【大幅反落、今晩の米国市場が休場のため様子見】
■東証1部市場の売買代金は2営業日ぶりに1兆円を下回る
16日は日経平均株価が前日比121円66銭(1.43%)安の8378円36銭と大幅反落、TOPIXは前日比9.36ポイント(1.27%)安の725.24と大幅反落した。前週末13日に格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、フランスを含むユーロ圏9カ国の国債格付け引き下げを正式発表したことを受けて、ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感を強めた。また今晩の米国市場が休場のため様子見ムードも強めた。日経平均株価の日中値幅は57円56銭だった。東証1部市場の売買代金は7500億円となり、2営業日ぶりに1兆円を下回った。
前週末13日の米国株式市場でダウ工業株30種平均株価は前日比48ドル96セント(0.39%)安の1万2422ドル06セントと反落した。3連休(14日〜16日)を控えて利益確定売りが出やすい状況だったうえに、フランスなどユーロ圏各国の国債格付け引き下げ発表に関する観測報道で警戒感を強めた。序盤には前日比159ドル23セント安まで下落幅を拡大する場面もあった。ただし取引終了にかけて下落幅を縮小した。S&P500株価指数は前日比0.49%安と5営業日ぶりに反落、ナスダック総合株価指数は前日比0.51%安と7営業日ぶりに反落した。イタリア長期債入札は発行額が目標額上限に達して落札利回りも低下したが、応札倍率が12日に比べて見劣る結果だったと受け止められた。さらにS&Pが13日中に、ドイツを除く複数のユーロ圏諸国の国債格付け引き下げを発表するとの観測報道で警戒感を強めた。ギリシャ債務再編問題の交渉が難航していることや、銀行大手JPモルガン・チェースの10〜12月期純利益が減益だったことも弱材料視された。米11月貿易収支の赤字額は478億ドルとなり、10月改定値433億ドルの赤字に比べて市場予想以上に赤字幅が拡大した。米1月ミシガン大学消費者信頼感指数は74.0となり、12月の69.9に比べて大幅上昇して市場予想も上回った。なお取引終了後に、S&Pはフランスなど9カ国の国債格付け引き下げを正式発表した。
こうした流れに対して日経平均株価は前日比90円23銭安と売り優勢でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き1010万株の大幅売り越し観測だった。寄り付き後は、株価指数先物取引が主導する形で、日経平均株価は前日比147円79銭安まで下落幅を広げる場面があった。ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感、前週末13日の大幅上昇の反動に加えて、外国為替市場で1ユーロ=97円00銭近辺に円が上昇したこと、アジアの主要株式市場が軟調だったことなども弱材料視された。11月機械受注は前月比14.8%増加となり、10月の同6.9%減少から増加に転じて市場予想も上回ったが、市場の反応は限定的だった。
午後に入ると膠着感を強め、日経平均株価は8300円台半ばの狭いレンジでモミ合う展開となった。今晩の米国市場が休場のうえに、フランス短期債入札を控えて格付け引き下げの影響を見極めたいとして、売り買いともに様子見ムードを強めた。
東証1部市場の騰落銘柄数は、値上がり銘柄480(全体の29%)、値下がり銘柄1039(全体の62%)だった。セクター別には、道路・橋梁など復興需要関連の低位材料株が物色されたが、機械、電機・精密、金融、通信などを中心に軟調となった。東証1部市場の売買代金上位の個別銘柄で見ると、2位のホンダ(7267)、3位の三井住友FG(8316)、4位のソフトバンク(9984)、6位のファナック(6954)、7位のトヨタ自動車(7203)、8位の三菱UFJFG(8306)、9位の東京電力(9501)、11位のKDDI(9433)は下落した。一方で、1位のグリー(3632)、5位のコマツ(6301)、10位の日産自動車(7201)は小幅に上昇し、12位の日本道路(1884)の大幅上昇が目立った。
ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感は根強く、大幅反落して前週末13日の上昇分を帳消しにした形となった。ただし、日銀のETF買いに対する思惑もあり、一段と売り込む動きは見られなかった。ネガティブ材料が出てこないかと身構える地合いに大きな変化はないが、底堅さも意識される形だろう。
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2012年01月16日