プラントエンジニアリング業界では、大型プロジェクトの受注が収益に直結する傾向が強い。そして毎期の受注高は、大型プロジェクト受注の有無によって大幅に変動する可能性が高いため、期末の受注残高の動向によって収益の方向性を予想することになる。
また、石油精製プラントやLNGプラントのような大型プロジェクトに関しては、基本設計業務を受注した企業が、引き続きEPC(設計・調達・建設)業務を一括請負で受注する可能性が高まる。
そして大型プロジェクトの場合は特に、工事進捗管理やコスト管理が工事利益率を確保する点で重要になる。世界的な景気回復局面では、資材費や人件費が想定以上に上昇する場合もあり、さらに工事進捗遅れや追加工事発生などによって、結果的に低採算案件となるリスクもある。
■過去最大規模の受注案件などが確定
注目度が高まっているLNGプラント分野は大型プロジェクトとなり、プラント関連工事を一括請負した場合の受注総額は、概ね数千億円規模となる可能性が高い。そして過去の受注実績を見ると、日揮<1963>(東1)、千代田化工建設<6366>(東1)、および米KBR社の3社合計で、世界のLNG生産量の7割強を建設した実績を誇っている。ほぼ3社による寡占状態となっているため特に大きな恩恵を受けそうだ。
直近では12年3月に、日本の国際石油開発帝石<1605>(東1)と仏トタールが共同開発している豪州イクシスLNGプロジェクトで、陸上LNGプラントのEPC(設計・調達・建設)業務を、日揮<1963>(東1)をリーダーとして米KBR社、千代田化工建設<6366>(東1)で構成するJV(共同受注体)が総額約150億米ドルで受注し、過去最大規模の受注案件となった。16年12月末までの生産開始予定で、LNGの約7割が日本に輸出されることが確定している。
また、石油開発企業の国際石油開発帝石<1605>(東1)、JXホールディングス<5020>(東1)や、総合商社の双日<2768>(東1)、伊藤忠商事<8001>(東1)、丸紅<8002>(東1)、豊田通商<8015>(東1)、三井物産<8031>(東1)、住友商事<8053>(東1)、三菱商事<8058>(東1)なども、北米や豪州などでシェールガス開発・生産プロジェクトや、LNG生産プロジェクトの権益拡大に向けた動きを活発化させている。
三菱商事<8058>(東1)はカナダのエンカナ社から、カナダ・モントニー地域にある北米最大級のシェールガス鉱区の権益4割を取得(約2300億円)した。開発費を含めた同社の総投資額は約4800億円となる模様だ。三井物産<8031>(東1)と三菱商事<8058>(東1)は共同で、豪州ブラウズLNGプロジェクトの権益15%を取得(約1600億円)した。09年に日本企業として初めて米国シェールガス開発に参画した住友商事<8053>(東1)は、生産したシェールガスを米ドミニオン社が建設するLNG輸出基地で委託加工し、東京ガス<9531>(東1)と共同で輸入することで基本合意した。
日本のLNG輸入が拡大すれば、LNG専用船での輸送を長期契約で受注する可能性が期待される海運大手、日本郵船<9101>(東1)や商船三井<9104>(東1)などにも恩恵がありそうだ。
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