【週末要因や円高警戒で日経平均株価、TOPIXともに続落】
■3営業日連続で1兆円を上回る
27日は、日経平均株価が前日比8円25銭(0.09%)安の8841円22銭と小幅に続落した。
TOPIXは前日比3.48ポイント(0.46%)安の761.13と続落した。短期的な過熱感や週末要因に加えて、為替が円高方向に振れたため輸出関連を中心に利益確定売りが優勢になった。ただし下値も限定的だった。
日経平均株価の日中値幅は75円13銭だった。東証1部市場の売買代金は概算で1兆1213億円となり、前日の1兆243億円に比べて増加し、3営業日連続で1兆円を上回った。
前日26日の米国株式市場で、ダウ工業株30種平均株価は前日比22ドル33セント(0.18%)安の1万2734ドル63セントとなり、小幅に反落した。前日の米FOMC(連邦公開市場委員会)で低金利政策の期限が延長されたことに加えて、米12月耐久財受注が前月比3.0%増加となり市場予想を上回ったこと、米キャタピラーが好決算を発表したことなどを好感して買い優勢でスタートした。
しかしその後は、米12月景気先行指数(コンファレンス・ボード)や米12月新築住宅販売件数が市場予想を下回ったことなどを受けて、利益確定売りが優勢になり下落に転じた。S&P500株価指数は前日比0.57%安と反落した。ナスダック総合株価指数は前日比0.46%安と3営業日ぶりに反落した。
この流れに対して日経平均株価は前日比1円55銭高と小幅に買い優勢でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き450万株の売り越し観測だった。寄り付き後は前日終値付近の狭いレンジでモミ合う展開となった。短期的な過熱感や週末要因に加えて、前日の外国為替市場で円高方向に傾いたことも買い手控えムードにつながった。午前の終盤になると上昇幅をやや広げる展開となり、午前の取引終了直前には日経平均株価が前日比36円55銭高の8886円02銭まで上昇する場面もあった。
午後に入ると、日経平均株価はこの日の高値圏から一転して前日比マイナス圏まで急落し、この日の安値8810円89銭(前日比38円58銭安)を付ける場面もあった。外国為替市場で対ドル、対ユーロともに急速に円高方向に振れたことが弱材料視され、株価指数先物取引が主導する形で急落した。しかし取引終了にかけて買い戻され、急速に下落幅を縮小した。結局、日経平均株価は前日比小幅安で取引を終了した。
東証1部市場の騰落銘柄数は値上がり銘柄639(全体の38%)、値下がり銘柄881(全体の53%)だった。セクター別には、資源関連が買われて鉱業、非鉄金属、総合商社の上昇が目立った。一方で、鉄鋼、電機・精密、自動車、メガバンク、証券、保険などが下落した。
決算を発表した銘柄の大幅下落も目立った。橋梁、電線、海運などの低位材料株への物色は一服感を強めた。東証1部市場の売買代金上位の個別銘柄で見ると、1位のトヨタ自動車(7203)、3位の日産自動車(7201)、4位のホンダ(7267)、9位の三井住友FG(8316)、10位の三菱UFJFG(8306)、12位のみずほFG(8411)は下落した。
一方で、2位の三井物産(8031)、5位の三菱商事(8058)、6位のグリー(3632)、7位のコマツ(6301)、8位のファナック(6954)、11位の国際石油開発帝石(1605)、13位の伊藤忠商事(8001)が上昇した。
日経平均株価、TOPIXともに続落したが、一段と売り込む動きも見られず、全体としては売り買いが交錯する展開だった。週末要因に加えて、急ピッチの戻りで短期的な警戒感が強まっていただけに、スピード調整の範囲と言えるだろう。
東証1部市場の売買代金は3営業日連続の1兆円台であり、物色循環の動きも見え始めた。一方では、決算を発表した銘柄に売りが集中する例も目立ち、地合いが完全に改善したとは言えないが、日経平均株価8800円台固めの展開だったとも解釈できそうだ。
ただし外国為替市場で対ドル、対ユーロともに、円売りの動きが一巡していることに注意が必要だろう。今晩から来週にかけて、さらに円高方向に振れる展開になれば、来週の日本株式市場では上値が重くなる可能性もあるだろう。
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2012年01月27日