が前月比0.1%増加となり、11月改定値の同0.4%増加に比べて伸び率が鈍化して市場予想を下回った。米新規失業保険申請件数は39.9万件となり、前週改定値の37.5万件から2.4万件増加して市場予想以上に悪化した。13日には、米銀行大手JPモルガン・チェースの10〜12月期純利益が減益となった。米11月貿易収支の赤字額は478億ドルとなり、10月改定値433億ドルの赤字に比べて市場予想以上に赤字幅が拡大した。米1月ミシガン大学消費者信頼感指数は74.0となり、12月の69.9に比べて大幅上昇して市場予想も上回った。
なお12日に発表された中国12月CPI(消費者物価指数)は、前年同月比4.1%上昇となり市場予想を若干上回ったが、11月の同4.2%上昇に比べると伸び率が鈍化したため、金融緩和期待が高まった。
テクニカル面で見ると、日経平均株価(13日時点の8500円02銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同8475円34銭)に対して0.29%のプラス乖離に転じたため、当面の下値支持線として意識されるかが注目点となる。また75日移動平均線(同8572円22銭)に対してはマイナス0.84%、200日移動平均線(同9138円67銭)に対してはマイナス6.98%となり、いずれもマイナス乖離幅を縮小した。東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は13日時点で94.6%となっている。
日経平均株価の終値で騰落状況を見ると、3連休明けの10日は前日比31円91銭(0.38%)高と3営業日ぶりに反発、11日は前日比25円62銭(0.30%)高と小幅続伸、12日は前日比62円29銭(0.74%)安と3営業日ぶり反落、13日は前日比114円43銭(1.36%)高と反発した。日中値幅は10日が45円41銭、11日が37円69銭、12日が66円50銭、13日が51円08銭だった。
日経平均株価の週末13日の終値は8500円02銭となり、前週末6日の終値8390円35銭に比べて109円67銭(1.31%)上昇した。4日以来となる8500円台を回復し、週間ベースで2週ぶりの上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は13日の8509円76銭、週間安値は12日の8360円33銭、1週間の取引時間中の値幅は149円43銭だった。
TOPIXの週間騰落状況を見ると、週末13日の終値は734.60となり、前週末6日の終値729.60に比べて5.00ポイント(0.69%)上昇した。週間ベースで見ると3週連続の上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は10日の736.26、週間安値は12日の725.28だった。13日時点のNT倍率は11.57倍となり、前週末6日時点の11.50倍に比べて0.07ポイント上昇した。
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