セグメント別の経常利益を見ると、不定期専用船事業は69億円の赤字(前期は708億円の黒字)、コンテナ船事業は299億円の赤字(同388億円の黒字)、フェリー・内航事業は5億円の赤字(同5億円の赤字)、関連事業は前期比15億円減少の90億円、その他事業は同9億円増加の43億円だった。
不定期専用船(ドライバルク船、油送船、LNG船、自動車船)、定期船(コンテナ船)ともに運賃が低迷した。米国を中心とする世界的な景気回復遅れ、東日本大震災やタイ洪水など自然災害の影響などで荷動きが低迷したうえに、新造船大量竣工・船腹拡大に伴って過剰感も強まった。ドライバルク船のスポット運航船の運賃市況は4船型ともに大幅下落し、コンテナ船では特にアジア・欧州航路(往航)の運賃市況が大幅下落した。為替の急激な円高進行もマイナス要因となり、原油高に伴う燃料油価格の上昇がコストアップ要因となった。期中平均為替レートは1米ドル=78円85銭(前期は1米ドル=86円48銭)だった。
経常利益段階の要因別分析によると、減益要因としては、為替の円高影響が153億円、燃料油価格上昇が354億円、運賃変動等が1216億円、持分法投資損益減少が49億円、増益要因としては、コスト削減が245億円、その他が68億円だった。
13年3月期連結業績の会社見通しについては、売上高が前期比12%増の1兆6000億円、営業利益が160億円(前期は244億円の赤字)、経常利益が100億円(同243億円の赤字)、純利益が30億円(同260億円の赤字)、EPS(1株純利益)が2円51銭とし、1株当たり予想配当金については未定としている。また業績予想の前提として、為替レートは1米ドル=82円、1円の変動による経常利益への影響は年間19億円としている。
セグメント別の経常利益見通しについては、不定期専用船事業が70億円、コンテナ船事業が80億円の赤字、フェリー・内航事業が10億円、関連事業が100億円、その他事業が20億円としている。
不定期専用船事業については、上期が60億円の赤字、下期が130億円の黒字の見通しである。ドライバルク船の市況については、新造船竣工圧力などで需給ギャップ解消に時間を要するが、新興国向けの鉄鉱石、石炭、穀物の荷動きが堅調であり、足元の低調な市況から徐々に脱するとしている。また原油タンカー市況が回復傾向であることや、自然災害の影響一巡などで自動車輸送台数の増加も寄与する模様だ。コンテナ船事業については、緩やかな世界景気の回復を背景として堅調な荷動きと運賃レベルの修復を想定し、通期で赤字は残るが前期との比較で収益改善見込みである。
■株価診断
株価の動きを見ると、年初の300円割れ水準から反発し、2月27日には年初来高値となる391円まで上昇したが、反落して上値を切り下げ、足元では概ね300円近辺でやや軟調な展開となっている。4月27日の決算発表後には、13年3月期業績に関して会社側の慎重な見通しが売り材料視されたようだ。市場全体の地合い悪化の影響も受けているだろう。
足元の株価水準を指標面で見ると、13年3月期会社見通しベースの予想PERは100倍超、予想配当利回りは未定、12年3月期BPS(1株純資産533円27銭)ベースの実績PBRは0.5倍〜0.6倍近辺の水準である。需給面では信用倍率(4月27日時点)が3倍台である。
週足ベースで見れば、13週移動平均線に続いて26週移動平均線も割り込んだ形であり、目先的にはトレンド転換して下値模索の展開にも警戒が必要だろう。ただし実績PBRは1倍割れ水準であり、13年3月期業績見通しに関しても、期初時点の会社見通しが慎重姿勢であると考えれば、上振れ期待で見直し買いが優勢になる余地もあるだろう。
【海運関連特集】
・(1)海運業界大手3社の動向を探る
・(2)堅調な荷動きと、運賃レベルの緩やかな修復を想定
・(3)シェールガスの開発・生産ブームはプラス要因
【海運関連銘柄診断】
・日本郵船は市場全体の地合い悪化の影響受け調整局面
・川崎汽船は収益改善見通しを評価すれば下値は限定的
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